軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

43 開校

感動の冬祭りから一ヶ月、とうとう神官見習いのための学校を開校した。

思えば、意外に苦労することが多かった。

まず、ゴブリナが作ったカリキュラムが終っていた。

ひたすらお祈りとゴブリナの有難い話を聞くというものだった。これでは逆にネフィス様を嫌いになってしまうと思った私は、カリキュラムを自分で作成することにしたのだった。

それで、いざ自分でカリキュラムを作ろうと思ったが、いい案が思い浮かばなかった。

というのも、神官として教えることなんて、特にないからだ。お祈りの仕方は手を2回叩くだけだし、信者として、絶対にやらなければならないこともない。どうにか思いついたのは、食事の時に「いただきます」と「ごちそうさま」を言わせるくらいだった。

そもそも神官見習いから神官になったゴブリンの三姉妹だって、特に指導なんてしていない。

元々は神殿のスタッフとして雇用したのが始まりだからね。

でも学校を開くと約束してしまった以上は、やらないといけない。なので、経験者である三姉妹に助言をもらうことにした。

「この神殿では多くのことを学ばせていただきました。作物の育て方から掃除の仕方、それにお金の計算方法まで・・・数えたらキリがありません」

「そうですよ。最初は私たちは字も読めませんでしたからね」

「仕事をしながら学べたことが本当によかったです。私は回復魔法が得意ではなかったので、ダークさんのポーションと併用した治療法も見つかりましたしね」

意外に三姉妹の反応はよかった。

なるほど・・・だったら・・・

私は三姉妹の助言をヒントにカリキュラムを作成した。

コンセプトを「素晴らしい神官を育成する」ことから「神殿をしっかりと経営する能力を身につけさせる」ことに変更し、ここに地域貢献の要素を取り入れることにした。

この世界は識字率が高くない。私はネフィス様のお陰で最初からこの世界の文字を読むことができたのだけどね。なので、まずは授業を読み書きと簡単な計算の習得をメインにすることにした。

また、三姉妹の助言のとおり、実習を多く行うことにした。農作業はもちろんだが、ダークの薬草学やソマリに頼んで商会の経営なんかを指導してもらってもいいかもしれない。となると、二人に講師をお願いしなくてはならないので、根回しも必要だ。

あれ?何も二人に限定しなくてもいいんじゃないの?

この集落にはスペシャリストが揃っている。フリンやドワンナのような職人もいるしね。

だったら、他の人にも講師を頼んでもいいかもしれない。

そう思った私は、色々な人に根回しした。みんな協力してくれることになった。

★★★

必死でカリキュラムと企画書を作成した私はグリューンの元に向かった。

すぐにグリューンが話を聞いてくれることになった。

「・・・つまり、神官を育てるのも重要ですが、神官が地域貢献できるようにと考えています。子供たちに読み書きを教え、回復魔法が使えなくてもある程度の治療ができるような技能を・・・」

「なるほどな。神官を育てることは国を育てるということだな?異論はない。このまま進めてくれ」

「は、はい・・・」

前世では、企画書がすんなり通ることなんて、まずなかったから逆に不安になる。

思えば、上司が添削してくれるから思い切った提案ができたのだと改めて感じる。

「即決して大丈夫ですか?もし失敗したら・・・」

「気にすることはない。失敗したところで、飢え死にするわけではないしな。どうしても心配なら、集落の長を集めて承認を取ってもいいと思うのだが・・・」

「それでお願いします」

数日後、各集落の長が集合して会議が開かれた。

「俺はいいぜ。それと主様からウリ様も入学させてほしいとのことだ。頼めるか?」

「それは構いません」

「我もだ。神官が子供たちに読み書きを教えてくれるとなれば、逆に感謝する」

ゴブゾウとザードに続いて、他の集落の長も賛成してくれた。

「話って、それだけか?だったら飲もうぜ。サツマイモで作った火酒が出来てるはずだろ?こっちもつまみを持って来たからな」

「うむ。我もサマスの塩漬けを持って来た。景気づけに飲もう」

あっという間に宴会が始まってしまった。

こうなることは、ある程度予想していたけどね・・・

★★★

そんなこんなで無事に開校となった。

入学予定ではなかったヨルも、みんなと一緒に授業を受けている。

「立派なドラゴンになるには、勉強も必要だとウリ先輩に言われて・・・僕は蛇なんだけど・・・」

渋々入学したヨルだが、案外楽しそうにしている。

そしてゴブリナだが、校外学習の担当になってもらうことにした。授業でゴブリナの熱意を受け止めるには、入学したての学生には厳しいからね。

「さあ皆さん!!今日は待ちに待った聖地巡礼ですよ!!聖地というのは・・・」

長い話が始まったところで、グリューンが止める。

「ゴブリナ、早く出発しないと日が暮れるぞ。これでも我らは忙しいからな」

今回の聖地巡礼は、学校始まって以来の課外活動なので、王であるグリューン以下、集落の有力者も参加する。道中でダークが薬草の講義することになっているし、フリンにも鉱石の採取方法なんかを指導してもらうことになっている。

そしてメインは聖地での親睦会だ。まあ、お花見の桜がないバージョンだ。魔族たちは宴会好きだからね。

集落を出発した私たちは、特にトラブルもなく聖地に到着したのだが、思いがけない光景が飛び込んできた。4人の人間が聖地のネフィス様の女神像に祈りを捧げていた。

「に、人間だ!!」

「なぜ、ここに?」

「攻めて来たのか!?」

グリューンが諫める。

「落ち着け。ネフィス様に祈りを捧げている・・・とりあえず話だけは聞こう」

しばらくして、私たちに気づいた人間たちが私たちに近寄ってきた。

「聖女様ですね?私はAランク冒険者パーティー「シーカーズ」のリーダー、レッドです。どうしても聖女様にお伝えしなければならないことがあり、ここに参ったのです」

人間が何の用だ?

というか、私も人間だった。私はグリューンに助けを求めるように見た。

「まず、事情を話せ。それからだ」

「分かりました。それでは・・・」