軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ニケとレカンとエダは作業部屋に戻って茶を飲んだ。

「いやあ、格好いい人だったっすねえ。それをあんなふうにいじめやがって。レカン、あんたは鬼か!」

戦えと命じたのはニケである。レカンはニケをみた。

「あたしがここにいるのを知られちまったねえ。こりゃあ、これから毎日来るねえ」

「なんかあの騎士様、ニケさんに興味ありありって感じだったっす。いったい二人のあいだに何があったんすか?」

「いや、二人のあいだには何もなかったんだけどねえ」

ニケが簡単に事情を説明した。

三年前、王都に向かう街道に 銀狼(サラジェ) が出た。この街道が自由に通れないと、ヴォーカの町にとっては大打撃である。さっそく、守護隊から討伐隊が編成され、銀級冒険者に緊急依頼を出して討伐に向かった。だが結果は、当時の守護隊隊長二人が大怪我を負い、銀級冒険者たちも少なくない痛手を受けただけだった。

体面をかまっている場合ではないと、ゴルブル伯爵ガイオニス・ドーガに、迷宮探索のために滞在している高位の冒険者を斡旋してほしいと頼み込んだが、冷たくあしらわれた。

領主クリムス・ウルバンは、わらをもつかむ思いで、薬師シーラに冒険者を紹介してほしいと頼んだ。シーラは孫娘のニケを遣わした。やっと十八歳ぐらいにしかみえない冒険者に、クリムスは大いに落胆した。それでも銀狼はほってはおけず、もう一度かき集めた冒険者たちとともに、ニケを街道に派遣した。

ニケは一太刀で銀狼の前足を二本切り落とし、もう一太刀で首を刈り取った。同行した銀級冒険者が証言したので、クリムスもこれを信じるほかなかった。このときヴォーカ冒険者協会は、ニケを銀級冒険者として承認した。

そして二年前、やはり王都に向かう街道に、今度は 八目大蜘蛛(ギエンウルハドル) が出た。クリムスはただちに薬師シーラに相談をかけ、再びニケが討伐に向かった。このときも冒険者たちが同行していたが、彼らが手をだすまでもなく、あっというまに討伐は終わった。

この功績に対して、ヴォーカ冒険者協会は、金級を贈って報いたのである。

「いや、その話、さっきの騎士様が出てこないんすけど」

「八目大蜘蛛の討伐のとき、見届け役として同行してたのさ。まあ、現場をみとけっていう親心だろうね。ところがそういう立場でもないのに、意味のない指示を出して現場を混乱させ、あげくに魔獣が出たら腰を抜かしてたよ」

「その目の前で、巨大な魔獣をばっさりやったんすね」

「まあ、そういうことさね」

「その剣さばきに、騎士様の心臓も、ばっさりやられちゃったわけっすね」

「そういうのをばっさりっていうのかい? それにしても、一回ならともかく、二回となると、偶然のわけはないさね」

「騎士様との出会いがですか? 運命ってやつですね!」

「そっちじゃないよ」

「魔獣の出現が、偶然ではない、ということか?」

「九分九厘、〈催眠〉使いが関わってるね」

「〈調教〉ではないのか?」

「あんな高位の魔獣を〈調教〉できるような調教師は、めったにいないだろうね。〈催眠〉使いには、人間相手のやつと、動物や魔獣相手のやつがいるんだ。〈催眠〉は、〈調教〉よりかけやすい。込み入った命令はできないし、信頼関係も築けないし、使い捨てになるけどね」

「何のことっすか? 〈催眠〉? 誰が寝たんすか?」

「お前は話を聞いてなかったのか」

「レカン、そんな言い方をするもんじゃないよ。人から言われた言葉におおらかなのは、エダちゃんのいいところなんだから」

「そうっすよね!」

(全然褒められてないぞ)

「それにしても、あんなのに毎日来られたらたまらないね。下手すると、いや、下手しなくても、ミドスコも嗅ぎつけるだろうねえ。それは、うまくない」

少し考え込んだニケは、レカンとエダの顔をみた。

「エダちゃん。あんた明日から依頼が入ってるかい?」

「今日帰って来たばっかりっす。明日からは予定入ってないす」

「よし。二人とも、ちょっと待ってておくれ」

そう言ってニケは出て行った。

レカンは〈回復〉の練習をしたかったが、エダはほっておいてくれなかった。

「あたいが何をしてたか、興味あるかい」

「ない」

「あんたから〈イシアの弓〉をもらって、まずは近場の魔獣討伐の依頼を受けて成功させたんだ」

「やってない」

「それから近場の護衛依頼を受けることができて、もちろん成功して高評価を受けた」

「お前、ほんとに人の話を聞かないな」

「そのあと、もう少し長くて難しい護衛依頼を受けた。もちろん成功さ」

「弓を返せ」

「そして今回は、護衛六人の仕事で、サブリーダーをやらせてもらったんだ。今じゃヴォーカの冒険者のあいだで、〈千本撃ちのエダ〉と呼ばれてる」

「名乗ってるだけだろう」

「あたいが〈灯光〉や〈着火〉をみせると、みんな驚くんだぜ。すげえって言って」

そんな話をしていると、ニケが帰ってきた。

「少し旅に出るよ。三人で護衛の仕事を受けたからね。行き先は交易都市バンタロイ。往復十四日間の仕事だ。レカン、エダちゃん、明日の朝、南門の手前に集合しておくれ」