軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

60 神木を救え 2

ソマリの商会で食い逃げしたのは、アンダリエル王女の部下だった。

ダークが間に入り、ハイエルフの飲食代を支払うことで、とりあえずは解決した。どうもハイエルフたちは、プライドが高いというよりは、社会常識が全くないようだった。

「他の種族と交流を絶っていた結果がこれだ。我らダークエルフやハーフエルフもハイエルフにしてみれば、下等な種族扱いだ。我も幼い頃はハイエルフの里で暮らしていたが、そんな扱いが耐えられなくなって、里を出たのだ」

ダークが愚痴をこぼす。

「個人的には、ハイエルフなど滅んでしまえと思うこともあるが、そうもいかない。ハイエルフが守り育ててきた世界樹が枯れてしまえば、帰らずの森にも大きな影響が出る。最悪、森が砂漠になるかもしれん」

それは大変だ。

ハイエルフの好き嫌いは別にして、神木である世界樹を救わなければ大変なことになるようだ。

「何千年と世界樹を守り続けてきたことは誇るべきことだが、他種族を蔑んでいい理由にはならんが・・・」

ここまでダークの話を聞いて、ダークも思うところがあるようだ。

★★★

2日後、私たちはエルフの里へ出発することになった。

今回の同行者はかなり多い。というのも、視察に来ていた幻獣とそのお供たちも同行するからだ。獣王国も神聖ネフィス教国の視察制度の導入を検討しているみたいで、視察の視察らしい。

それに私たちも、視察は楽しいものだという認識があるからね。毎回、視察に同行したい者が多く、選考には苦労しているしね。今回は滅多に行けないハイエルフの里に行くということで、いつも以上に希望者が殺到していた。

そんなこんなで、大所帯でハイエルフの里に向かうことになった。

アンダリエル王女が難色を示す。

「こんな大人数では、里の食料が・・・」

「大丈夫だ。こちらから大量の食料や酒を持って行くからな」

ダークに言われて、渋々受け入れた。

ハイエルフの里はすぐ近くにあった。私が最初にこの世界に降り立った聖地の近くだった。

聖地から少し北に行った辺りで、アンダリエル王女が詠唱を始めた。

「偉大なる森の聖霊よ・・・」

ダークが説明してくれる。

「認識疎外の結界を張っているのだ。これはハイエルフの秘術で、ハイエルフの王家の血を引く者にしか、結界を解除することはできないのだ」

ダークの説明を聞いて、アンダリエル王女がドヤ顔で言う。

「下等な者たちよ。これがハイエルフの実力だ」

それからしばらく歩くと、ハイエルフの里に到着した。

ハイエルフの住居は大きな木をくり抜いて作られており、それを見るだけでここに来た甲斐もあったと思う。そして、里の中央には高層ビルのように大きな木が生えていた。あれが世界樹らしい。

里に入ると、ハイエルフたちが冷たい目で私たちを見てきた。あまり歓迎されていないようだ。

しばらくして、ハイエルフの女王がやってきた。

「私はハイエルフの女王であるエルフリーデです。大して期待はしていませんが、さっさとやって、すぐに里を立ち去ってください」

ハイエルフの女王もあまり感じのいい人ではなかった。

オークナさんがキレる。

「それが人に物を頼む態度かい!?頼み方ってものがあるだろう?」

「下賤なオークですか・・・アンダリエル、このような粗野な者を連れてくるとは何事ですか!!」

私もキレそうになる。

盛大に歓迎しろとは言わないが、それにしてもこの態度は酷い。それに同族であるダークエルフやハーフエルフも下に見ているし、許せない。流石のグリューンも苦言を呈する。

「エルフリーデ殿、その態度はないのではないか?我らはこの里の危機と聞いてやってきたのだが?」

私もグリューンに続いて文句を言う。

「私は緑の聖女、ミドリ・スズキです。世界樹を診る前に言っておきます。貴方たちが馬鹿にするゴブリンもオークもダークエルフたちも、みんな素晴らしい方たちばかりです。ハイエルフが素晴らしい種族だとプライドを持つことは勝手ですが、かといって、他種族を馬鹿にしていい理由にはなりません。それに・・・」

言い掛けたところで、女王の表情が変わる。そして、私の前に跪いた。

あれ?ちょっと、言い過ぎただろうか?

そうではなかった。

「な、なんという幸運!!精霊様がいらっしゃいました!!」

女王は熱い眼差しで、赤ドラと白ドラを見つめていた。

精霊様?

まあ、赤ドラと白ドラはマンドラゴラで凄い能力を持っているけど・・・

「何をしているのです!!早速、歓迎の宴の準備を!!精霊様、どうぞこちらへ。古い言い伝えのとおり、世界樹の木で作ったオガクズを用意いたします」

(わーい!!やったあ!!)

(うれしいなあ!!)

赤ドラと白ドラは喜んでいる。

よく分からないまま、歓迎の宴が開かれることになってしまった。