軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3 スキル

魔物たちが、かなり困っていることは分かるが、何に困っているか分からないので、私は彼らに聞くことにした。

「お困りなのは分かりますが、一体何にお困りでしょうか?」

グリューンが答える。

「すべてが足りない。水も食料も武器も・・・」

「分かりましたが、一体何に使うのですか?」

「ノーア平原を奪還するためだ。それには食料と・・・」

グリューンから詳しく聞いたところ、現在グリューンたち魔族と人間の連合軍は戦争中だという。

グリューンが言うには、彼らは魔物ではなく魔族という種族らしい。彼らのことを魔物と言わなくてよかったと思う。

話を戻すと魔族たちは慢性的な食料難に陥っているようで、土地が荒れ果て農業生産が格段に落ち込んだことと、穀倉地帯だったノーア平原を人間に奪われたことが大きな要因のようだ。そして、グリューンたちは魔族の存亡を懸けてノーア平原を奪還する軍事行動を起こしている真っ只中らしい。

助けるとは言ったが、よく分からない戦争に加担するのはいい気はしない。

私が悩んでいると赤ドラと白ドラの思いが伝わってきた。

(水の木を植えればいいんだよ)

(フルーツの木も植えようよ)

私はシステムウィンドウを表示させた。慣れるとすぐに表示できるようになった。

システムウィンドウには「植える→水の木」「植える→フルーツの木」と表示されていた。私はそれらを選択する。

また、どこからともなく種が飛んできて、地面にめり込んだ。私はシステムウィンドウに表示されている「成長加速」を選択する。

すると、あっという間に2本の木が出現した。

1本は「水の木」で、木の根元に木製の水瓶が3個くっついていて、中から水が溢れ出している。2本目は「フルーツの木」で、バナナ、梨、リンゴ、桃などのフルーツが無数に生っている。

これがチート能力というやつか・・・

私も驚いていたが、魔族たちはそれ以上の反応だった。

「き、奇跡だ!!」

「これって、飲んでもいいのか?」

「いい匂いがするぞ」

私は魔族たちに言う。

「とりあえず、私が毒見をしますね」

私は「水の木」の水瓶から水を汲んで飲み、「フルーツの木」からバナナを1本もいで食べた。

今まで飲んだことがないほど水は美味しく、バナナも甘くて美味しい。それに体が元気になった感じがする。

(美味しいでしょ?)

(美味しいだけじゃなく、食べたら体力や魔力が回復するんだよ)

赤ドラと白ドラから伝わってきた思いを魔族たちに伝える。

「かなり美味しいですよ。それに体力や魔力を回復する効果があります」

魔族たちから歓声が上がり、我先にと「水の木」と「フルーツの木」に群がった。

余程、喉が渇き、お腹が空いていたのだろう。

しばらくして、魔族たちのお腹も落ち着いた頃、グリューンが言う。

「聖女殿、礼を言う。皆の者、すぐに進軍の準備をしろ。最後の攻勢に出るぞ」

「「「オオー!!」」」

これから戦争が始まるのか・・・

できれば戦争なんかしてほしくない。

「あのう・・・食料があれば戦争なんてしなくて済むんですよね?このフルーツで何とかなりませんか?」

「それは無理だな。これだけでは到底賄いきれない」

白ドラと赤ドラの思いが伝わってきた。

(「水の木」と「フルーツの木」は後2本ずつ植えられるよ)

(レベルが上がると、もっと多く植えられるよ)

本当に!?

「実はこの木を後2本ずつ植えられます。それにレベルが上がればもっと多く植えられるみたいです。なので、戦争なんて止めてもらえませんか?」

グリューンはかなり悩んでいる。

そんな時、ゴブリンの神官ゴブリナが意見を言った。

「グリューン様、聖女様の仰るとおりに致しましょう。このような木が後2本ずつあると仮定すると何とかこの冬は越せると思われます。それに僅かですが備蓄もありますし・・・」

「分かった。これより撤退を開始する。それと聖女殿、我らと一緒に来てはくれないだろうか?」

悩むところだが、この話は受けることにした。

ここまで魔族たちと話してみて、多少の行き違いはあったものの、そこまで悪い者たちじゃないと思う。それにこんな森の中で一人でいるなんて考えたくない。

「分かりました。同行します」

★★★

次の日、私は魔族と共に彼らの集落に向かうことになった。

赤ドラと白ドラはというと、私のスキルで出したプランターに入って、のんびりしている。魔族にプランターごと運んでもらっているからだ。

魔族の大半が私に好意的だが、まだ私のことを疑っている者もいる。

そんな中、ゴブリナはかなり私に好意的だった。ゴブリナは最初から私に優しかったしね。

自然と会話も弾む。

「食料危機ということだけど、この森を切り開いて農業をすればいいんじゃないの?」

「それは絶対に無理です。この森を管理しているハイエルフたちに皆殺しにされます。薬草やキノコなどの必要最低限の採取は認められていますが、大規模な開発は認められてません」

「ハイエルフと交渉してみてはどう?そこにエルフっぽい人もいるみたいだし」

ゴブリナの顔が引きつる。

「えっと・・・彼らは・・・」

答えづらそうなゴブリナに変わり、グリューンが引き継ぐ。

「ハイエルフはプライドが高く、交渉にすら応じてくれない。それに彼らはダークエルフやハーフエルフで、ハイエルフに追い出される形で、我らと合流した過去がある。彼らと運命を共にする我らのことを良く思っていないしな」

「そうなんですね・・・」

「我らは人間とも争っているし、ハイエルフと獣人たちとも仲が良いとは言えない。今にはじまったことではないがな」

この世界も、前世の世界も争いは絶えないようだった。