軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第32話

プレゼントが喜んでもらえたのは良かった。

てっきりミーハーなものの方が喜ぶのではと思っていたが、流石に錬金術師なだけあってその筋のものならマニアックでも嬉しいようだ。

「そんなに有名店だったんだな! 錬金術屋を探してて、偶然目に付いたところに入ったって感じだったよな?」

「そうだが、思えばやたらと客はいた。錬金術屋自体が少ないからだと思っていたが、単純に有名店だったことか」

「うぅ……! そんなノリで『ワイズストーン』に行けるなんて羨ましいです! 私も一度は王都に行ってみたいなぁ!」

両手を合わせて祈るようなポーズを取り、チラチラと俺の方を見てくる。

王都に連れていけと俺に言っているのだろうが、これからエデストルに向かうから無理だ。

「別の街にも行くから連れていけないぞ」

「えぇー! ここは連れていってくれる流れじゃないんですか!?」

「無理だな。……ただ、王都に来た時は案内する。一ヶ月後くらいなら王都に戻っていると思うし、来たければいつでも来ていいぞ」

「一人で王都まで行くのは腰が重いですが……行きます! ですので、絶対に案内してくださいよ! あと、美味しいご飯にもちゃんと連れていってください!」

「分かった分かった。それよりそろそろ冒険者ギルドに行ってくる」

「急に話が変わった!? 私のことをめんどくさがらずにもう少し話をしましょうよ!」

「面倒くさいとかじゃなくて、本当に冒険者ギルドに行かなくちゃいけないんだよ。借家の契約者の冒険者とも会いたいからな」

訳の分からないことを言ってくるシャンテルを宥めつつ、『旅猫屋』から冒険者ギルドに向かう準備を整える。

スノーだけがシャンテルのノリに付き合って寂しそうにしているが、どうせまたすぐ会えるからな。

「シャンテルさん、挨拶回りが終わったらまた来ますね」

「ヘスターさん! 絶対に来てくださいよ! お店を早締めしてでもパーティーに参加しますから!」

「できたとしても昼間からやる訳ないから安心しろ。それじゃまた後でな」

「楽しみに待ってますから!」

盛大に見送りしてきたシャンテルと別れ、冒険者ギルドを目指して歩を進める。

それにしても……変わらずのやかましさだったな。

普段はラルフをうるさいと感じるのだが、シャンテルがやかましすぎてラルフが可愛く見えた。

パーティーを行うって部分に関しては、二人が呼応したところは倍増しでうるさかったが。

「やっぱりシャンテルさんは明るくていいですね。一緒にいるだけで元気になれます」

「久しぶりってのもあるだろうが、想像以上にうるさかったな。確かに元気は貰えるが、ずっと一緒にいたら絶対に疲れる」

「俺は楽しいからいいけどなぁ! 一緒にいたら楽しいじゃん!」

「ラルフとシャンテルは似たような感じだからそう思うのかもな。……っと、それよりこれからどうする?」

「えっ、冒険者ギルドに行くんじゃないのか?」

「冒険者ギルドに行く前に宿屋を取るかどうかだ。シャンテルも臭そうにしていたし、スノーの臭いもピークに近いからな。この状態で冒険者ギルドにいったら絡まれてもおかしくない」

冒険者は気性の荒い奴ばっかだからな。

見るからに危険そうなスノー相手に絡んでくるとも思えないが、知能も低いからどんな行動を取ってくるか分からない。

それに絡まれたとしても返り討ちにしてやればいいだけだし、あまり気にすることでもないとも思うけど……。

スノーだけでなく、俺達自身もほどほどに臭いのが気になっている。

「確かに臭いは気になってました。先に宿を取ってからシャワーだけは浴びたいですね」

「えぇー! でも、前の家に泊まらせてもらうんだろ? 宿取ったら無駄になっちまうじゃん!」

「泊まらせてくれると決まった訳じゃないし、どちらかと言ったら泊まらせてくれない可能性の方が高い。その冒険者に気を使わせたくないから、何にせよ宿は取っておくつもりだ。金ならあるしな」

「んー……。そういうことなら先に宿屋から探すか! 流石に狭い空間でのスノーの臭いは俺でも気になるしな!」

ということで、冒険者ギルドに向かう前に宿屋を探すことに決めた。

値段は特に気にせず、魔物が一緒でも泊まれる宿屋を探してすぐにチェックイン。

スノーを俺とラルフで必死に洗い、洗ったスノーをヘスターが魔法で乾かした。

その間に順番に俺達もシャワーを浴びたことで、久しぶりに体をちゃんと綺麗にすることができた気がする。

臭いの問題もなくなったし、宿も取ることができた。

これで何も気にすることなく、冒険者ギルドに向かうことができる。

「なんか風呂入ったら眠くなってきちまったわ! ふかふかのベッドが見える位置にあるのも悪い!」

「気持ちは分かないこともないが、ここで寝るなんて選択肢はない」

「パーティーが待っているもんな! 頬を引っ叩いて無理やり目覚めさせる!」

本気で自分の頬を引っ叩き、頬に自分の手形がついたラルフを見て笑いつつ、俺達は宿屋を出て冒険者ギルドに向かった。

副ギルド長と会えるの楽しみもあるが、冒険者ギルドはギルド長が副ギルド長に代わったしグリースもいなくなった。

このことによって、冒険者ギルド自体がどれだけ変わっているのかも非常に気になる。