軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ラウレータの世界 ④

その人はよく、私に話しかけに来るようになった。隣にはお父様も居る。

お父様は見たことがないような優しい目をしている。

その人の名はキーリネッラ。

明るい茶色の髪の、お母様とは雰囲気が違う人。どちらかというと可愛い雰囲気の人。

お父さんはこういう人を好きなんだなぁと思った。

これまでやってきた新しいお母様候補の人たちよりも、ずっと話はしやすかった。

私がお母様のことを本当に大好きだということは納得してくれない。キーリネッラさんは子供が好きみたい。それでいて小さい子は幸せであってほしいって思っているみたい。お父様のことを慕っていて、とても前向きな人。

お花みたいに明るい笑みで、お母様とは雰囲気が異なる人。

多分、周りから嫌がられたりしたことはないのだろうなって、そう思った。

キーリネッラさんも、お父様も――、私がキーリネッラさんを受け入れることを望んでいた。というより、お母様よりもキーリネッラさんを嫌がるなんてありえないとそう思っているみたい。

キーリネッラさんは悪い人ではないとは思う。お母様のことを表立っては悪くは言わない。私の言葉を受け入れはする。……でもそれだけなのだ。

周りから聞いた通りのお母様を想像している。幼い子供は母親を好きなのは当然だから……、お母様しか私が知らないから……他の人を嫌がっているだけだとそう思われているのだと思う。

ただお父様はキーリネッラさんが好きで、私に受け入れて欲しいとそう思っているのはすぐに分かった。

誰一人、私が嫌がることを望んでいなくて。そもそも嫌がった所でお母様が帰ってくるわけではない。

だから他の嫌なことを言ってくる人たちよりはずっといいとそう思った。

――それに私がキーリネッラさんを受け入れれば、お父様は嬉しそうに笑うのだ。

私が見たことのないような顔をしていて、それが少しだけ寂しく思った。でも……、お父様が笑っているのは嬉しかった。

キーリネッラさんは、よく話すようになってからもやっぱり私の思っていることなどは理解してはくれない。

キーリネッラさんが屋敷によくやってくるようになってから、周りの雰囲気がよくなっている気はする。皆、キーリネッラさんのことが好きみたい。私も嫌いではないけれど、やっぱりお母様が居たらなぁとそればかり思ってしまう。

屋敷にもう居ないお母様のことを私はいつも考えている。

お母様は今、どうしているだろうか。

周りの人たちはお父様と別れたお母様はまともな暮らしを出来ていないはずだってそんなことを言ったりしている。

私が子供だからこそ、そういうのを理解出来ていないからって思っているみたい。お母様が居ないからこそ、そういう噂を流せるみたい。

……お母様は私と一緒で、屋敷の外にはあまり出たことがない。お母様自身もそう言っていて、知識を知っているだけだって言っていたけれど、きっとお母様ならどこでだって生きていけるんだろうなとは思った。

私はお母様が凄い人だって知っている。

沢山のことを知っていて、優しくて、綺麗な私のお母様。そんなお母様のことを知らない人ばかりだけど、私のお母様はずっと凄いのだ。

お母様は何処で何をしているんだろう。……お母様が新しい生活に夢中で、私を忘れたらどうしよう。会った時に、私のことをお母様が覚えていなかったら……。そうなったら悲しいと思う。

お母様から手紙なども届かない。お母様から手紙が届いたら、すぐに返事をするのになと思う。誰かに手紙を書くなんて私はしたことないけれど、お母様に手紙を書けたらきっと楽しいだろうなとも思った。

私は屋敷の使用人に、お母様から何か連絡が来てないかと聞いたりもした。困った顔をしていた使用人の顔を見て……、お母様からの手紙がもし届いていても私に渡されることはないのかもしれないとも思った。

お父様やその周りの人たちは私がお母様と関わり続けることをきっとよく思っていない。

私がキーリネッラさんを好きになって、お母様のことを忘れて、そうやって過ごすことをきっと望まれている。

でも幾らそう望まれても、私はお母様のことをきっとずっと忘れはしないだろうって思った。

私がキーリネッラさんと仲良くなれば、その分、周りが嬉しそうにしている。その方がきっと平和だから、そうした方がいいと思った。

私が大人になった時にお母様に会うためにも、受け入れていると思ってもらった方がきっと良かった。私自身、キーリネッラさんのことが嫌いじゃなかったというのもあるけれど。

私が受け入れているからと、お父様は益々キーリネッラさんとの距離を縮めていった。

お父様ってあんまり誰かとくっついたりするのが好きではないと思ったけれど、キーリネッラさんには近づいている。

キーリネッラさんと一緒に二人で喋るのは、お母様と話すのとは違う感覚。キーリネッラさんは基本的に明るくてなんだか友達と話しているのがこういう感じなのかなと思った。

そうやって過ごしている間に、キーリネッラさんとお父様が再婚した。