軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「えっ。もしかして、ピジョーの薬かい?」

「ピジョー?」

「薬師だよ。この町の筆頭薬師サマさ」

「ほう。この町にも薬師がいるのか」

「侯爵サマが大枚はたいて招聘した超一級の薬師サマさ。何しろ薬聖サマの直弟子だってんだからね」

「ほう。それはすごいな。ところで侯爵というのは誰だ」

「おいおいレカン。いくら何でもこの町の領主様を知らんということはないよね?」

「ああ、領主か」

誰が領主だろうと、どんな爵位があろうとなかろうと、迷宮探索の邪魔さえしなければレカンにはどうでもよかった。

「まさか、ほんとに知らないのかい?」

「知らん」

「あきれたね。ギルエント・ノーツ侯爵。この国に十三人しかいない侯爵の一人さ。それはそうと、その薬、みせてくれるかい」

ヨアナはレカンから薬を受け取り、しげしげとみつめた。

「うーん。これ、いったいどうやって手に入れたんだい?」

「自分で作った」

「はあ? なんだ、パチモンかい」

「効き目はあるぞ。それはやる。試してみろ」

「ふーん」

ヨアナは疑わしげな目でレカンをみた。

それでも試してみる気になったようで、水筒を取り出し、丸薬を水で喉の奥に流し込んだ。

「さて。あたいのほうは準備できたよ。もう一か所ぐらいは行くんだろう?」

「そうだな、次はどこに行くか」

ブルスカは、レカンの顔をみた。

レカンは答えた。

「八十九階層に行ってみよう」

ブルスカは、しばらく考えたあと、うなずいた。

「よし。行ってみよう」

「ブルスカ。五人で八十階層台は、ちと無理ではないかのう」

「いや。過去の迷宮踏破者たちをみても、最も活躍しているのは五人組のパーティーだ。実際、八十階層台でも九十階層台でも魔獣の数が多すぎて、十人のパーティーじゃあ、部屋が狭い。能力が高くて連携のしっかりしたパーティーなら、五人パーティーが一番自由に動ける」

「うーん。そうは言うがのう」

「やってみたらどうだい。ただしあたいは入り口の前から動かないけどね。危ないと思ったらすぐ逃げさせてもらうよ」

「ふむう。ヨアナがそう言うなら、行ってみるかのう」

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「入り口の前二歩以内には魔獣はいない。魔獣のうち〈赤肌〉四体は右側に、〈黒肌〉五体は左側にいる。固まってはいない。つまり空いた空間はない」

「そりゃ、面白い配置だな。よし。突入順は、アリオス、レカン、ツインガー、ぼく、ヨアナだ。アリオスは、一人できついけど〈赤肌〉四体を押さえてほしい」

〈赤肌〉は、胸から上を攻撃すると、すぐには魔法を撃てない。〈黒肌〉が交じっていなければ、一人で四体を足止めすることは可能だ。そう長い時間はもたないが。

「了解」

「レカンとツインガーは〈黒肌〉五体を左奥に引きつけておいてほしい。ぼくが後ろから一体を倒し、ヨアナが一体を倒せば〈黒肌〉は三体になる。ヨアナに足止めしてもらえば、〈黒肌〉三体を倒すのはむずかしくない。そのあとは全員で〈赤肌〉を片づける」

ヨアナが保護魔法をかけ、〈豪炎斬〉の準備詠唱を終えた。

「準備はいいかな。よし、行け!」

アリオスが飛び込み、すぐあとでレカンが飛び込んだ。

レカンの役目は、一体たりとも〈黒肌〉を右側に行かせないことだ。だから五体の〈黒肌〉のうち一番右側の個体に襲いかかった。

〈オドの剣〉が一閃し、魔獣の首を刎ね飛ばす。

一瞬遅れて入ってきたツインガーは、左端の個体の足を突き、その右側の個体の腹を突き、するりと左に身をかわして左側の個体の後ろに入った。

アリオスはといえば、突入の直後一番手前の〈赤肌〉の首を飛ばし、残り三体の〈赤肌〉に傷を負わせて右奥に走り抜けている。

ブルスカが部屋に突入したのを探知しつつ、レカンはさらにもう一体の〈黒肌〉の首を斬り飛ばした。

強力な恩寵を持つ〈オドの剣〉の威力はすさまじく、防御力の高い〈黒肌〉のネックガード状の張り出しもろとも一撃で首が飛ぶ。

ツインガーは、ハンマーを振り上げようとした〈黒肌〉の胸を石突きで突いてはね飛ばし、その後ろから迫る〈黒肌〉の喉に短槍を突き込んだ。

このときブルスカが奇妙な行動をとった。レカンのほうに駆け出したのである。そしてツインガーがはじき飛ばした〈黒肌〉と衝突してしまった。

ブルスカのすぐあとに部屋に入ったヨアナは、左翼の〈黒肌〉のどれか一体を撃破すべくあらかじめ杖を構えていたが、ブルスカが邪魔で魔法が撃てない。

ブルスカと衝突した〈黒肌〉は、くるりと半回転して入り口側によろめいた。その目の前にはヨアナがいる。〈黒肌〉は態勢を立て直し、ハンマーを振り上げた。

「ヨアナ!」

ツインガーが叫んだが、目の前の〈黒肌〉の攻撃をさばくのに手一杯だ。

レカンが剣を投げた。

その剣は、ヨアナに襲いかかろうとした〈黒肌〉の背中に突き刺さり腹に抜ける。それで死ぬ魔獣ではないが、一瞬動きが止まった。

ヨアナの目の前に、ちょうど魔獣の喉がある。

レカンは叫んだ。

「撃て!」

「〈豪炎斬〉!」

ヨアナの魔法で魔獣の首は高く吹き飛び、天井に激突して落ちてきた。

「〈 展開(パシュート) !〉」

ヨアナの発動呪文と重なるようにレカンが唱えた。

「ツインガー! 目の前の敵に集中しろ!」

レカンは右翼に走り、〈赤肌〉一体の頭を〈ウォルカンの盾〉で張り飛ばした。

それによってアリオスには余裕が生まれ、たちまち残る二体の首を刈り取った。

ツインガーも最後の〈黒肌〉にとどめを刺した。

宝箱が二つ出た。大赤ポーションと大青ポーションだった。魔石を回収し、一同は空き部屋に移った。