軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第38話

シャンテルも合流し、ラルフとイルダが主導してのパーティーが開始。

うるさい人達は外でわーわー楽しんでいる中、俺はルディと副ギルド長を捕まえて、家の中でしっぽりと酒を飲んだ。

【毒無効】のせいで一切酔わないのだが、俺一人酒を飲まないのはおかしいため料理をあてに酒を飲んでいく。

副ギルド長はさっきも言っていたように本当に酒が好きらしく、色々と解説しながらお酒を飲んでいて、酔っているということもあっていつもよりもテンションがかなり高い。

「いやぁ、クリスさんには本当に救われましたね……! ルディさんも何があったか知りたいですよね?」

「そのことについては前に話したって言っていただろ。それに、俺がグリースにムカついて手を出したってだけの話だから止めてくれ」

「そんなことないですよ! 受付嬢のスザンナを守ってくれた時もかっこよかったんですから!」

「本当にいいっての。それよりも俺はルディの話を聞きたい。【翡翠の銃弾】について聞きたくて、わざわざ家の中で酒を飲むことを誘ったんだからな」

「僕はクリスさんを交えながら、オックスターで何があったのかを聞きたいですけどね」

「ですよね! もうオックスターに来た時から凄かったんですから! 滞在していた期間は短かったですが、これ以上衝撃的な冒険者と出会うことはないと断言できます!」

なんとか俺の話から逸らしたいのだが、副ギルド長がかかっているのもあって抜け出せない。

こっ恥ずかしいというのもあるが、俺の話はもちろん俺が既に知っていることだから単純に面白くないんだよな。

「副ギルド長、ストップしてくれ。まずはルディの話から聞こう。【翡翠の銃弾】はどこで結成されたんだ?」

興奮気味の副ギルド長を無理やり遮り、俺はルディに話を尋ねた。

「全く面白くないんですけどいいんですかね? 僕の出身はオックスターから少し北に行ったところにあるペルエステって街なんです。イルダもエイミーもカルビンも同じ街で育ちまして、【翡翠の銃弾】はペルエステで結成されたパーティなんですよ」

「へー。幼馴染みたいなもんなのか?」

「いえ、そんなことは全くないです。カルビンが最初に冒険者をやっていて、ペルエステでは五本の指に入るパーティに入っていたんです。その後にイルダとエイミーのコンビが冒険者になって、瞬く間にその五本の指に割って入る活躍を見せたんですよ」

「元は別々のパーティでやっていた上に、冒険者になってからの知り合いなのか」

「そうです! そして最後に僕が冒険者になったんですが、そのタイミングでペルエステにディスレオンの大群が襲ってきたんです」

ディスレオン。戦ったことはないが聞いたことはある魔物だ。

体色を自由に変えることができ、透明にもなれる肉食の厄介な魔物だったはず。

「ディスレオンの大群は厄介だな。肉食な上に透明になれるんだったよな?」

「透明といっても目を凝らせば見えるレベルですが、当時は大変でしたね。退治するために協力して挑んだのですが、その戦いの際に出会ったのが僕達だったんです」

「そこで繋がってきたのか。でも、ルディは冒険者になったばかりだったんだろ? 名を馳せていたカルビンやイルダ、エイミーとは吊り合わないんじゃないのか?」

単純に疑問に思ったことを聞いたのだが、そこで割って入ってきたのは副ギルド長。

何やらドヤ顔をかましてきており、酒が入ると少し態度が鬱陶しくなるな。

「ルディさんは天才と呼ばれていたんですよ! 適性職業は【付与術師】。味方の能力を上昇させる魔法を使うことができるんです!」

「そうなんです。僕自身が弱くても需要が高くてですね、ルーキーながらも駆り出されて凄いメンバーにぶち込まれたんです」

「【付与術師】か。そこで意気投合して、四人でパーティを組むことになったって流れか」

「付与魔法をかけてもらうと、戦っていて相当楽しいらしいですよ! 御三方はルディの能力に魅せられてパーティを組んだって言ってましたから!」

「三人ともルディに惹かれてパーティを組んだって感じか。最年少のルディがリーダーをやっている理由も納得だな」

恥ずかしいのか、頭をポリポリと掻きながら照れた様子を見せている。

「僕がリーダーを務めたのは誰もやりたがらなかったから仕方なくです。本当は年長のカルビンにやってほしかったんですけどね」

「まぁ無口過ぎると難しいだろうな。イルダは論外だし、エイミーもリーダーに向いているとは思えない。一番若いだろうが、ルディが最適だったと思うぞ」

「ありがとうございます。クリスさんに褒められると嬉しいですね」

「それで、パーティ結成してからはすぐにノーファストに?」

「はい。やるからには上を目指そうってことでノーファストに行きました。ただ、思うように依頼がこなせず、ペルエステに戻ろうか悩んでいた時に元ギルド長さんにお声掛け頂いて、オックスターにやってきたって流れですね」

プラチナランクってことだし、依頼がこなせなかったってことはないだろうが……ノーファストのギルドには変なのがいたしな。

【翡翠の銃弾】とは、色々と噛み合わせが悪かったのも分かる。

「なるほど。ルディ達がどういう経緯でオックスターに来たのか完全に理解できた。オックスターでは上手くやれているのか?」

「はい! みなさん優しいですし、ペルエステの時以上に順調にやれています。拠点を移して大正解だったと今でも思ってますよ」

「それは良かったな。――副ギルド長」

「ええ、本当に良かったです! 全てクリスさんが良い冒険者ギルドに変えてくれたお陰ですよ!」

「ここはルディに礼を言う流れだろ。なんでその話にまた戻るんだ」

「僕のここまでの経緯を話したんですし、次はクリスさんの番ですよ。僕も知りたいので聞かせてください!」

こうして結局俺も話すことになり、あまりにも濃すぎる人生だったからか、夜更けまで語ることになってしまった。

ルディは良いやつだし本当に楽しかったが、副ギルド長に酒は厳禁ということだけはしっかりと覚えておくと心に決めたのだった。