軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

焦るべき時

フェルメニアの白炎薙が消えると、炙られ溶けたレンガと焦げ臭さが充満する惨状の中で、グラツィエラは面白くもなさそうに 瞑目(めいもく) し、 漲(みなぎ) らせていた魔力を収めた。

水明とフェルメニアを見送ったまま動かない彼女の横に、従者が歩み出る。そして屈むように身体を曲げて畏まり、彼女に訊ねた。

「追いますか?」

「よい。奴らのことは捨て置いて構わん」

「よろしいのですか? 先ほどのあの男の物言い、不敬罪で引っ立てることも可能ですが」

「確かにそうだが、あの男は手負いだ。それに、あの男には白炎殿が付いている。あまり強く出過ぎると、今度ばかりはアステルと要らぬ摩擦がおきかねん」

「しかし」

「お前たちだけで捕まえて来れるというのなら許可は出してやらないでもないが、それはさすがにできぬだろう?」

グラツィエラは従者にそう言って、コートを翻す。横目で窺った従者の顔は、その任が困難なものだということを告げていた。捕まえに行くことになる相手は、グラツィエラが奥の手とする魔法を使わなければならないほどの手合いだ。十二優傑級の実力者を数人用意しても、厳しい捕り物になる。従者も、自らの実力は人後に落ちないという自負はあるものの、確実に捕えて来るという言葉を出せば、それは嘘になる。

一方他の者も、グラツィエラが睥睨しても、名乗り出る者はいないばかりか、額に汗をかいている始末。魔法使いとしての腕もそうだが、手を出せば女神の意向を蔑ろにすることになりかねないのだ。グラツィエラほど豪胆ならば可能だが、そんな人間はそう多くない。

「それに、さすがにやり過ぎるとまた兄上が怒るからな」

呆れたように息を吐いて、すぐにエリオットたちの方を向いた。

「では、貴様らは付いて来てもらおうか」

「……わかった」

「ふ、意外と物わかりがいいのだな」

「私も激しく不本意ですが、と付け足しましょうか?」

「いや、やはり小癪だったな」

と吐き捨てて、天幕に戻るグラツィエラにエリオットとクリスタが続く。クリスタは終始険しい表情だったが、主であるエリオットが承諾してはどうにもならない。

ふと、グラツィエラが立ち止まった。

「……少々不満が残るが、まあ今日はこれで終いとするよりないか」

素っ気ない物言いの中に、確かに満たされないという声音を滲ませ、半壊した広場に目を向けるグラツィエラ。剥がれたレンガ敷きの間から、土が漏れ出たように露出し、植え込みも生垣も飛び散っているそんな惨状。

そこは、彼女の魔法やフェルメニアの炎の魔法で壊されたものも多いが、何より広範囲に影響を及ぼしたのは、水明の魔力だった。魔力の波動に晒され、崩れたものは広場の括りを超えて存在し、そしてそんな惨状を作った強大な力の残滓は、未だ肌で感じ取るほど色濃くそこに残っている。

それがまだ出始めでしかなかったことは、グラツィエラも気付いている。ゆえに、手にじっとりと汗を滲ませつつも、やはり残念そうなため息をこぼしたのだった。

――声が聞こえる。

消えろ、消えろと、幼い声が。

叫んでいるのは、拒絶の声だ。この世の何もかもに絶望したような、そんな声。

悲痛な響きに誘われ、ふと目蓋を開けて前を見ると、そこには陽炎にとらわれたが如く 霞(かす) んだ何者かの姿とそして、焼かれ、打たれ、さんざんに痛めつけられた幼い姿があった。

