軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ラウレータの世界 ⑨

私はお母様に抱き着いて、わんわん泣いた。

お母様とお父様が会話を交わしていたけれど、それはあんまり頭に入ってこなかった。

私はただお母様が目の前にいることが嬉しかった。そしてお母様が私の名前を呼んでくれることが嬉しかった。――お母様にぎゅっと抱き着いているだけでも私は胸がいっぱいだった。

私はあんまりこうやって感情を出したりしないほうだ。

でもお母さまがいるんだって思うと全然我慢できなかった。

もっとお母様に大きくなったんだよって、成長したんだよって見せたいって思ったけど、でもやっぱりお母様がいるのが嬉しいんだもん。

「ラウレータ」

お母様にぎゅっと抱き着いていると、お母様に話しかけられる。

「なぁに?」

「ラウレータはこれから、何処で生きていきたい? お父様のところ? それとも私のところ?」

お母様がかがんで、私と目線を合わせてそう問いかけた。

「それって、お母様と一緒に居られるってこと?」

「ええ。貴方がそうしたいなら。その場合は……この国ではなく、今、私が暮らしているスラファー国へと向かうことにはなるわ。そして今の生活とはがらりと変わってしまうことにはなるの。だから、そのあたりはちゃんと自分の気持ちに正直にね」

お母様は優しい笑みを浮かべている。その笑顔を見ていると、ほっとした。

お母様はきっと、私がどちらを選択したとしても私のお母様なんだなと思った。私の味方で居てくれて、例え距離が離れていても私のことを大好きでいてくれる。

そのことを踏まえた上で、私は考える。

私はどんなふうにしたいのか。誰といたいのか。

「お母様、私は――」

私は口を開いた。

「私は、お母様と一緒がいいの」

私がそう言ったら、お母様がまた笑った。

「本当に?」

「うん。私、お母様が大好きだから、一緒がいいの。お母様が居ないことがずっと寂しかった」

私はお母様と、ずっと一緒に居たいなってそういう気持ちでいっぱいなのだ。

お父様が新しい奥さんを迎えて、リネ母様はお腹に子供がいて。

そういう状況だからこそ、私はお母様の方に行った方がいいのかなって気もする。リネ母様は私に良くはしてくれているけれど、やっぱり少し気まずかったりする。それに子供が生まれた後だと、周りの環境も変わると思う。

何より私がお母様の事が大好きで、お母様の活躍を傍で見ていたいからそれがいいなって。

でも私はお父様と会わずにずっと過ごしているというのは嫌だと思う。どちらかとこれから一生会えないとかだったら悩むと思う。

でもお母様はきっとそれを許可してくれるだろうなと思った。

実際に私がそう口にしたら、お母様は「それは問題ないわ」と笑っていた。

なんだろう、お母様がなんだか昔より余裕があるような笑みを浮かべていて、嬉しくなった。お母様はきっと、今とても幸せなんだろうなというのが分かる。

それは隣に居る、王様の弟――カウディオ様のおかげなんだろうなって思う。

昔のお母様は穏やかに笑っているだけで、それ以上の何かを感じることはあまりなかった。

でも今のお母様は想像していた通りに、いや、それ以上にお母様は生き生きとしている。なんだろう自然体で、楽しそうで――別れる前と違って、もっと違う。

私は今のお母様の方が、好きだなって思う。

私のお母様がこれだけ凄い人だって、それが周りに広まっているのも嬉しかった。

「ラウレータ、これまで無理をさせていたな。すまなかった」

お父様にはそんな風に謝られた。

それから私と、お母様と、お父様で会話を交わした。

お父様が私の話をちゃんと聞いてくれたのは初めてだったと思う。

それにお母様とお父様がこんな風にゆっくり会話を交わしているのも――。うん、嬉しい。

もっと早くにこの光景が見られていれば良かったのになとは思うけれど、こうして変わっていったのはいいことだなって思う。

数日だけロージュン国に留まって、そのまま私はお母様たちと一緒にスラファー国へと向かうことになった。

ちなみにレナリも一緒に連れて行きたいって言ったら、一緒にいられることになった。

私はそれが嬉しくて、これからのことを考えると楽しみで仕方がない。

それから馬車で移動する間、ずっと私はお母様に話しかけていた。カウディオ様ともいっぱい話したけどね!

それにしてもお母様がこれだけ幸せそうに笑っている様子を見ると、私自身も楽しい気持ちでいっぱいになった。

「お母様、私ね……」

私がお母様に沢山話しかけると、お母様は笑って頷いてくれる。私の話を聞いてくれて、お母様の話も沢山聞いた。

お母様が隣国に行ってからの話は聞いていてとても楽しかったの。

お母様がね、少し苦労しながらも前に進んでいて。なんだかかっこいいなぁって思った。

お母様って、綺麗なだけじゃなくて、本当に凄い人なんだ。

そのお母様の凄さを知っている人ばかりが、隣国には居るんだなって思うと余計に楽しみ!