軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

26 幕間 天界にて

~大天使ガブリエラ視点~

報告書を読んで深くため息をつく。

女神ララーナ様が管理するヴェルトラの信仰心が全く伸びていない。天界規定に抵触する危険を冒してまで、転生者を送り込んだにもかかわらず、それどころか、僅かに下がっている。また、お叱りを受けるだろうな・・・

そういえば、あの転生者は元気だろうか?

一向に死んだとの報告は来ないが・・・

私はヴェルトラ担当の天使を呼び出して、報告を求めた。

この天使は優秀だが、ララーナ様に良い感情を持っていない。気持ちは分からなくはない。ララーナ様は転生者を利用して、信仰心を上げようとしているからだ。ヴェルトラの一部の地域の魔素の質や流れを変え、作物を育たなくする。当然、少ない食料を巡って争いが起きる。そこに異世界から救世主として転生者を送り込み、信仰心を稼ぐという手口だ。神として、どうなんだ?とは思うが、天使としては神に従うしかない。

「転生者はどうしている?死んだという報告はないが?」

「まだ生きております」

「ほう・・・あの環境でか?それではヴェルトラの報告書を出せ」

「は、はい・・・」

その報告書を読んで、愕然とする。

「こ、これは・・・」

「処分は私が受けます。でも、こんなことは間違っています」

私は少し考えて言った。

「お前は私にきちんと報告をした。私がララーナ様に報告しなかった。私のミスだ。つまり、そういうことだ」

「それでは、大天使様が処分を・・・」

「気にするな。私は少し忘れっぽいところがあるからな。それに私も・・・これ以上はよそう。仕事に戻れ」

去って行く天使を見ながら、私は思った。

大天使が転生者に望みを託すなんてね・・・

★★★

~邪神ネフィス視点~

私は今、クレーム対応に追われていた。通信の神具に向かって平謝りをしている。

「そこを何とかお願いします。もう他に無いんです」

「こっちは大迷惑よ。早く何とかしなさいよ!!」

「ですが、神約の際に危険性をご説明したはずです」

「説明が足りないのよ。勇者パーティーが全滅するなんて!!もう、何でもいいからどっかに連れて行ってよ。そうしないと今後、貴方とは取引しないわよ」

「・・・分かりました。すぐに引き取りに参ります」

もう何度目だろうか?

それもこれも、私が神としての実力がないことが原因だ。自分が管理する世界を持たないしね。

私は自分が優秀だと思っていた。しかし、現実は違った。

先輩の神の助言を聞かずに好き勝手やっていた。そのツケを今、払っているのだろう。

私は自分が管理する世界に自分の理想を詰め込んだ種族を創造した。

とにかく強い種族だ。結果は、強いがゆえに誰とも協力せず、争いが絶えなくなり、大きく数を減らした。ある世界でいう厨二病というものに罹っていたのだろう。少し考えたら分かったのに・・・

そこでゴブリンという、弱いが協調性がある種族を創造した。しかし、強い種族にゴブリンたちは奴隷にされた。

そんな失策が続き、私は「世界を管理する資格なし」と判断され、管理する世界を取り上げられた。そして、邪神認定もされた。

創造した種族はというと、様々な世界に引き取ってもらった。多くの神は「世界観と合わない」という理由で断られていたので、クレームを入れてきた神とはいえ、引き取ってもらえるだけ有難いのだが・・・

そんなことを思っていたら、堕天使のサマエルが報告に来た。サマエルは元々は大天使だったが、神に逆らって堕天使となった者だ。私の部下なのだから、そんな奴しかいない。

「大変です!!すぐにご確認を」

「どうしたって言うのよ?また、私の子たちが問題を起こしたの?」

「これをご覧ください」

「ど、どういうこと?」

報告書を読んで愕然とする。

私への信仰心が爆上がりしていた。それも信仰心ランキングのトップ10に名を連ねている。

「信仰心を上げるようなことは何もしてないけど・・・むしろ最近は、どんどんと創造した種族が減っているし・・・」

「それと、こちらもご確認を」

サマエルに案内されて、供物庫に案内される。

供物庫とは、信者からの供物の保管庫だ。ここ1000年、供物が届いたことなんてない。ずっと空のままだ。

しかし、今は違っていた。所狭しと供物が積み上げられていた。サマエルの部下がつまみ食いをしていたが、それどころではない。

「何でこんなことに?」

「調査の結果、信仰心や供物のほとんどがヴェルトラからのものです」

「ヴェルトラ?ああ・・・ララーナの世界ね?ララーナは偉そうで傲慢な奴だけど、案外いいところがあるじゃない。私を助けてくれたの?」

「それがそうでもないようです・・・」

サマエルの調査結果を聞いて、愕然とした。

怒りが沸々と沸き起こってくる。ララーナが私の子たちを気前よく引き取ってくれていたのは、私の子たちを利用して、信仰心を高めるためだったようだ。それにやり方も酷すぎる。

「私の子たちがそんな扱いをされているなんて、許せない。抗議するわ」

「それはやめたほうがいいと思います。ララーナ様は気づいてないようですし・・・」

「そうね・・・サマエルの言う通りかもしれないわね」

私は少し考えて言った。

「一度会ってみるべきよね?」

「それがよいかと思います」

「じゃあ、準備して」

「分かりました」

今回の騒動の原因は、一人の転生者だった。