幼い姿の方は、見覚えのある顔立ちだ。まだ 稚(いとけな) さの残る顔をいつも冷たく変え、心の内にある怯えをひた隠しにしている、そんな健気さがある。

だがいまその顔には涙を流したあとがあり、苦しみに打ちひしがれた虚ろな瞳が埋まっていた。

襲われたのか。襲われているのか――いや、 襲われるのか(・・・・・・) 。虫けらのように焼かれ、踏まれ、そんな風に、惨めな姿になるまでに。

それが彼女に与えられるべき報いと言うのなら、そも報いとは一体何なのか。それらは、救い難き外道に、蔓延る悪虐にこそ与えられるべきものではないのか。

だが叫ぶ声も質す声も、せき止められてしまったかのように己の口からは出て来ない。

そんな、ただ見ているだけの場景の中、幼い姿の慟哭が止んだ。やがて彼女がおこりのように震えると、その姿は黒く変色し、黒い泡沫と共に膨張していく。

受け入れてはいけないものを、遂に受け入れてしまったのか。

もとの姿が見る影もないほどに大きく膨れ上がると、周囲のものを呑み込み始めた。辺りに散った魔力も、彼女を痛めつけた何者かも、建物までも。黒い塊となって際限なく膨れ上がり、街を人を壊していく。

聞こえるのは、悲しみの声だ。何故と、何故なのかとその怒りのままに問いかけ、待てども待てども返らぬ答えに、絶望している。

何故、自分だけなのかと。何故、こんな姿になってしまったのかと、天に。そこにいるはずの最も高き存在に、求めるように。その答えを得たところで、もうもとの姿には戻ることができないにもかかわらず、ただひたすら胸の内に空いた 空虚(さみしさ) を、埋めようとするように。

泣く声が耳に残る。助けて欲しいという心の声が、裏返しとなった怨嗟の声。

どうして誰も、あの子を助けてはあげられなかったのか。そんな、誰一人として寄る辺のない孤独の絶望が、どうしてこの世では是とされてしまうのか。

正しいと肯定されても、泣く声は確かにある。

――だから、そんなものは許せないのだ。

正しいと肯定されても、救われない者は確かにいる。

――だから、そんな結果に抗うのだ。

正しいと肯定されても、この胸の内に吹き込む風は、決して止むことはない。

――だから、そんな声が聞こえるのだ。

起きろ、と。

起きてお前の遂げるべきことを遂げに行くのだと。

誘いの群青が、己が耳元で静かにささやく。

――これは呪いだ。父を、そして母を苦しめたこの呪いから、きっと自分は死ぬまで解き放たれることはないのだろう。

南広場からの脱出に成功したフェルメニアは、追っ手の存在を考慮し、逃走経路を表通りから裏通りへと移したあと、八鍵邸のある路地へと駆け込んだ。

そして、ひとまず水明を外に設えてある椅子に降ろして、テーブルに身を預けさせる。

すると、心配で外で待っていたらしいレフィールが、血相を変えて駆け寄ってきた。

「ふぇ、フェルメニア殿! これは一体何があったんだ⁉」

水明とフェルメニアを交互に見て、慌てるレフィールの訊ねに、彼女は苦々しい顔をしながら南広場でのことを説明する。南広場にはエリオットがいたこと、グラツィエラから犯人捜索のための強制的な徴用を命令されたこと、そしてそれを回避するために、水明がグラツィエラと魔術戦を行ったこと。

