軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第42話

スノーがオークを倒した後、俺の案内でどんどんと森の中を進んでいく。

久しぶりだったのだが、潜伏していただけあって予想以上に道を覚えていて自分でも結構驚いている。

カーライルの森を懐かしみながら、暴れウルフを探しながら歩いていると……スノーがとある植物を見つけて俺に吠えてきた。

白と紫色の見るからに危険な臭いしかしない植物——リザーフの実だ。

「クリスさん、急に立ち止まってどうしたんですか?」

「スノーが懐かしい植物を見つけてな。この植物は俺がよく食べていた植物なんだ」

「お二人とも離れてください! その植物は危険な毒草として有名なリザーフの実です! 私は嗅覚が鋭いので、毒草はすぐに嗅ぎ分けることができるんです!」

質問してきたルディに説明していたところ、毛を逆立てて注意してきたエイミー。

獣人なだけあり、どうやら人の何倍もの嗅覚を持っているようだ。

「そんなに警戒しないでも大丈夫だ。体に直接いれない限りは何の害もない」

俺はエイミーにそう説明してから、採取したリザーフの実をむしゃむしゃと食べた。

その瞬間、聞いたことのない音を立てながらエイミーが叫んだ。

「ニ”ャー!! クリスさん、吐き出してください! 死んでしまうニャ!」

「大丈夫だ。俺のスキルは『毒無効』。毒草を食っても死ぬことはない」

「――!! そ、それなら早く言ってくださいよ!! 一人で慌てていた私が馬鹿みたいじゃないですか!」

恥ずかしそうに顔を赤くさせ、俺の背中をバシバシと叩いてきたエイミー。

そんなことよりも語尾にニャがついていたことの方が気になったのだが、指摘したらまた叩かれるだろうし止めておこう。

不意にでる語尾は面白いし、エイミーの反応も可愛いから、からかっていたイルダの気持ちが少し分かってしまった。

イルダと一緒の感性だけは持ちたくなかったんだけどな。

「なるほど。それでクリスさんは毒草をよく食べていたんですね! 美味しいんですか? 美味しいなら僕も食べてみたいな」

「いいや。どちらかというと不味いよりだな」

刺だらけのジンピーやオンガニールに比べたら、全然食べることはできるレベルではあるが、お世辞にも美味しいと呼べるものではない。

そもそも美味しい毒草に出会ったことがない。

「えっ、不味いのに食べている……? 一体どういうことなんですか?」

「毒草を食べると微量ではあるが能力が強化される。だから採取できるだけ採取して、食べられるだけ食べていたんだよ」

「植物を食べて能力が強化されるなんて、私は聞いたことありません! ルディは知ってましたか?」

「僕も初めて聞きました。本当に強化されるのだとしたら、大発見になりますよ!」

「そうだろうな。俺は公表するつもりはないが、もし毒草から毒だけを抽出することができれば世紀の大発見になると思う」

その分手間もかかるだろうし、毒を抽出して強化に繋がるかも不明だが、もし実現したら世界はひっくり返ると思う。

「そ、そうですよね……? 何かサラッと凄いことを聞いてしまった気がするんですがいいんですか?」

「ルディ達になら話していいと思ったから話したんだ。それに、どうこうできるとは思えないしな」

「確かに僕達にはどうこうできませんが……凄いお話に驚いてます」

「私達を信用してくれるのは嬉しいですが、あまり信用され過ぎても怖いです! くれぐれも街の中では突拍子もない話はしないでくださいね!」

俺が思っていた以上に二人は驚いた表情を見せた。

感覚が麻痺しているのかもしれない。

ルディは特に馴染み過ぎているし、さらっとクラウスの件を話さないよう気を引きしめた方がよさそうだ。

そう自制しつつ、リザーフが自生していた場所から離れ、さらに森を進むこと約三十分。

ようやく真正面から、暴れウルフらしき反応を捉えた。

道中の魔物は全てスノーが倒しているため、ここはルディとエイミーに任せるか?

二人が戦っているところが見たくて、こうして一緒に依頼に来ている訳だしな。

……ただ、新しく得たスキルの試し打ちもしたいため非常に迷いどころ。

「ようやくだが、前方に暴れウルフの気配を見つけた。誰が倒す?」

「正直、僕はクリスさんの戦闘が見たいんですけど……僕とエイミーはここまで何もしていないので、僕とエイミーで倒しても大丈夫ですか?」

「策敵はクリスさん。戦闘はスノーに任せきりでしたからね。私達も少しは戦えるところを見せておかないといけません。……スノーの後では少し戦いづらいんですが」

「そういうことなら二人に任せる。俺もルディとエイミーの戦闘は見たいからな」

気合いも入れてくれているし、スキルの試し打ちはまたの機会に行うとしよう。

とはいっても、もうそろそろオックスターは離れるつもりのため、試す機会がありそうなのはエデストルに着いてからになりそうだが。

まぁエデストルにはダンジョンがあるし、前回行った時はダンジョンを攻略したのはラルフだけ。

俺とヘスターは魔法練をしていたから、ダンジョンに潜りたい気持ちがあるため丁度良いだろう。

残念に思った気持ちをそう自分で慰め、俺はルディとエイミーの戦闘に意識を向けた。