軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「さてと、レカン。あんたの質問をまず聞こうか」

「ああ。これをみてくれ」

レカンは〈闇鬼の呪符〉を取り出してシーラにみせた。

「おやまあ。強奪したのかい?」

「決闘相手のほうから、勝利者が敗者から、身に着けている物を何か一つ奪えるという条件を申し出てきたんだ」

「もうけたね」

「ああ。あんたの助言のおかげだ。だが、それがオレには疑問だ」

「へえ?」

「オレがフォートス家の御曹司の代理人と決闘すると伝えたとき、あんたは言った。恩寵品には気をつけろと」

「そんなこと言ったかねえ」

「〈不死王の指輪〉のような恩寵品を持っている相手と戦えば、運が悪ければオレが死ぬこともあるとあんたは言った。だから早めに勝負をつけろと」

「前にも思ったけど、あんた時々記憶がいいね」

「だが、こんな恩寵品がごろごろしているわけがない」

「そりゃそうだ」

「だがあんたは、〈不死王の指輪〉のような品に気をつけろとオレに言った」

「だから?」

「あんた。フォートス家にこれがあることを知っていたな?」

「へえ」

感心したような声を出したあと、しばらくシーラは無言で茶をすすった。

レカンも黙ったまま、シーラの答えを待った。

「二百年ちょい前だったかね。〈闇鬼の呪符〉を持ってた貴族家をフォートス家が襲って、財産を根こそぎ奪った。だから今でも呪符はフォートス家にあるんじゃないかとは思ってたんだよ」

「そうか。そういうことだったのか。ところで、この呪符の発動呪文は古代語らしいな」

「それの発動呪文は何だったかねえ」

レカンは呪符を〈収納〉にしまってから答えた。

「〈ガスパーリオ・ラーフ〉」

「ああ、なるほどね。古代語だね」

「〈時よ、止まれ〉というような意味だとノーマから聞いた」

「うまい翻訳だね。ただし生き物限定だけどね」

「これはほかの恩寵品とはちがう。そして、〈不死王の指輪〉に刻まれた文様と、〈闇鬼の呪符〉の文様は、よく似ている。それだけではなく、〈不死王の指輪〉と〈闇鬼の呪符〉からは同じ匂いを感じる。どう言えばいいのかよくわからんが、とにかくこの二つは同じような品だ。こういう品は、ほかにもあるのか」

「うーん。そんなことは自分で調べなと言いたいところだけど、あんたには借りがあったねえ」

(借りだと?)

(何のことだ)

(ああ、そうか。ヴルスの魔石のことか)

レカンは、割れてしまった〈ウォルカンの盾〉を修復するのと引き換えに、異世界の竜ヴルスの魔石をシーラに譲渡した。だがシーラは、ヴルスの魔石は〈ウォルカンの盾〉の修復とはとても引き合わないほど価値があると言っていた。それをシーラはレカンへの借りだと考えているのだろう。

シーラは紙にさらさらと何かを書き付けてレカンに渡した。

不死王の指輪 ダイナ迷宮百階層

闇鬼の呪符 ワード迷宮百二十階層

風姫の首飾り ツボルト迷宮百五十階層

神腐樹の冠 パルシモ迷宮百五十一階層

冥皇の宝珠 ユフ迷宮一階層

滅魂虫の守札 フィンケル迷宮百八十階層

白魔の足環 エジス迷宮 百四十階層

「大迷宮ばかりだな。うん? 〈海の迷宮〉の品がないが」

「あそこのは知らないね。たぶん、まだ出てない」

「ほう。で、これはいったい何なんだ」

「ワプド国の研究者たちは、これのことを〈古代恩寵品〉と呼んでた。けどその後あたしは、その呼び方はふさわしくないと思うようになった」

「あんたは何て呼んでるんだ」

「〈始原の恩寵品〉と呼んでるよ。といっても、誰かに話したことはないけどね。あたし自身以外でこの呼び方を知ってるのは、あんたが二人目さ」

「〈始原〉というのはどういう意味だ」

「ものごとの始まりという意味さね。この恩寵品は、大迷宮の主をはじめて倒したときにだけ得られる品なんだよ」

「ほう。〈不死王の指輪〉と〈闇鬼の呪符〉の発動呪文は、どうして古代語なんだ」

「それがこの世に現れたのが、古代語の時代だったからだと、あたしは思う」

「なに?」

「宝箱ってのは、どこから来るんだと思う?」

「考えたこともなかったな」

「この世ではないどこかから来るわけだけど、あたしはそこを仮に〈神々の領域〉と呼んでる。〈神々の領域〉には力はあるけど形はない。その力が形となってこの世に落ちるとき、落ちた世界にふさわしい形を取る。だから宝箱という形を取るのであり、武具や宝玉という形を取るのであり、その世界の言葉が発動呪文となるんだよ」

「むずかしくて、よくわからん」

「古代に落ちたから発動呪文が古代語となる。今落ちたら発動呪文は現代語となる」

「ああ、なるほど。となると、ほかの国にも〈始原の恩寵品〉はあるんだな」

「ほかの国にも百階層を越える迷宮はある。だけど大迷宮はない。だから〈始原の恩寵品〉は得られない」

「うん? 百階層以上の迷宮を大迷宮というんじゃないのか」

「それは便宜的な区分だね。それでいくとユフ迷宮は大迷宮じゃなくなるよ」

「それもわからん。ユフ迷宮は、まさか一階層しかないのか?」

「おや、知らなかったのかい。ユフ迷宮には階層がないんだよ。入り口から最深部まで一続きなんだ」

「ほう。しかしどうしてこの国にだけ大迷宮があるんだ?」

「太古の時代には、人間の数は今よりずっと少なく、国は一つだけしかなかったようなんだ。その国が今のザカ王国あたりにあったんだね。そして大迷宮は太古の偉大な魔法使いたちによって作られた。だから大迷宮はザカ王国にしかないんだよ」

「なにい。大迷宮が作られた、だと?」

「そうさ。その方法はもう失われてしまったけどね」