フェルメニアからことのあらましを聞いたレフィールは、顔色険しく呻いた。

「……さすがのスイメイくんも、あの怪我でグラツィエラ皇女の相手は厳しいか……」

「任せろと言った手前、不甲斐ない。スイメイ殿とグラツィエラ皇女殿下の戦いにはどうしても割り込むことができず。逃げることしか……」

「いや、あのグラツィエラ皇女相手に人一人背負って逃げて来たんだ。フェルメニア殿にしかできないよ。…………しかしグラツィエラめ、随分と好き勝手をしたものだな」

急に語調が変わったのは怒りのためか。そこにいない帝国皇女を睨み付けているかのように、レフィールは拳を固く握っている。

「レフィール?」

「……ああいや、なんでもない。それよりもフェルメニア殿。スイメイくんの容体は?」

「外傷についてはそこまでひどくないようなので、おそらくは魔力の膨張と減衰を一気に行ったせいかと。ただ……」

「……だいぶうなされているな」

テーブルに突っ伏した水明は、目を閉じたまま苦しげに呻いている。まるで、ひどい悪夢でも見ているかのように。

「症状は重篤ではないので、大丈夫だとは思いますが……」

「では、休ませておくほかないか……」

そんな最中、不意にレフィールは路地の入り口の方に現れた気配を察する。もしや追っ手か。不吉な予感を抱いた彼女は威嚇するように大声で誰何をする。

「誰だ!」

一方、その気配の主はいまの声で驚いたか。少しだけ見えていた影がびくりと動く。やがて、路地から出て来たのは、

「これは……驚かせてしまいましたか」

申し訳なさそうに現れたのは、帝立大図書館の司書であるエルフの男性、ローミオンであった。

彼と一度会っているフェルメニアが、思い出したように声を掛ける。

「確か、帝立大図書館の司書殿ではないですか……どうしてここに?」

「いえ、先ほど通りでお姿をお見かけしたものですから。それに、スティングレイさんはヤカギ君を背負っていましたし、もしかして例の犯人と何かあったのかと心配になりまして」

