軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

31 建国祭 4

私は落ち込んでいるドワンナに声を掛けた。

「どうして、ダークドワーフたちを目の敵にしているのかしら?」

「それは・・・嫉妬よ・・・私だって頑張っているのに・・・」

ドワンナも優秀な職人だ。

しかし、一生懸命に頑張っても、なかなかダブルマイスターの審査に受からなかった。そんな時、彗星のごとく現れたフリンがダブルマイスターの最有力候補になった。それで、何とか邪魔をしてやろうと思って、こんなことをしたようだった。

「ドワーフがダークドワーフに負けるなんて、許せなかったのよ。もちろん私も職人だから、フリンが素晴らしい職人だということは分かるわ。でも、どうしても納得がいかなかったのよ」

どういう言葉を掛けていいのか分からない。

そんな時、宴を抜け出してきたフリンがやってきた。

「ドワンナ。私がダブルマイスターになれたのは、みんなのお陰ッス。それにほとんどのアイデアは聖女様からもらったものッス。ドワンナも聖女様にアイデアをもらえばいいッス」

「本当に!?では聖女様、父上を唸らせるようなアイデアをお授けください」

そう言われてもなあ・・・

「えっと・・・建国祭が終ったら一緒に考えましょう。今は建国祭を成功させることが一番だからね」

「はい」

ドワンナは優秀な職人だし、何かアイデアを出せば形にできるだろう。

とりあえず、ドワンド王が何を求めているか、それとなく聞くことにした。

★★★

ドワンド王以下が、建国祭の準備を手伝ってくれたお陰で、もう建国祭の準備は完璧だった。

王様が作業を手伝うなんてと思ったが、ドワーフ王国では普通のことらしい。そして、建国祭3日前に獣王国の代表団が到着した。フックスの父親である宰相ルナール以下10名だ。

「出迎え感謝いたします。込み入った話は建国祭の後で行いたいと思います。こちらも複雑な事情を抱えていますからな。とりあえずは、お祝いの品をお納めください」

煌びやかな装飾品や魔石がメインだった。

儀礼的な挨拶をした後、ルナールはフックスを呼び出して話をしていた。

「少し、フックスを借ります」

「うむ。フックス、遠慮することはない。今日の仕事は休みでいい」

少し込み入った事情があるみたいだが、私たちはまず、建国祭を成功させないといけないからね。

建国祭当日となった。

スーツ姿のグリューンも流石に緊張しているようだ。

「聖女殿、この服は何か身が引き締まるな。改めて礼を言う」

「喜んでいただけて、嬉しいです。似合ってますよ」

グリューンには「創造の木」で作ったスーツをプレゼントしている。

国王がボロボロの服だと格好がつかないからね。

そこにゴブゾウがやってきた。

「そろそろ時間だぞ、国王様」

「うむ。でも慣れんな・・・」

「そのうち慣れるさ。それにしても、俺たちの服まで用意してくれるなんて、聖女殿は太っ腹だな。なんか俺も、偉くなった感じがするぞ」

「ゴブゾウさんも似合ってますよ」

実は集落の長たちにもスーツをプレゼントした。

こちらも同じ理由だ。フックスが言うには、人間の社会では集落の長は領主クラスで、貴族と言っていい地位になるそうだ。なので、それなりの恰好が必要になるとのことで用意した。因みにフックスのスーツも用意した。グリューンの側近である自分もスーツが必要と言い出したからだ。これは私の邪推かもしれないが、フックスがスーツを欲しかっただけかもしれない。

