軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「どうだい。ざっくばらんな店だろう。だけどここの料理はいけるんだ。酒も安い。さ、乾杯だ。ジョー・ジョード」

「ジョー・ジョード」

「ジョー・ジョード」

「ジョー・ジョード」

料理の注文はトルーダに任せて、レカンは気楽に夕食を楽しんだ。

「おいしいね」

「おいしいですね。こってりした味付けなのに、あとを引きませんね」

エダとユリウスもこの店が気に入ったようだ。

「トルーダ。今日行った杖屋は、ほとんど恩寵品を置いてなかったようだな」

「あそこは手作りが売りなんだ。恩寵品の杖を売り物にしてる店もあるけど、ほんとにいい恩寵品は魔法研究所が買い上げてしまうから、そこらの店で買える恩寵品は一段も二段も落ちる」

「魔法研究所とやらは、恩寵品の杖を買い上げて、どうするんだ?」

「研究するんだ。研究してすんだら売る。改造して売る場合も多い。杖だけじゃなくて、ありとあらゆる恩寵品を買って研究してるよ」

「改造だと? 恩寵品を改造したりすることができるのか?」

「恩寵品の内部はいじらないと思うよ。そんなことしたら恩寵が消えてしまう。そうじゃなくて、恩寵品と恩寵品を組み合わせたり、恩寵品に補助的な機能を加えたりするんだ」

「恩寵品に補助的な機能を加える、だと?」

「そうさ。いい例が、〈インテュアドロの首飾り〉だね。〈インテュアドロの首飾り〉は対魔法障壁を自動的に展開する恩寵品なんだけど、これに、魔力注入を中継する魔石と、その魔石の魔力を首飾りに移動する機能を持たせた宝玉を組み合わせて売ってるんだ。それをしないと、魔力回復にひどく時間がかかってしまうからね」

「ほう」

今まさにレカンは〈インテュアドロの首飾り〉を装着しているのだが、トルーダにはみえていないようだ。

「そういえば、ある魔法使いが、〈インテュアドロの首飾り〉は攻撃魔法は防ぐのに〈回復〉は防がないのは不思議だと言ってたな」

「え? 〈回復〉は防がない? いや、そんなはずはない。あれを装着してると、どんな魔法も通さないはずだよ」

「ほう。それから装着者に魔力を供給してくれる機能もあるんだったな」

「いやいや、そんなことはないよ。何か別の恩寵品と混同してるんじゃないかな。そうでなくても、〈インテュアドロの首飾り〉は魔力不足になりやすいんだ。魔力容量が少ないものが多いからね。装着者に魔力を供給してたら、本末転倒だよ」

(どうも話がかみ合わんな)

(もしかするとオレの持っている首飾りは)

(ちょっと特殊なものなのかもしれんな)

「〈インテュアドロの首飾り〉は、さっき案内してもらった装具屋で売ってるのか」

「いや。あれは直営店にしかない。ところで、レカン。私からも聞いていいかな」

「どうぞ」

「あなたとエダの〈自在箱〉は、非常に容量が大きいようだが、いったいどこで手に入れたんだ? 容量の低い〈自在箱〉でも直営店でしか買えない。ましてあれほどの容量のものとなると、魔法研究所の上級研究者でなければ買えないはずなんだが。どうもそれが気になってしかたがない」

「うん? 容量の少ない〈自在箱〉なら、上級研究者とやらでなくても買えるのか?」

「買える。ただし、容量の少ない〈自在箱〉は、〈自在箱〉とは呼ばれない。だから公的には上級研究者でなければ〈自在箱〉は買えない、ということになってる」

「なるほど。建前というやつだな。エダが持っている〈自在箱〉は、ソルスギア・インドールという貴族が所有していたものだ。決闘に勝ったオレが譲渡を受け、それをエダに渡した」

「インドール? 聞き覚えがあるな」

「ギド侯爵の長男だ」

「ああ、なるほど。ギド侯爵になら売るだろうな。あそことはいろいろ取引があるようだから。待てよ。まさかその長男本人と決闘したわけじゃないだろうな」

「本人と戦った」

「信じられんことをする人だな、あなたは。それでたたきのめしたのか」

「まあ、そういうことだ。ところであんたの〈自在箱〉も、たいした容量だ。あんたは魔法研究所の上級研究者だったのか?」

〈クワントロ〉のメンバーは、魔狼の毛皮を採取していた。対物理特性ないし対魔法特性のついた優秀な防具の素材になるから、高く売れるのだ。ただし、レカンが急がせたために丁寧な皮剥はできず、魔石の周囲を大きくえぐり取り、えぐり取った肉塊から魔石を採取した。この方法なら毛皮と魔石の両方が得られる。そのたっぷり肉の残った毛皮を、トルーダは預かっていた。相当の容量がなければできないことだ。

「私じゃない。上級研究者だったのは、さっきの杖屋の店主だ。私はジザ導師から〈自在箱〉をもらった」

「ほう?」

「ジザ導師が〈魔矢筒〉の改良に取り組んだことがあってね。それに協力を求められた。報酬にもらったのがこの〈自在箱〉というわけだ」

〈魔矢筒〉は若き日のジザが発明した魔道具だ。老齢になってから改良点を思いついたのだろう。それにしても、〈魔矢筒〉の店はいくつもあるという話だったが、ジザがトルーダを選んだということは、トルーダはこの町で最高の職人なのだろう。

「魔法研究所の直営店というのは、誰でも入って買い物をすることができるのか?」

「いや。通行証がないと、あのエリアには入れない。あなたなら、ジザ導師に頼めば通行証がもらえるだろう」

直営店とやらに興味はあったが、あそこまで厳しく魔法防御を張り巡らされた場所に足を踏み入れるのはいやだった。