「そうだったのですか……」

フェルメニアたちのところに歩み寄ってきたローミオンが、訊ねかける。

「ヤカギ君は気を失っているようですが、どうしたのですか?」

「南広場でグラツィエラ皇女殿下と戦って、その」

「なんと、あの壌乱帝とですか⁉ 一体何故そのようなことに……」

ローミオンが驚きをあらわにしていると、水明は意識を取り戻したらしく、テーブルに突っ伏した状態から顔をあげる。

「スイメイくん!」

「目が覚めましたか!」

フェルメニアとレフィールが声を上げる一方、意識の途切れていた水明は現状を把握しようと辺りを見回す。

「っ……ここは? 家か?」

「ええ、家の前です。あれから急いでここまで来たので、そう時間も経っていません」

補足するフェルメニアに、水明は向き直って礼を言う。

「ああ、すまん。運んできてもらったんだな。ありが――っつ⁉ 司書さん、アンタいたのか……」

「はい。ついいましがた。通りであなた方をお見かけしたもので、心配になって追って来たのです」

「……そうか」

水明は硬い表情のまま、答える。すると、ローミオンは水明に向かって、

「ヤカギ君、お身体の方、かなり酷い様子ですね。見せていただいても?」

その申し出の理由は、魔法医をしていたからか。真剣な顔で水明を見るローミオン。

「大丈夫ですよ。自分の身体は自分がよく把握していますから。気を失ったのは一気に魔力を出し過ぎただけです」

「そうですか……」

水明はローミオンの申し出をきっぱりと断ると、立ち上がった。そして、路地の出入り口へ向かって歩き出す。それに、レフィールが、慌てて声を掛けた。

「スイメイくん! どこへ行く気だ⁉」

「リリアナを捜しに行く。連中が本腰を入れて動く以上、俺が早く見つけないと」

「す、スイメイ殿⁉ そんなことを言っていられる状態ですか⁉」

無理にでも行こうとする水明を引き留めようとすがる二人を見て、ローミオンは怪訝そうに訊ねる。

「……もしや、昏睡事件の犯人を捜すと言うのですか?」

「……ええ」

「ヤカギ君。おやめなさい。そんな身体でどうするのですか。いまのあなたは大変無謀なことをしようとしています。身体がしっかり治るまで、犯人捜しは控えた方がいい」

「…………」

ローミオンの指摘が耳に入り、立ち止まって沈黙する水明。彼の後ろから、追随するようにフェルメニアとレフィールが再度引き留めの言葉を掛ける。

「ローミオン殿の言う通りです。スイメイ殿、ここは自重なさって下さい」

「そうだ、スイメイくん。彼の言う通りだ。無茶をしてはいけない」

「……わかった」

三人に説得され、水明は諦めたか、背を向けて椅子にどっかりと座った。そんな彼に、ローミオンは心配そうに口にする。

「……それでは僕は行きます。ヤカギ君。くれぐれも無理はしないでくださいね」

彼の気遣いの言葉に、水明は背を向けたまま手を上げて返事をした。それを見たローミオンは、フェルメニアたちに会釈をすると、また通りへ戻って行った。

……しばらくして。

「……行ったか?」

顧みた水明が、フェルメニアにローミオンの所在を訊ねる。通ったのはいつになくうら低い声音。鋭い視線を、首を軽く回して背後の通りに向けながら。

「え? はい、もうローミオン殿はいらっしゃいませんが」

「そうか」

そう言うと、水明は椅子から立ち上がる。家に戻るという雰囲気ではない。その機微を察知したフェルメニアが、険しい表情を彼に向ける。

「スイメイ殿⁉ まさか……」

「す、スイメイくん! 行かないのではなかったのか⁉」

「…………少し休んでから行く。それよりも、いま動かないと本気でマズいかもしれん」

「どうしていまなんだ? 何故君はそんなに焦っている? いつもの君らしくないぞ?」

「焦りもするさ。あの危ない女だけならまだ良かったんだがな。どうもそういうわけにはいかないのかもしれないんだよ。悪いが二人も手分けしてリリアナを捜してくれ。頼む」

そんな彼の声には、確かに逼迫した音が含まれていた。

……助力を請う言葉は、やはり先ほどと同じように他人を案じて出されたもの。それを聞いて、レフィールはため息を吐いた。

「……はぁ」

「ダメか?」

「そんなことはないさ。だが――」

「――何と言いますか、スイメイ殿は言っていることがちぐはぐです。王城では危険は嫌だと言ったり、帝都では自分から危険に飛び込んだりと」

ため息混じりの呆れ声は、フェルメニアから。入ったのは、レフィールの視線と合わせての指摘だった。

己の不徳を衝かれた水明は、弱ったようにたじろぐ。

「そ、それはわかっているが……退けないときや、やらなきゃならないときってのは誰にだってあるだろ?」

「それは、まあそうですが……」

「俺にはいまがそのときなんだ。だから俺は、行かなきゃならない」

その言葉を聞いたレフィールが、しかめっ面で苦言を呈する。

「まあ、スイメイくんは動くべきときを弁えて行動しているからいいものの、そうでなかったら、またお説教だぞ」

「う……レフィール、説教はもう勘弁してくれ」

「ダメだ。前のだけでは足りない。君とは一度とことん話し合った方が良いような気がしてきた」

声に厳しさを込め言い放つレフィールを、水明が半眼で見据える。

「……ラジャスと戦う前に先に無茶した人がそこまで言うのか?」

「うぐっ⁉」

「あのときのレフィールはいまの俺よりも無茶してたんじゃなかったか?」

「う、ううう……」

自分のことを棚に上げて何を言うのかという水明の言葉に、レフィールは狼狽。呻いて後ずさった。痛いところを指摘された彼女に、水明は追撃の言葉を放つ。

「反論できるか?」

問われたものの、レフィールは負けじと叫んだ。

「い、いまは私のことではなくて、君のことだろう!」

「ふーん」

「と、とにかくだ! き、気を付けるように!」

「わかったよ。……で、どうだ?」

誤魔化しにかかるレフィールに返事をしつつ、水明は再度二人に訊ねる。すると、レフィールは厳しい態度を取りつつも、

「身体が良くなるまでは無茶をしないのが条件だ」

「オーケー」

一方、フェルメニアも、

「私はスイメイ殿を補佐するためにここに来たので、協力しましょう」

「すまん。助かる」

そうフェルメニアに礼を言って、水明は傷ついた自分の身体を治癒魔術で癒していく。患部に手を当てると、そこに淡い緑の輝きが生まれ、光の粒子と 翠霞(すいか) が立ち昇った。

