軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

35 外遊 3

精鋭部隊が編成された。

メンバーは私と赤ドラと白ドラ、グリューン、魔法薬のスペシャリストで、戦闘力も高いダーク、そしてドワーフを代表してドワンナだ。

ドワンド王が言う。

「本当によかったのか?聖女殿、グリューン殿」

「これは私の使命だと思っています。ネフィス様のご意思を感じますしね」

「我は王として、聖女殿を守る義務がある。ドワンド王よ、気にすることはない」

「すまんな・・・」

ゴブリナも行きたいと言っていたが、戦闘力が皆無なので置いていくことになった。それに他に目的があったみたいだしね。

「私もその神聖な服を身に纏いたいのです」

「それはちょっと・・・じゃあ、ゴブリナ用に作ってあげるから、ここで治療に当たっていてね」

「そういうことなら・・・」

怪しげな防護服のどこがいいのだろうか・・・

そしていよいよ、私たちは鉱山に入った。

鉱山は入り組んでいるが、赤ドラと白ドラが案内をしてくれる。

(毒の発生源を見つければ、いいんだよね?)

(それなら分かるよ。魔素の流れが違うからね)

何気にこの二匹は有能だ。とてとてとしか歩けないけどね。

赤ドラはグリューン、白ドラはダークに運んでもらっている。ドワンナが言う。

「最近、掘り進めた地点ですね。そこが発生源とは・・・」

ドワンナの見立てでは、鉱山を掘り進めた結果、魔物の棲み処に行き当たったのではないかとのことだった。これまで被害がなかったことを考えると、あながち間違った見立てではないと思う。

そして、私たちは最近掘り進めた地点に到着した。

グリューンが警告を発する。

「魔物の気配がする。慎重に行動するぞ」

グリューンに指示され、恐る恐る進んで行く。

鉱山の最奥付近だと思われるが、そこには驚きの魔物がいた。かなり巨大な蛇だ。ニシキヘビなんて比べ物にならないくらい大きい。体長は5メートルはある。

その大蛇が私たちに気づいた。驚いたことに人語を話すようだ。

「に、人間!!く、来るな!!こっちに来なければ、何もしない。早くどっかに行け!!」

赤ドラと白ドラの思いが伝わってくる。

(あの蛇から毒が出ているよ)

(あの蛇が原因だね)

ということは、あの大蛇をどうにかしないと毒が収まらないということか・・・

幸い話は通じそうだし、交渉の余地はあるかもしれない。

私はグリューンたちの警告を無視して、大蛇の前に歩み出た。

「あのう・・・貴方から発せられる毒の所為で、ドワーフたちが困っているんです。どっかに行ってもらえませんか?」

「どっかに行けって、そっちが勝手に来たんだろ?お前たちが、どっかに行けよ・・・あれ?君からは、ネフィス様を感じる」

言われてみれば、私も不思議な感覚があった。

同志のような感じだ。それにネフィス様と言ったし・・・

私は防護服を脱いで、左手のブレスレッドを大蛇に見せた。

「私はネフィス様に使命を授かり、ここに来ました。直接は指示されてませんが、貴方を助けろという思召しかもしれません。何か困っていることはありませんか?」

「やっぱりそうか・・・ネフィス様は僕を見捨てなかったんだ!!えっと・・・僕はヨルムンガンド。大蛇族の最後の生き残りだよ」

「えっと・・・ヨルムン・・・」

「ヨルでいいよ」

「私は、ミドリ・スズキ。緑の聖女をしています」

普通に話が出来そうな雰囲気だった。

グリューンたちも警戒を解いて、こちらにやってきた。グリューンたちにも事情を説明した。

「こちらのヨルは、かなり困っているようなのです。ネフィス様に遣わされた私としては、助けてあげたいと思います」

「うむ。聖女殿がそう言うなら、我も協力しよう。それでヨル殿、何か困っているのか?」

「そうだね・・・まずはどうして僕がここに来たかから話そう・・・」

ヨルが言うには、ヨルは元々別の世界に暮らしていたらしい。

ヨルは大蛇族という種族で、種族全員が強い毒魔法を操っていたそうだ。しかし、その中でヨルは弱い毒魔法しか使えなかった。一定時間、相手を痺れさせるだけの効果らしい。族長なんかは、即死の毒魔法を使えたようだった。

なので、弱い毒魔法しか使えないヨルは、いじめられていたそうだ。誰にも相手にされず、一人で寂しく暮らしていた。

ヨルを追い出した大蛇族たちは、傍若無人に振る舞い、それが元で人間たちに討伐されてしまったようだ。そのことを聞いたのは、ネフィス様からだった。

「ネフィス様に『貴方が大蛇族の最後の生き残りだから、これまでどおり、ひっそりと生きなさい。貴方の幸運を祈っておくわ』と言われたんだ。その教えを守り、1000年はひっそりと生きてきたんだ。でも・・・」

そんなヨルだったが、転機が訪れた。

勇者パーティーを名乗る一団がヨルを討伐に来たそうだ。ヨルとしては、話し合いで解決しようと試みたようだが、勇者パーティーは耳を傾けなかった。

「勇者たちは、『お前の素材が必要なんだ!!』と言って、いきなり斬り掛かってきたんだ。その時、勇者が持っていた聖剣で斬られたことが原因で、魔力のコントロールができなくなって、常時毒魔法を発生させる状態になってしまったんだ」

勇者というのは、本当に迷惑な奴らだ。

グリューンたちもそう思っているようだった。

「幸い勇者たちは、僕の毒魔法で痺れて動けなくなったんで、すぐに逃げた。でも勇者たちはしつこかった。何度も何度も僕を討伐に来たんだ。そして、とうとう僕も勇者たちに追い詰められた。その時、自分でもどうやったか分からないんだけど、即死の毒魔法が発動したんだ。そうしたら、勇者たちは死んじゃった」

これまでの話を聞いたかぎり、ヨルに非はないだろう。

「それからは平穏な日々を送っていたんだけど、ある日ネフィス様がやって来て、僕を別の世界に移すって言われた。その時、『ここで大人しくしていたら、きっといいことがある』って言われたんだ」

話を聞いたグリューンが言う。

「つまり、ヨル殿は聖女殿の助けを待っていたということだな?」

そう考えるのが自然だろう。

「とりあえず、常時毒魔法が発動される状態をどうにかすればいいんですよね?ダークさん、治療できますか?」

「うむ。ヨル殿、少し体を触らせてもらってもよいか?」

「いいよ。お願い」

こうして、魔物討伐から治療に作戦が変更された。