軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第98話

とりあえず俺はブルースと共に動くことが決まった。

一人じゃないというだけで、かなり気は楽になったな。

ブルースの退団手続き等があるため、本格的に動くのは数日後から。

それまでに俺もしっかりと周囲の人に報告しなくてはならない。

まずはラルフとへスターからだろう。

事前に全てを相談済みだし、反対はされないと思うが、この二人に反対されてしまったら俺も考え直さないといけない。

今日にでも話し合いを行うため、俺は様々な店を回って夜ご飯となるものを購入。

そして、少し早いが宿で二人の帰りを待つことにした。

留守番していたスノーと待つこと約一時間。

想定していたよりも早く、二人が帰ってきた。

「……あれ? クリス、もう戻ってきたのか!」

「今日は珍しくお早いですね」

「ああ。用事が早く終わったから、色々と買い物をしてから早めに帰ってきた。奮発して美味いものをいっぱい買ってきたぞ」

「マジか! 昼、何も食べていなかったから腹減ってたんだよ! 何を買ってきてくれたんだ?」

ラルフは一目散に俺の買ってきたご飯にやってきた。

そして、口では反応を示していないへスターもお腹が空ききっているようで、ご飯の確認をしているラルフの後ろから興味津々で覗き込んでいる。

「うっひゃー! 『デルタラン』の肉饅頭に『グレートホルス』の海鮮焼きもあるじゃん!」

「本当に王都で人気店。それも高級店ばかりですね」

「今回は奮発したって言っただろ? 俺も腹が減ってるから早く食べよう」

スノーにはスノー用に買ってきた肉とメロンをあげてから、俺達も夜ご飯を食べることにした。

本当はご飯を食べながら色々と話す予定だったのだが、想像していた以上に用意していたご飯が美味しかったこともあり、ほぼ無言で食べ進めてしまっている。

三人が三人とも腹ペコだったのも裏目に出ており、俺はラルフとへスターに今回の報告を行うため、無理やり話を切り出すことにした。

「ご飯を食っている最中で悪いが、ちょっと大事な話がある」

「んん゛? 大事なばなじってあんだ?」

「一旦口の中に詰め込むのを止めてくれ」

リスのように頬をパンパンにして聞き返してきたラルフに、一度手を止めるようにお願いする。

流石に緊張感がなくなってしまうからな。

「――んぐっ。飲み込んだぞ! で、大事な話ってなんだよ!」

「今日、アレクサンドラのところに行って、色々な話をしてきた。結果から伝えるが、俺は本格的に闇市を潰すことにした」

「なるほど。まぁ……クリスさんがその決断をするのは、少し前から分かっていました」

「だな! クラウスより許せないって感じが伝わってきてたし!」

二人が理解してくれるのは分かってはいたが、想像していた以上に軽くて驚いている。

別行動をし始めた段階から、覚悟してくれていたってことだと思うが。

「理解が早くて助かる。だから……俺は魔王の討伐へは一緒に行けない」

「それも分かってた! まぁクリスがいないのは不安だけど、俺らだけでしっかり討伐してくるから安心してくれ!」

「ですね。いつまでもクリスさんに頼ってはいられませんから。こちらのことは何も心配せず、クリスさんは闇市を、そして悪い貴族をぶっ潰してください」

弱かった時からの付き合いだからこそ、二人の成長を強く感じる。

ご機嫌取りの夜ご飯だったが、この様子ならいらなかったかもしれないな。

「本当に頼もしくなったな。泣いて引き留めてくるかと思ってた」

「泣く訳ないだろ! ……まぁ昔なら分からなかったけどな!」

「ふふ。そんな昔かな? 少し前なら全力で引き留めていたと思います」

「昔に思えるくらい前ってことだ! 俺達は成長したし、クリスがいなければ何もできないっていうのは卒業した!」

「そうか。頼もしくも感じつつ、少し寂しいな」

「なんだそれ! 俺達に引き留めてほしかったのか?」

自分でもよく分かっていない。

仮に引き留められても、俺はクソな貴族を潰すことを止めていなかった。

ただ、二人には引き留めてほしかったという気持ちもある。

……自分で言うのもなんだが、面倒くさい性格になってしまっていたようだ。

「引き留めてほしいなら、私は全力で引き留めますよ。まだまだクリスさんと一緒にいたいですし」

「いや、そんなことは決してない。二人の成長に少し寂しさを感じていただけだ」

「ますます分からん! 親目線って感じかよ!」

「あー、それに近いかもな」

話が脱線してしまったが、とにかくこれで正式に別れて動くことが決まった。

俺は闇市を潰すことを目標に、ラルフとへスターは魔王討伐を目標に動く。

これまでずっと共に行動してきたから、寂しくないというのは嘘になる。

ただ、二人とスノーならば、魔王を討伐できると俺は信じているし、俺は闇市を潰すことに専念することができる。

というか、まだ何のビジョンも見えていないことを考えると、俺の方が目標達成できるか怪しい。

ただ、俺を信じてくれている二人に恥じぬ報告ができるよう、全力で闇市、そして暗躍している貴族を叩き潰すことを俺は心に誓ったのだった。