そしていよいよ建国祭が始まった。

進行に従い、グリューンが建国を宣言する。

「神聖ネフィス教国の建国を宣言する。そして、この地を聖都スズキタウンとする!!」

歓声が上がる。

司会を務めるフックスが歓声が収まったのを見計らって、声を上げる。

「これより、戴冠の儀を行います。聖女様、お願いします」

私はグリューンの前に歩み出て、「創造の木」で作った植物製の冠をグリューンに被せた。

フックスに言われて、何か王様の印を用意してほしいと言われたので、急遽作ったものだ。またしても、歓声が上がる。

「これより、我が王となる。それで早速、恩赦を行う。タリアス殿、前へ!!」

ケンタウロス族の族長であるタリアスが戸惑いながら、グリューンの前に歩み出る。

「これまでの働き、王として感謝する。今日をもってケンタウロス族の強制労働は終了とする」

「ありがたき幸せ・・・感謝いたします」

「今後も国の為に頑張ってくれ」

「御意」

タリアスだけでなく、多くのケンタウロス族が涙を浮かべ、喜んでいる。

ネフィス様の教えのとおり、この建国祭は、みんなが喜ぶようにデザインされている。ケンタウロス族の恩赦もサプライズだ。喜んでもらえて嬉しい。因みにまだまだサプライズは用意しているんだけどね。

「続いては、ゴブナ、ゴブネ、ゴブノ。前へ」

戸惑いながら、神官見習いの三姉妹が登壇する。

「それでは聖女殿、頼む」

「はい。ゴブナ、ゴブネ、ゴブノ、今日より貴方たちは正式な神官です。これからもよろしくね」

「聖女様!!」

「ありがとうございます!!」

「嬉しいです」

三姉妹が私に抱き着いてくる。

三姉妹を正式な神官にするという提案はゴブリナがしたのものだ。ゴブリナにしてはいい提案だった。三姉妹には私から新しいパンツスーツを送っている。これもサプライズだ。

「ゴブナ、ゴブネ、ゴブノ。私からもプレゼントがあります。なんと、聖典の第一巻ができたので、それをお渡しします。なお一層励むように」

「「「はい!!」」」

聖典?何だそれは?

フックスが言う。

「ゴブリナに言われて、僕がまとめたのです。凄いでしょ?自信作です」

少し中を確認したが、かなり誇張された私の話がメインだった。

一瞬、回収しようと考えたが、そんな雰囲気ではなかった。

三姉妹と喜びあっているゴブリナに言う。

「ゴブリナ、私も貴方にプレゼントがあるの。ゴブリナは一番最初に私のことを信じてくれたし、ずっと助けてくれたからね。そのお礼よ」

私はネフィス様から貰ったブレスレッドのレプリカをゴブリナに渡した。

ゴブリナはずっと、私のブレスレッドを羨ましそうに見ていたからね。喜んでくれると思う。

「本当にありがとうございます!!嬉しいです。こんなに幸せなことはありません・・・ウッウッウウ・・・」

ゴブリナは泣き崩れた。

想像以上に喜んでくれて嬉しい。

これで建国祭の式典は終わりだった。

しかし、予想外のことが起きた。

「聖女殿、前へ」

えっ!!私?

予想外のことに戸惑いながら、グリューンの前に歩み出た。

「これは我ら皆の礼だ。受け取ってほしい」

渡されたのは化粧水だった。

「実はダークに頼んでいてな。やっと完成したのだ。ダークが姿を見せなかったのも、これが理由だ」

「あ、ありがとうございます。嬉しいです」

ダークが言う。

「苦労したが、自信作だ。フリンにも手伝ってもらったからな」

「もちろんッス」

ソマリが言う。

「資金提供は我が商会がしましたニャ。つきましては、独占販売させてほしいニャ」

ソマリはちゃっかりしているなあ・・・

そういえば、ここ何年もサプライズで誰かに何かをしてもらったことなんてない。

温かい気持ちになって、自然と涙が溢れてくる。

「ネフィス様・・・ありがとうございます」

自然と言葉が口に出た。

ゴブリナが言う。

「もちろん、ネフィス様にはお供えを致しますよ。因みに「聖女の潤い」で販売を考えています」

ネーミングはどうかと思うけど、私は涙で何も言えなかった。