「……スイメイ殿、お身体の方は? 先ほどの意識の断絶は、魔力の膨張と減衰を一気に行った結果と見ましたが」

「たぶんな。疑似的なA・M・Fに陥ったんだろう」

「A・M・Fか……ラジャスを倒したあとに、君の身体に起こったものだな」

聞き覚えのある語句に、レフィールが反応するが、一方フェルメニアはわからない。

「えいえむえふ……ですか」

「――A・M・F。つまり、急性魔力減衰症(Acute・Magic・Failure)。生物が魔力を限界まで消費ないし放出し、魔力を使い切ってしまったときに起こる症状だ。軽い場合は疲労、神経痛や痙攣、気絶や意識混濁などが起こり、身体も動かなくなる程度で済むんだが、ひどい時には臓器不全といった状態にまで陥ることもあるな。で、いまのは魔力炉を急稼働させ、魔力を急激に消費したあと、すぐに魔力を収めたことの落差で、軽度の症状が現れたんだ」

「では、いまは」

「身体の方は復調してる。あとはこうやってあの危ない女にやられた怪我を治すだけだ」

フェルメニアにA・M・Fの説明をし終えると、レフィールが訊ねる。

「さっきはうなされていたが、何か悪い夢でも見ていたのか?」

「……? いや、俺は気を失っていたはずだ。それに、そんな短時間で夢なんて見れるはずないと思うが?」

「そうか……いや、なんでもないならいい」

うなされたのが怪我のせいかと疑って出した訊ね。しかし水明は不思議そうな表情をしており、何かを隠している風でもない。

首を傾げる水明には、誘いの群青がもたらした記憶は残っていないのだ。

「グラツィエラはスイメイくんでも?」

倒せなかったのか。その問いに、水明は言い訳じみているとわかりつつも、言い分を口にする。

「あの女の魔法に対抗する手立てはあるんだが、いかんせん身体の調子が悪すぎたな。まあ、負けは負けだ」

そこで水明がフェルメニアに訊ねる。

「追っ手は来ると思うか?」

「いまのところ追っ手などはありませんね。おそらく向こうも、スイメイ殿のお力を警戒しているのかと」

すると、レフィールがふっと笑みをこぼす。

「手負いの獣は怖いからな」

「ええ。広場でスイメイ殿が発現させた力が前兆だったということは、グラツィエラ皇女殿下も察することができたでしょう。もしスイメイ殿が自棄を起したら街の被害は馬鹿になりませんしね」

「……俺は危険物かよ」

「危険物かどうかはともかく、ご自身のお力の方は自覚しているでしょう?」

むっつりと言い放ったフェルメニア。確かに彼女に返す言葉はどこにもなかった。

「そういやさっき追っ手はないって言ったが、あの司書さんに尾けられてたのは察知できなかったのか?」

「え、ええまあそうですが……」

水明の言葉に、頷くフェルメニア。申し訳なさそうな表情の中に、どこか恨めしそうな態度が交ざったような機微を察した水明は、慌てて頭を振る。

「すまん。俺の言い方が悪かった。別に嫌みを言ってるわけじゃないんだ。フェルメニアが警戒していても、ローミオンの気配はわからなかったんだな?」

「……? そういうことになりますね。レフィールが勘付くまで、気が付きませんでした」

「私も、目に見える範囲に来てやっとわかったな」

「そうか……」

二人の言葉を聞き、水明は何やら吟味するように思案に耽っている。

すると、レフィールが、

「それとスイメイくん。さっき話したグラツィエラだけが脅威ではない、というのは?」

「それ以外にも動いているヤツがいるかもしれないってことだ。まだ、確証はないんだがな」

「では、その人物とは? 犯人なのですか?」

「それについては、もう少し確信が持てたら話す。すまんがそれまで待ってくれ」

怪我の治療を終わらせると、水明は路地の出入り口に向かって歩き出した。