軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「スマーク侯爵にはお会いできましたが、晩餐に付き合わされました」

「はは。それは大変だったな。だが晩餐に招かれたぐらいなら、話はうまく進んだのかな」

「はい。マンフリー様。決闘場所はツボルトに決まりました」

「ツボルトだと」

「そうだよ、レカン。ツボルトはマシャジャインとは一定程度取引がありやり取りがあるが、それ以上ではない。スマークは定期的に騎士団をツボルト迷宮に潜らせている。つまりワズロフ家からみてもフォートス家からみてもノーツ家は、ある程度関係があって信用でき、少々の無理も頼め、そしてどちらか一方に親しすぎない。そして今回の立会人となるにふさわしい格がある」

レカンはツボルト迷宮でギド騎士団と出くわしたことがあるが、スマーク騎士団も迷宮騎士を養成していたようだ。

「いつだ」

「それはまだ決まっていない。これからフォートス家とインドール家がノーツ家に会場の貸与と立ち会いを依頼し、日を決める」

「インドール家?」

「はい。マンフリー様」

「どうしてインドール家が関係するのだ。これはフォートス家とワズロフ家の問題だ」

「マンフリー様。事情が変わったのです。三十日に私たち四人は〈雪花亭〉で会いました。そのときあらためて私から、王都では妙な干渉があるかもしれないという危惧を示しました。それを聞いてソルスギア様もしぶい顔をして、ありそうなことだ、とおっしゃったのです。そしてヘレス姫が」

「ヘレス姫が?」

「私の代理人がレカンだと知って、レカンの戦いをみとどけたい、と言い出されたのです」

「ああ、そうか。レカン殿のパーティーに入れてもらってニーナエ迷宮を踏破したのだったな。なるほど」

「それで、二つの決闘は、ともにツボルトで行うことになったのです」

「まあ、あちらがどこで決闘しようが、こちらには直接関係がない」

レカンとしては、ツボルトにはいずれ再挑戦するつもりだったが、今はまだ早すぎる。あの最下層の主と今再戦するのは無理だ。

(待てよ)

(ツボルト迷宮)

(エダもいる)

(持ってこいじゃないか!)

「ノーマ」

「レカン。ツボルトが会場で構わないだろうね」

「もちろんだ。何の差し支えもない。ところで、日が決まった知らせが来るのはいつごろだ?」

「使者は二日前に出たはずだ。王都からツボルトへは八日ぐらいかかる。ワズロフ家に連絡が来るのは早くて八の月の五日ぐらいだろうか」

「その知らせを受けて決闘当事者たちがツボルトに着くのはいつごろだ?」

「王都にいるペンタロス殿やソルスギア殿が知らせを受け、出発し、ツボルトに到着するのは、最短でいえば八日の三倍、つまり二十四日かかるから、八の月の十五日ということになるね。ただし実際には最低でもそれより四日以上はかかるだろう」

「よし。オレとユリウスは、これからツボルトに行く」

「え?」

「なに?」

「エダを連れて行ってもかまわないか?」

「それはかまわないけど、いったいどうしてそんなに急ぐのかな?」

「迷宮だ」

「え?」

「うん?」

「エダとユリウスをツボルト迷宮に連れて行ってやりたい」

「レカンと迷宮に行けるの?」

エダが喜びに輝いた目でレカンをみた。

「ああ。お前が必要だ」

「あたいが、必要」

「それにお前の生命力ももう少し底上げしておきたい」

「うん! あたい、レカンとツボルト迷宮に行く」

「ははははははは」

突然マンフリーが大声で笑い出した。この人物がこんな人間くさいふるまいをするのをレカンははじめてみた。

「ははは。ノーマ、恐れ入ったな。レカンにとってはフォートス家が誇る切り込み隊長との決闘など、眼中にないのだ」

「レカン。君という人は、まったく」

ノーマががっかりしたようすでため息をついた。

「マンフリー」

「うん?」

「決闘の日と場所が決まったら、密偵を寄越してくれ。オレたちは、〈ラフィンの岩棚亭〉という宿にいる」

「わかった。馬車は一台でいいな」

「うん? 誰の馬車だ」

「君とエダ殿とユリウスをツボルトに送り届ける馬車だ」

「馬車はいらん。走ってゆく。厚意には感謝する」

「いくら君でも、ツボルトまで走り詰めというわけにはいかんだろう。少しは体力も残しておかねばならんだろうし」

「いや。これも鍛錬だ」

レカンはすぐにも出発しようとしたが、ノーマが今夜の夕食だけは一緒に食べたいと言ったので、出発は翌日になった。

出発の直前、レカンはマンフリーの書斎に呼ばれたので、一人で出向いた。

「レカン。今回の決闘では世話になる。よろしく頼む。これはわずかばかりだが、私からの贈り物だ。受け取ってほしい」

侍従が歩み寄り、小さな布の袋をレカンの前に置いた。

「ほう。それはすまんな」

レカンは中身を取り出した。

ポーションだった。

ただし、レカンがみたことのないポーションだ。

白く輝くような色のポーションだった。

(これは)

(〈神薬〉か!)

「さすがに君でも、みるのははじめてかな。〈神薬〉だよ」

「これを、くれるのか?」

「はじめはわが家の秘蔵する武器か防具か装身具を提供しようかと思った。だが百五十階層もの大迷宮を踏破した冒険者なのだ。装備も充実しているだろうし、使い慣れたもののほうがいいだろう。だから消耗品を差し上げることにした。それはもう君のものだ。必要なとき遠慮なく使ってくれたまえ」

〈神薬〉は確かに希少なものであり、高価な品だ。だが、国中を探せばないわけではない。さすがに二大侯爵家の一つだ。こんなものを所持していたのである。

ただし、いくらワズロフ家であっても、おいそれと人に譲れる品ではない。これが最大限の好意であることは、レカンにもよくわかった。

「ありがとう。使わせてもらう」

レカンは立ち上がり、胸に手を当てて礼をした。

マンフリーも立ち上がって答礼をした。

「君の勝利を祈っている」