軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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4

第二階層も、第一階層とまったく同じような構造だった。

蜘蛛も一つのくぼみに一匹か二匹がいるだけだ。ただし、その大きさは、第一階層の倍ほども大きい。

「ふむ。これが斑蜘蛛の第二階梯か。能力は第一階梯と同じく〈弱毒〉か。ヘレス、何か特筆することは?」

「ない。第一階層と、能力は同じだ。体が大きくて、少しすばやい。糸をはく間隔も、第一階層の半分ほどだ」

つまり、まったく大したことのない敵だ。

二匹の蜘蛛がいるくぼみを、レカンは指さした。

「エダ。そこに降りろ」

「うん!」

「オレが指示するまで武器は抜くな。近距離で敵の攻撃をかわし続けるんだ」

「わかった」

「これは敵を引きつけ、動きをみきわめ、かわす訓練だ」

「りょーかいだよ」

「行け」

エダは素晴らしい速度で坂を駆け下りた。

一度至近距離に近づくと、二匹の蜘蛛はエダを追いかけはじめた。

蜘蛛二匹のようすをみながら、後ろ向きでエダは逃げ続ける。蜘蛛に追いつかれない程度の速度を保ち、蜘蛛に挟まれないよう進路を工夫している。

(逃げ方がうまいな)

(きちんと敵の動きが予測できている)

そのうち、蜘蛛が立ち止まってぷるぷる震え、糸をはいた。

エダはじゅうぶんな余裕をもって、それをかわしている。というか、糸をはくとき蜘蛛は停止しているので、手持ちぶさたなようすだ。

「よし! 殺せ!」

待ち構えたようにエダはショートソードを抜いて二匹の蜘蛛を殺し、魔石を取り出して坂を駆け上がった。

「はい、魔石」

「お前、斑蜘蛛とは戦ったことがあるのか?」

「いや。はじめてだよ」

「そうか」

5

第三階層の魔獣は斑蜘蛛の第三階梯とやらで、〈弱毒〉を持っている。

ちらりと魔獣をみたレカンは、この階層を素通りした。

第四階層の魔獣は斑蜘蛛の第四階梯で、第五階層は斑蜘蛛の第五階梯だ。この二つの階層も素通りした。

第六階層の魔獣は、斑蜘蛛の第一階梯変異種だ。〈弱毒〉と〈睡眠〉を持っている。

「へレス。次の第六階層の魔獣について説明してくれ」

「大きさは第一階層と同じだ。つまり第五階層より小さくなる。第一階梯変異種というのは、動きがこれまでと段違いに速い。小さくなる上に速度が増すから、はじめてここに来ると不覚をとる者が多い」

「なるほど。〈睡眠〉とは、どういう攻撃で、効果はどの程度だ」

「これが厄介なんだ。五歩くらいの距離に近づくと、ここの魔獣は〈睡眠〉を放ってくる。これは接触する必要がない種類の魔法攻撃であって、目を合わせたりしなくてもかけられる。かかると意識を失う。ただ、発動する前に体が特徴的な振動をするので、かけられる瞬間に素早く動けば、かからずにすむことがある」

「そんなめんどくさいことはしていられないな。あんたは抵抗装備を持ってるだろうな?」

「ああ」

「アリオス?」

「だいじょうぶです」

「よし、第六階層に入るぞ」

第六階層に入ったレカンは、エダに命じた。

「エダ。そこのくぼみに降りて、魔獣を殺せ。ただし最初は回避に撤して、〈睡眠〉攻撃を受けてみるんだ」

「わかった!」

「レカン殿」

「うん? なんだ」

「エダ殿は、その、抵抗装備を持っているようにみえないのだが」

「ああ、こいつには装備はいらん。行け、エダ」

「行ってきまーす」

エダはくぼみに降り、しばらく魔獣から逃げ回っていたが、やがて殺して魔石を持って帰ってきた。小さな魔石だ。

「どうだった?」

「全然だね。〈睡眠〉を使う魔獣だって聞いてなかったら、何されたかもわかんなかったかも。蜘蛛から飛んできた魔力が、するっと体の表面をなでて消えていく感じだったよ」

「そうか。ところで、へレス」

「何だろうか」

「この階層から急に冒険者の数が増えた。なぜだ」

「この階層から、蜘蛛がはく糸の質が、格段によくなるからだ。しかも階層ごとに特性がちがう。第六階層は、弾力のある糸で、第七階層は不燃性の糸、第八階層は非常に耐久力にすぐれ、第九階層は着色しやすい、そして第十階層は非常に美しい糸なのだ」

「なるほど。では第七階層から第九階層までは戦闘せずに降りる」

歩いてゆくと、ほかの冒険者が戦っている場面をいくつかみかけた。

檻のようなものを蜘蛛にかぶせて、離れてみまもっている冒険者が多かった。

「あれは何をしているんだ?」

「蜘蛛を檻に閉じ込めて、糸をはかせているのだ。はき尽くしたら殺す」

「なるほど。だが、あの冒険者たちは、みんな〈睡眠〉に抵抗できる装備を持っているのか?」

「いや。ここらあたりの階層にいる冒険者には、そんな高い装備は買えないことが多い。気付け薬の薬草を噛みながら蜘蛛に檻をかぶせていると思う」

その後、第十階層でエダに戦闘をさせた。

ここの蜘蛛はエダの腰ほどまでの大きさで、足もそれなりの長さがあったので、レカンはいつでも援護射撃できるように構えていた。

だがエダは、飛びかかってくる蜘蛛を、ひょいと跳び上がってかわし、そのまま空中でショートソードを振った。その一撃で蜘蛛は死んでしまった。死体から迷いなく魔石を取り出すと、エダはレカンのもとに戻った。

「はいっ。魔石だよ」

「よくやった。どうして蜘蛛の急所がわかったんだ?」

「だって、心臓でしょ?」

「上出来だ。では次に、こっちのくぼみの蜘蛛を、ここから弓で倒せ」

「わかった!」

エダは〈イシアの弓〉を出し、矢を出現させ、無造作に放った。

その矢は蜘蛛の心臓を貫いたようで、たちまち蜘蛛は死んだ。

じっとしていたから狙いやすかったのかもしれないが、くぼみの底までは相当の距離がある。高度な精密射撃だ。しかも心臓の位置を的確にみぬいた。

「エダ殿。なんと見事な腕だ」

「ほんとですね。これはすごい」

「えへへへへ」

「魔石を取ってこい」

「はいっ」

エダが取ってきた魔石を受け取ると、レカンは言った。

「よし、休憩だ。食事にしよう」