軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ヴィスカーは左手でショートソードを抜き、そのショートソードをレカンに向け、何かの呪文を唱えた。すると青紫の炎の塊が生じ、レカンに向かって飛んできた。そして〈インテュアドロの首飾り〉の結界に阻まれ、まばゆい光を放って燃え上がり、消えた。

その炎が、一瞬途絶えたレカンの意識を取り戻させた。だが仰向けに倒れた体は動かない。首は奇妙な形に折れ曲がっている。

(なぜ体が動かん?)

(動いてもこの状態では戦えんか)

(くそっ)

(治れ!)

(治れ!)

その瞬間、何かが起こった。

みるみる傷が修復され、首の骨が正常な状態へと戻ってゆく。

驚きつつも、レカンは〈立体知覚〉で周囲の状況を探っていた。

ヴィスカーは右手の曲刀を振りかざしてレカンに襲いかかろうとしている。

判定役のハイデントは硬直したように動かない。

レカンは奥の手を使った。

〈収納〉に入っている〈 爆裂剣(ゴープスシラー) 〉を目の前に出現させたのである。手を使わずに物品を取り出すわざは〈収納〉の機能が進化したことで使えるようになったが、大量の魔力を消費するため、めったには使えない。

ヴィスカーは、振りおろす剣の前に突然現れた〈爆裂剣〉を曲刀ではじいた。そのとたん刃筋の方向に爆発が生じた。その爆発はヴィスカーを直撃はしなかったが、ヴィスカーは攻撃を中断して後ろに跳び下がった。

跳び下がると同時に、ヴィスカーは、立て続けに左手のショートソードで三度魔法攻撃をレカンに放った。そのことごとくは〈インテュアドロの首飾り〉の障壁に阻まれた。

相変わらず仰向けに倒れたままのレカンは、〈立体知覚〉で状況を把握する以外、何もできない。

ヴィスカーは左手のショートソードを投げ捨てて曲刀を左手に持ち替え、右手で短槍を続けざまに三本取り出し、投擲してきた。倒れた敵に槍を投げて当てるのは存外むずかしい。だがヴィスカーは投げ槍もうまかった。

一本目は胸に当たり、女王蜘蛛の軽鎧にはじかれた。

二本目は右肩に当たり、〈貴王熊〉の外套にわずかに傷を付けた。

三本目は左頬に当たり、肉をえぐり、骨を削って、はじけ飛んだ。

攻撃が通ったことに力づけられたのか、ヴィスカーは再び右手で曲刀を振り上げ、倒れたままのレカンに飛びかかってきた。

そのとき硬直が解けた。

「〈展開〉!」

〈ウォルカンの盾〉が現れ、ヴィスカーの攻撃を受け止める。

これが〈ザナの守護石〉には攻撃と判定されたのか、ヴィスカーの曲刀は大きくはじかれ、持ち手のヴィスカーも思わず後ずさった。そのことによってレカンは体勢を立て直す貴重な時間を得た。

「〈炎槍〉!」

レカンは猛獣のような素早さで起き上がりつつ、右手で〈炎槍〉を放った。

その〈炎槍〉はヴィスカーの顔を直撃したかにみえたが、何かの障壁に阻まれた。

完全に起き上がったレカンは、右手を懐に突っ込んで〈彗星斬り〉を取り出すと、その勢いのままヴィスカーにたたき付けた。だが魔法障壁が現れてばちばちと光を発し、〈彗星斬り〉は食い止められた。

ヴィスカーはいつのまにか左手に曲刀を持ち替えていて、レカンのがら空きの右脇腹に素晴らしい速度の斬撃をたたき込んできた。

レカンは半歩前に進み出て外套で敵の攻撃を受けつつ、呪文を唱えた。

「〈縮小〉!」

ヴィスカーが追撃を放つべく曲刀を引くのと、レカンが左手を突き出して次の呪文を唱えるのが同時だった。

「〈雷撃〉!」

〈雷撃〉がヴィスカーの顔の真ん前ではじけてまばゆく発光し、ヴィスカーの視界を奪う。

「〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉!」

左手で放った魔法攻撃はすべて障壁に阻まれた。レカンは冷静に〈立体知覚〉で相手を観察している。ダメージは与えられていないが着弾の衝撃は伝わっているようで、ヴィスカーはのけ反りをこらえるのが精いっぱいで反撃には転じられない。

「〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉!」

レカンは右手に〈彗星斬り〉を持ったまま、左手で〈炎槍〉を連射し続ける。

「〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉!」

〈ザナの守護石〉の恩寵が働き、枯渇寸前だった魔力が充填され、〈炎槍〉が威力を増す。レカンの右目は爛々と光っている。

「〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉! 〈炎槍〉!」

魔法攻撃を連発し続けたところ、ついに相手の障壁が切れ、〈炎槍〉が体を直撃した。

「ぐあっ」

レカンは〈炎槍〉の連発をやめた。するとヴィスカーもさすがの戦士であり、曲芸のような動作で曲刀を右手に持ち替えると、レカンに突き込んできた。

だがそれこそがレカンの罠だった。レカンはじっくりと相手の動きをみさだめていたのであり、この攻撃をすっとかわした。攻撃するときには隙ができる。その隙をレカンはみのがさない。

〈彗星斬り〉が一閃し、ヴィスカーの右手をひじの上で斬り飛ばした。

「〈炎槍〉!」

今度の〈炎槍〉はヴィスカーの顔面を直撃した。

声も上げずヴィスカーは後ろに吹き飛んだ。

仰向けに倒れて地に跳ねて力を失ったヴィスカーの喉元に、レカンは〈彗星斬り〉の切っ先を突き付けた。

「勝負あり! レカン殿の勝ち!」

ハイデントの判定の声が響きわたった。