軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「盗賊団がみつかったのか」

「そうではありません。そもそも父を殺し、宝物を奪ったのは盗賊団ないしそれにみせかけた何者かですが、その背後にいた者こそが真の 敵(てき) です」

「背後に誰かがいたのか」

「襲われた状況がおかしいのです。迷宮街道におとりの馬車隊を走らせ、父は本物の宝物を積んだ馬車隊で、細い山道を移動しました。移動の日時や経路などは厳しく秘密にされてもいました。ところが賊は、待ち受けていたかのように本物の宝物を積んだ馬車隊を襲いました」

「情報が漏れていたということか」

「はい。そして奪われた宝物の多くは特別注文の品で、製造元に問い合わせれば、父が発注した品だとわかるのです。ところがいつまでたっても、その品々が出てきません」

「うーん。だが盗みをなりわいにしているやつは、足のつかない販売先を持っているもんだぞ」

「そうかもしれません。しかし、闇に消えたものを探す手立てというものもあるのです。そうした手管を知っている店員たちが血眼になって探し続けているのに、まったく手がかりのかけらもないというのは、やはり不自然です。そして、それだけの襲撃ができる盗賊団の噂がまったく聞こえてこないのも奇妙です」

「ふうん。そうなのか。そんなことはよくわからんが。それで?」

「二人の商人が、奪われた品のなかにあった宝物を、ある領主様に売っていたかもしれないという情報を、最近になってケラスさんはつかんだのです。形式上は献上だったようだと」

「ほう」

「そして近々、再び献上が行われるようだというのです」

「その二人が 仇(かたき) なのか?」

「その二人のうちどちらが敵なのか、あるいは両方が敵なのか、それともその二人とつながる誰かが敵なのか、それがわからないのです」

二人の商人というのは、ホータンとヌーガという名で、宝物を買ったのはロトル領主ナリス・カンドロス伯爵だという。

「ホータンもヌーガも、十年ほど前にロトルの町に現れ、今ではかなり大きな商店を構えていますが、それ以前にどこで何をしていたかが、まるでわかりません」

「ほう」

「今、店員たちが手分けしてロトルで調査をしていますが、思わしい情報が得られないので、いったん私と妹がチャダに帰り、ケラスさんに会って、新しい情報が入っていないかどうか聞こうと思っていたのです」

「なるほどな。それで、仇が誰かわかったら、どうするんだ?」

「仇討ちをします。仇討ち許可証は、ケラスさんがチャダ領主様に働きかけてくださり、すでに発行される内諾が得られているのです」

「仇討ち許可証だと?」

「はい。だから、誰が仇かわかりしだい、相手を討ち果たし、ロトル領主様に仇討ち許可証を添えてご報告します」

「ふん? とにかくその仇を殺せばいいんだな。いや、それとも、お前が殺せるようにお膳立てをすればいいのか」

「そうではありません。そのときにはケラスさんが専属の冒険者を派遣してくださることになっています。レカンさんには、誰が仇なのかを探ってほしいのです」

「なに?」

「ホータンが仇なのか、ヌーガが仇なのか、それとも別の誰かが仇なのか。それが知りたいのです。そしてその証拠をつかみたいのです。レカンさんのような腕利きの冒険者と縁が結べたのは、ボア神様のお導きにちがいありません。どうか私の願いを聞き届けてください」

「オレに、誰が仇か、探れと」

「はい。お願いします」

「お願いします」

「わかった」

頭を下げるリントスとマイナに、レカンは、わかった、と返事をしたものの、いささか困惑していた。

(探索、だと?)

(犯人捜し、だと?)

レカンは熟練の冒険者であり、警護や探索の経験もある。だが、こなしてきた依頼は、誰かを守るにせよ、誰かを捜すにせよ、あるいは殺したり捕縛したりするにせよ、基本的に戦闘力に依存したものばかりだ。推理と証拠集めというような種類の依頼は、今まで受けたことがないし、受ける気もなかった。

ところがリントスとマイナは、レカンに頭脳労働を期待している。ほかの場合であれば拒否するところだが、今回は〈白魔の足環〉がかかっている。あとに引くわけにはいかなかった。

「ま、まあ任せておけ」

「はいっ。よろしくお願いします」

「ああ、兄さん。こんな頼もしい味方ができるなんて」

「うん。運命神様がお力添えくださったんだ」

「そして父さんと母さんの御霊が助けてくださったのよ」

「そうだね」

盛り上がる二人をみつめながら、レカンは途方に暮れた。

翌日三人はロトルの町に戻った。そしてセプテマ商会の元店員という六人の男に紹介された。その男たちに案内され、ホータンとヌーガの商店の場所を教えてもらった。

レカンは〈隠蔽〉の魔法を使って、二日間、ホータンの店で探索をした。

一日休んで今度はヌーガの店で二日間探索をした。

「人に気づかれず、店のなかに二日間も忍んでいたんですか。さすがはレカンさん」

「すごいわ」

「ああ」

尊敬の視線が痛い。

元店員たちも期待に満ちたまなざしをレカンに向けているが、居心地が悪い。

実のところ、この五日間でレカンが得た情報は、ゼロだ。何もつかめなかったのだ。潜み続けていれば目の前に手がかりが現れるかもしれない。だが現れたとしても、いったいどうすれば、それが手がかりだと知ることができるのか。

(困った)