軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

57 神獣を救え 3

獅子族の里に到着する。

歓迎もそこそこに神殿のような場所に案内された。中に入ってみると、尻尾がヘビで羽の生えたライオンが傷だらけで横たわっていた。

尻尾のヘビが獅子族の治療術師に何やら指示をしている。

「早く、我を切り落とせ。このままでは共倒れになってしまう」

「そ、それは駄目だよ。そんなことしたら死んじゃうよ」

「しかし、このままでは・・・早く切れ」

「だ、駄目だ!!」

どうやら尻尾のヘビとライオンがもめているようで、治療術師はオロオロとするばかりだった。

主さんとオルトロスがマンティコアに歩み出る。

「久しいな・・・どうしたのだ?」

「助けにきた」

「そうだよ」

「私たちも助けてもらったからね」

主さんとオルトロスのお陰で、すんなりと話を聞いてくれることになった。

話を聞くと、魔力暴走が起きているのがヘビのほうで、そのためライオンのほうの魔力が吸われ続けていて、このままでは共倒れになってしまうとのことだった。

「だから我さえ切り離せば、何とかなるのだ」

「そんなことしたら、死んじゃうって!!」

すぐに診察を開始する。

診察の結果、白ドラと赤ドラ両方の葉を食べさせれば大丈夫ということだった。ダークが解説してくれる。

「白ドラ殿の葉っぱで魔力暴走を治し、赤ドラ殿の葉っぱで傷を治療するか・・・興味深い」

早速、両方の葉っぱを食べさせたところ、あっと言う間に完治した。

「信じられん・・・」

「よかった・・・ありがとう・・・」

獅子族も大喜びしてくれた。早速、宴を開く話になっているしね。

待っている間、ヨルがしきりに尻尾のヘビに話し掛けていた。同じヘビ同士、親近感が湧くのかもしれない。

「僕も同じ症状だったんだよ」

「そうか・・・それで貴殿は何という種族なのじゃ?」

「大蛇族だよ。でも設定はドラゴンで、ドラゴンとして活動しているんだ」

「なるほど。それにしては威厳が足りんな」

「そうなんだよ。いつもドラゴンをするときは、緊張するんだ」

それからヨルは、尻尾のヘビに威厳の示し方をレクチャーしてもらっていた。

そんな微笑ましい光景を見ていたところ、外が急に騒がしくなった。

外に出てみると、フェニーとフェニーに率いられた大鷲族が大きな荷馬車を運んできて、里の広場に着陸していた。

フェニーから報告を聞く。

「手分けして幻獣の所を周ったのじゃが、重傷者がおってな。急ぎ、空輸したのじゃ」

すぐに馬車から黄金の毛を持つ羊と、かなり大きな熊が姿を現した。熊にあっては、右腕が斬り落とされている。

黄金の毛を持つ羊が説明してくれる。

「私を庇って、キンググリズリーがこんなことになったのよ。だから、助けてあげて」

すぐに治療に入る。

こちらは赤ドラの葉っぱだけで何とかなった。回復したキンググリズリーから話を聞く。

「ぬかったわ。特殊な剣で斬られたから、回復できなかった。普通なら腕の一本や二本、生やせるのだがな」

やはり、キンググリズリーたちも冒険者に襲われたようだった。

フェニーが引き継ぐ。

「他の幻獣たちは被害がないようじゃ。一応安全のため、ここに集まるように指示しておいた。近いうちにやってくるであろう」

その言葉どおり、次の日には幻獣と彼らに庇護された種族がぞくぞくと獅子族の里にやってきた。

そして3日後には、ほぼすべての幻獣が獅子族の里に集合した。本当に色々な幻獣がいるものだ。カメっぽい幻獣もいるし、牛っぽい幻獣もいる。これから会議を行うのだが、ヨルは相変わらずマンティコアの尻尾のヘビと仲良く話しており、主さんは旧交を温め、ウリたちを紹介している。また、フェニーは助けたキンググリズリーたちからお礼を言われていた。

しかし、なかなか会議は開かれなかった。

というのも、だれが会議を仕切るかで、もめ始めたからだ。それだけで、獣王国の種族同士の仲が良くないことが分かる。

堪り兼ねたグリューンが言う。

「他国のことで失礼だとは思うが言わせてもらう。今、もめている時間はない。幻獣を襲撃する危険な冒険者が、今も活動を続けているのだぞ」

これには各種族の代表たちも閉口した。

ルナールが引き継ぐ。

「僭越ながら、私が司会を致します。誰が王かはこの際、置いておきましょう」

しかし、反対の声が上がる。

「まずは獣王を決めるべきだ。我ら獅子族から王を出す」

「何を言ってるんだ。獅子族が王なんて認めない」

「そうだ!!」

また、もめ始めた。

そんな時、ゴブリナが驚きの発言をする。

「だったら獣王に打って付けの方がおられます。それはネフィス様です。ネフィス様は偉大な女神で・・・」

ゴブリナの有難い話が始まってしまった。

結構な時間、話し続けたので獣人たちの怒りも収まってきた。呆れていると言ったほうがいいだろう。

「・・・つまり、ネフィス様を信仰する、すべての種族は平等ということです」

ドヤ顔で発言を終えたゴブリナだが、ほとんどの者が「だから、何?」といった心境だった。

そんな時、マンティコアが言った。

「我はネフィス様を信仰する」

「僕もそうするよ」

オルトロスが続く。

「僕たちが無事なのも、ネフィス様のお陰だ」

「そうね。だから私たちもネフィス様を信仰するわ」

キンググリズリーも。

「我もネフィス様を信仰し、ネフィス様の教えに従う」

他の幻獣たちもこれに倣った。

ルナールが言う。

「幻獣様がそう言うのなら、反対のしようがありません。よって獣王はネフィス様、当面の間、政治的なとりまとめは私が行います」

これには誰も反対しなかった。