軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第86話 決着

オークジェネラルが確実に死んだことを確認してから――。

俺は、ラルフとヘスター対オークナイトの戦況に目を向ける。

戦闘中はオークジェネラルのみに集中しており、こっちの戦いは完全に意識の外だったため、目を向けるのが怖かったが……。

二匹のオークナイト内一匹は既に倒れていて、残りの一匹も既に深手を負っていた。

対する、ラルフとヘスターは無傷。

ラルフが盾を上手く使いながらオークナイトの攻撃を捌き、ヘスターが少し離れた位置で魔法で攻撃を加える。

その不利な状況を打開すべく、オークナイトが先にヘスターに向かおうとすれば、【守護者の咆哮】で食い止めるという完璧な戦法が確立されていた。

【聖騎士】なだけあり攻撃はまだまだながらも、防御面はその才能の片鱗を見せ始めている。

オークジェネラルをこの二人に任せれば楽に勝てたんじゃないか?

俺がそう思ってしまうほど、その後あっさりとオークナイトを倒し切ったのだった。

「……はぁー、はぁー。クリスもオークジェネラルを無事に倒せてたか」

「ギリギリだったが何とか倒せた。そっちは大分余裕だったな」

「全然そんなことないです。オークナイトを一匹倒してから安定はしましたけど、二匹相手にしている時は本当にギリギリでした」

「だな。オークナイト相手にもやれるという自信はついたけど、それ以上にこの戦いで弱点が浮き彫りになった気がする」

「私もですね。最初の通常種オークの掃討から、オークナイト二匹との戦いまで。本当に足らないものだらけでした」

オークジェネラル含む、十九匹のオークの群れを倒し切ったというのに、二人の自己評価はかなり低いみたいだな。

ヘスターは一人で大半のオークを倒し、ラルフは【守護者の咆哮】に加えて、守備の立ち回りが完璧で戦況を安定させたし、まだシルバーランクに上がったばかりということを考えれば、及第点以上だと思うのだが……。

まぁ今回の戦いで調子に乗り、自分たちが強いと勘違いするよりかは全然良い。

弱点を自分で気づけたのなら、良かった点は俺が伝えればいいだけだからな。

「明確な弱点が見つかったなら良かったな。まだまだ強くなれるってことだ」

「へへっ! 確かにそうだな」

「成長の余地があるってことですもんね。私も今回の経験をポジティブに捉えます!」

「……そこでだが、二人の戦いを見て俺が思ったことを言っていいか?」

「もちろんです。忌憚のない意見をお願いします!」

「俺は……なるべくマイルドに頼む!」

俺からの駄目出しが入ると思っているのか、そんなことを言い出した二人。

駄目出しなんて、毛頭するつもりないんだけどな。

「じゃあまずはラルフから」

「ゲッ、俺からかよ……」

「通常種と一対一で戦ったところ。あの場面で焦りが見えたのは明確に駄目だったが――それ以外は完璧な動きだった。【守護者の咆哮】と守備面の立ち回り、パリィもシールドバッシュも練習以上にできていたし、防御の動きに関しては正直文句の付け所がないな。……足の治療からまだ一ヶ月とちょっと。この短い期間でよく頑張った」

「おいっ! …………不意打ちはやめてくれ。ま、まだまだ俺は満足していないぞ!」

「満足していないのは分かってる。あくまで俺が勝手に感じたことだからな」

ラルフはまさか褒められると思っていなかったからか、驚いたような表情を見せると、目頭を押さえながら後ろを振り向いた。

俺は今まで褒めることなんてしなかったし、多分ラルフは今までの人生で、誰からも褒められたことがない可能性があるからな。

びっくりしてしまったのかもしれない。

「次はヘスターだな。ヘスターも最初に仕留めきれず、一匹に対して連射してしまった点は冷静さを欠いていたと思う。……だけど、その後の修正力も含めて流石の一言だった。平原にわざと少数のオークを抜けさせる調整。魔力切れにならないための立ち回り。そして足止めが役割だったのに、一人で大半のオークを屠った魔法の威力とその精度。一度も魔法を外さなかったのは、ヘスターの努力の賜物だ。夜中のコソ練の成果、今回しっかりと見せてもらった」

「……クリスさん、流石に褒め過ぎです。……あと、夜中の練習バレていたんですね」

「当たり前だろ。一緒の部屋で寝てるんだからな」

ヘスターは泣いてはいないが、顔が心配になるほど真っ赤になってしまっている。

確かに褒めすぎた気もしないでもないが、ヘスターに関しては求めていたこと以上のことをやってのけてくれたからな。

「と、まぁ俺の感想はこんなもんだな。戦術等の詳しい話し合いは宿に戻ってからにするとして、死体を片付けてから任務達成報告に行くか」

「……ですね。片付けてから帰りましょう」

「お、おう! お、俺は死体集めておくから、まとめたら【ファイアボール】で焼いてくれ」

「あー、オークジェネラルの死体だけはそのままにしておいてくれ。あと、燃やす前に耳を切り落とすのを忘れるなよ」

三人でせっせと働き、死体の処理を完璧に終えたところで、俺がオークジェネラルの死体を背負ってオックスターへの帰還を目指した。

ちなみにこの死体は、オークジェネラルを倒したということの証明として使うつもり。

……それと、この死体を俺達が自由に扱えるのであれば、俺はゴブリンから生えていたあのオンガニールの傍に置いてみようと思っている。

もしかしたら、この死体に作付するかもしれないからな。

この試みが仮に成功したとすれば、オンガニールの宿主となる生物を選ぶことができるということになる。

虫やら微生物に食べられてしまう可能性の方が高いとは思うが、試してみる価値はあると俺は思った。