軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

二度目の王弟殿下と、私の気持ち ②

私と離縁して一年。その間、ウェグセンダ公爵家がどうなっていたか、私は知らない。

そもそも妻であった時から、私は嫁ぎ先の情報に関わることは全くなかったけれど……。

「やっぱりカウディオ殿下は私のことをご存じだったのですね」

私がそう言えば、カウディオ殿下はくすくすと笑っている。

「まぁ、隣国の公爵家の情報ぐらいは王族として知っているよ。クレヴァーナは私が君を知っていることが分かっていたんだな」

「態度で、なんとなくは。それに王族ならばそういう情報を知っていてもおかしくないですもの」

私はそう答えながらも心穏やかだった。

もっと過去のこととか、嫁ぎ先の話などを聞かされたら私自身が動揺するかもしれないとは思っていた。でもそうならなかったのは……、きっと今の方が大事だからかもしれない。それにカウディオ殿下が昔の私の噂などを知っていても変わらないというか、それで何かあるというわけではないからほっとしたのかもしれない。

「思ったよりも冷静だな」

「もっと動揺すると思っていましたか?」

「少しは」

「……私も思ったよりも自分が冷静で驚いています。正直、元夫が再婚したことは特に何も感じていないです。ただ娘がそれでどういう思いをしているかというのだけは気になります」

元夫に関しては再婚したと聞いてもショックなどはなかった。仮にも夫婦だったのに私は薄情なのかもしれないな……などと思う。

ただ娘のことだけは気になる。ラウレータは元気にしているだろうか。新しく出来た母親

と仲良くしているだろうか。ただそれだけを考えた。

「娘か……」

カウディオ殿下は少し変な顔をしている。そして続ける。

「クレヴァーナを見ていると、五歳の娘がいるようには見えないな」

「褒めてます? ありがとうございます」

「それにしても噂のクレヴァーナと、実際のクレヴァーナは全く違うな」

「そうですね。私が知らない間に広まっていた噂なので、私からしてみればあずかり知らぬことですが」

噂の私と、実際の私。

本当にそれは全く異なるものである。

そもそも私は昔と比べて変化してきている。あの状況が当たり前だったと思っていたあの頃の私と、今の私は違う。

今の私は故郷と同じ状況に陥ってしまえば、反撃し、抵抗するだろう。

「クレヴァーナほど有能ならば、噂をどうにかぐらい出来た気がするが」

「もしかしたら……やろうと思えばできたかもしれません」

私はカウディオ殿下から問いかけられて、そう答えた。

私はやろうと思えば、あの頃の現状を変えることが出来たのかもしれない。本気でどうにかしようとして、抵抗し続ければ……噂をどうにかすることぐらい出来たかもしれない。

周りからしてみれば私は取るに足らない存在で、現状をどうにかしようとするような気力もなかった。そして助けるだけの価値がないときっと思われていた。

そうじゃないのだと、行動したら違ったかもしれないのだ。

「そうなのか?」

「そうですね。今考えると私は噂を本気でどうにかしようと行動していなかったと思います。今の私よりもずっと何も考えてなかったですから」

謂れのない噂を流されていたことも、実家と嫁ぎ先のことも……思うことは色々ある。だけれどもそれは私が自分の意思で行動を起こしてこなかったから。

自分で何かを選択することなく、その状況を受け入れてしまっていたから。

「なるほど……。昔の君に会っていたらそれはそれで面白かっただろうな」

「いえ、おそらく故郷にいた頃の私を見てもカウディオ殿下は興味を抱かないと思いますよ」

本当にそう思う。

今、おそらく此処にいる私だからこそ、カウディオ殿下はこうして友人のようになってくれているのだと思う。

私の言葉にカウディオ殿下はおかしそうに笑っている。

私の反応とかを面白いと思ってくださっているのかもしれない。

「一先ず、元夫のことを教えてくださりありがとうございます。私には祖国の情報はそんなに入ってきませんから」

私はそう言って話を変えることにする。

いつまでもこういう会話をし続けるよりももっと違う話をしたいと私は思った。

「それより折角顔を合わせられたのですから、本の話をしましょう。私、カウディオ殿下にお勧めしたい本が沢山あるんです」

私がそう言って笑えば、カウディオ殿下も笑ってくださる。

それから私たちは本の話をするのであった。

こうやって共通の本の話を声に出して出来ることはとても楽しい事だった。

「では、今日はこれからお勧めされた本を読むことにするよ」

「はい。では、また」

その後はカウディオ殿下はまた個室で本を読むことになされたので、私は仕事に戻るのであった。

これからしばらくの間、カウディオ殿下はこの街に滞在なされるそうなのでその間にどれだけ話せるかなとそれが楽しみだ。