軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

女性が生きやすい環境づくり ⑱

その後、エンムントのことは他の者に頼んで一度屋敷へと戻ることにする。

「ねぇ、お母様。あのお兄さんみたいに突然仕事がなくなってしまったりとかってよくある話なの?」

「そうね……。真っ当な雇い主はそんなことをしないけれど、時々ある話だわ」

「そうなると大変だよね。お仕事がないとお腹がすいたりしちゃうよね」

ラウレータはエンムントの話に色々と考えさせられてしまったらしい。少し不安そうな顔をしているラウレータを診て、私は屈んでぎゅっと抱きしめる。

「お母様?」

「ラウレータは本当にいい子ね。私の自慢の娘だわ」

「私にとってもお母様は自慢のお母様だよ!」

「ふふっ、ありがとう。私やカウディオ、それにお城に勤めている文官達もね、そういう問題が起きないように整えているのだけど中々難しいの。でもお母様たちは頑張るからね」

正直言って全てをどうにかするというのは不可能に近い。どれだけ法整備をしても、その抜け道を見つけてしまう人というのはいる。出来うる限り目の届く範囲の人達が幸せであればいいなんて私は思うけれど、零れ落ちてしまうものはある。

だけど――、最初からあきらめたりなんてしない。出来うる限りでも構わない。私は私が出来ることをただやるだけだもの。

そう決意した私は屋敷に戻った後、カウディオに話を通した上でエンムントの言っていた親方の情報を集めていくことにする。

表面上のことは知っている。

だけれども、裏側のことは知らない。

だからこそ、その情報をきちんと調べておかないといけない。

そのために私は人脈を使う。

私一人の力だけでは、決して見つけることも出来ない情報も――数の力があればどうにでも出来る。

私は人より記憶力がある。そういう能力は長けていると思う。だけど情報収集などの私一人ではどうしようもない事に関しては周りの力も大いに借りているの。

集まった情報をどのように使うかは、私が決めること。

花びら達には下手な行動は起こさないようにとは言ってある。とはいえ、流石に看過できないことが起こったのならば手を出して構わないとは言っているけれど。

こういう風に何かを頼んだ時には、本当に花びら達は優秀だなと嬉しくなる。

ただ人の言うことを聞くだけではなくて、自分の意思で、取捨選択をきちんとしている。

あとは王家の諜報員たちの力を借りたりもする。

そうやって情報を集めると、様々なことが分かってくるのだ。

陛下には私の裁量で好きにやって構わないとも伝えられているので、どういう落としどころをつけるかも含めてどうすべきか組み立てないと。

「クレヴァーナ、夜遅くまで考え事?」

「ええ。こうしている間にも、もしかしたら不幸な目に遭っている人が増えているかもしれないもの」

これから何をどうするか、頭の中で計算をしているとカウディオに話しかけられる。

気づいたらかなりの時間が経過してしまっていた。同じようなことが起こった時に実際にどのように対応が進められていたのか。そのあたりも頭の中の情報を整理したり……、そういうことをしていると気づけば夜なんてことはよくある。

なるべく早めに対応を進めたいなとそう思ったのは、エンムントの話を聞いた限り――放っておけばおくだけ、何かしら被害を出しているようなそんな直感が働いている。

「それでも無理をしすぎてクレヴァーナが倒れたら私は悲しい。だから、寝ようか」

「そうね。寝不足は体に毒だもの」

私はカウディオの言葉に頷く。

睡眠を削った人は若くして亡くなる人も多い。私が読んだことのある書物の作者や描かれている偉人なんかで無理をしすぎて亡くなった人も知っているもの。目的を叶えるためにと無理をしすぎる人も世の中にはいるだろうけれど、自分の命は大事だと思う。

だからきちんと寝ないといけないとは思っている。

カウディオと一緒にベッドへと向かう。

ラウレータは既に自室で眠っているようだ。私がなるべく規則正しい生活をした方がいいと言っているのもあってラウレータは基本的にそういう生活を送っている。そもそも離れていた二年間も、夜更かしなどはしなかったみたいだけど。

「いくつも手を出していて大丈夫か? もし手に余るようなら他の者に任せてもいいから」

「やってみて難しそうならそうするわ」

私はカウディオの言葉に笑った。

私が『知識の花』として活躍すればするほど、他とは違うと、どれだけの量を任せても問題がないとそんな風に決めつける人はそれなりにいる。それでいて私がすぐに解決策を出せないと、期待外れだとそんな風に称する人だっている。

だけどカウディオは、私がどれだけ活躍してもこうやって当たり前みたいに心配してくれる。そういう一面も、カウディオの好きなところだ。

色んなことに興味を抱いて、色んなものに取り掛かりそうになるけれど私自身は一人しかいないのだから順番に片付けていくしかない。

エンムントから聞いた話に関しては長期戦になりそうならば、花びらの誰かに一任する形にはするかもしれない。

そんなことをつらつら考えながら、私はカウディオの腕の中で眠りについた。

――その翌日には、私の知りたい情報は全て集まっていた。やっぱり私の周りには優秀な人達が多い。