軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ラウレータの小さな冒険 ④

「美味しい」

私は今、王都で売ってある軽食を食べている。美味しいパンのお店。昔からパン屋を営んでいる家の美味しいパン屋だ。店内で食べることもできるので、食べさせてもらっている。

昼食の一番混む時間帯は避けた。人気のパン屋さんなので、混む時間帯に来ると大変なの。値段もお手軽。

人気のパン屋なのだと分かるぐらい、美味しいの。

ちなみにちゃんと毒などが紛れ込んでないか確認もしてもらっている。まさかこんなところで事件なんて起こるわけがないと思っているけれども、私がお母様とディオ父様の娘だからこそ怖いことを考えている人も多いらしい。

お母様もディオ父様もスラファー国のために一生懸命頑張っている。その結果、この国が良い方向に向かっているのは確かなことだ。というか、二人のおかげで生活が良くなった人も多いのだろうなと思っている。

だけれどもそれだけ行動を起こしていれば、嫌な感情を抱く人もいるみたいなの。

あとはお母様が人気なことが気に食わないとか、ディオ父様と結婚したのが羨ましいとか思う人もいるらしい。ディオ父様は凄くかっこいいからそう思う人が居てもおかしくないとは思う。

逆にお母様が綺麗で、優秀な人だからこそディオ父様のことを羨ましく思っている人もいるみたい。

ディオ父様は王族でもあるから、その産まれも妬ましいとそう思われていたりするんだとか。産まれって、どうしようもないものだよね。

でもどう生きて行くかで、将来は色々変わっていくんだろうなと思うと私はこれから何をしよう? と考えるのが色々と楽しみだったりする。

そう言う人たちの行動は予想が出来ないとも聞いた。

だからこそ何かあった時のために、徹底して警戒する必要もあるらしい。お母様とディオ父様はそういうところもしっかりしている。本当に凄いなと思ってならない。

パンを食べた後は、また王都を歩き回る。

周りの人を観察し、困っている人が居ないかどうかを見ているの。もしいたらね、声をかけてあげられたらと思っている。

私はまだ子供で、出来ることは少なくても私に出来ることはやっておきたいから。

あのお姉さんは、大切な人でも待っているのかもしれない。何だか嬉しそうな表情をしているように見える。

あのお兄さんは、買い物帰り。食材を沢山持っているように思える。家族が多いのかな?

あっちにいる露店のおじさんは……ちょっと高めに商品を設定しているみたい。法律に反するような値段ではないけれどギリギリのライン。うーん、良心的な値段じゃなければ流石に誰かに言うけれど、あの程度だったら言わなくてもいいかな。

私はそんなことを考える。

なるべく王都内で何かしらの問題が起こらないように私だって何かしたい! そう思うのは、私がお母様とディオ父様の子供だから。

二人の子供として、下手なことはしたくない。私の行動のせいで大好きな人達が悪いように言われるのも嫌。そんな風には思っている。

そもそもお母様は散々噂で苦しんだ人なんだから、もうそれで苦しんでほしくないとも思っているの。

私はお母様を誰にも傷つけさせたりしないようにするの! 私がお母様を守れたら嬉しい。

お母様はね、いつも私の事を守って助けてくれるから、私だってそうありたい。

お母様は、私の憧れなの。私はお母様のようにいつかなりたい。だから色んな人を助けられる人になりたい。だからこうやって何気ない日常の中で何か出来ると嬉しいよね。ちょっとしたことでも良いことが出来たら私はその日はご機嫌になれるもん。

そんなことを考えながら王都を歩いていく。

そうしていると一人の子供――とはいっても私よりは年上の男の子が目に留まった。

その子は一人でいるからか周りから話しかけられて、でもすぐに話しかけた人は去っていく。

何をしているんだろう?

どうしてそんなところでずっと立っているの?

不思議に思いながら、しばらく観察する。だけれども誰かが駆け寄ってくる気配もない。待ち合わせでもしているのかなと思ったけれど違うみたい。

ただ話しかけた人も結局困惑した様子で去って行ったりするから、何か理由があるのかな。

私よりも年上とはいえ、一人でずっといるのって不安なことだと思う。それに身なりが良さそうに見えるから、事件に巻き込まれたりするかもしれない。

そう思うと心配になった。

「ずっと一人で居るけれど、大丈夫?」

私が近づいて声をかけると、びくっとされる。

そして漏れた言葉は……『子供?』という、このあたりでは聞きなれない遠く離れた国の言葉だった。

ああ、そうか。もしかしたら話しかけた人は言葉が分からなかったのと、人を引き寄せないような態度で去っていったのかも。

言葉が分からないって凄く不安なことだから。

そう考えると言葉って凄いよね。知っていれば、全く違う場所に住んでいる人達が分かり合えることが出来るんだから。

『一人、大丈夫?』

私はお母様ほど、喋れるわけじゃない。だけどカタコトでなら、なんとなくなら意味を伝えることが出来る。

私の言葉に、少年は驚いた顔をした。

『迷子……』

そして絞り出すように、そう口にした。