軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第28話

翌日の朝。

昨日到着したばかりであまりにも早いが、俺達はレアルザッドを出立する。

数日間ぐらいは滞在してもいいと思うのだが、レアルザッドでは特にやることもないからな。

ゆっくりするならオックスターやエデストルでゆっくりしたいし、早めに出立して間違いはない。

王都からレアルザッドまでは近いし、移動疲れなんかも微塵もないからな。

ラルフとヘスターはもう少し思い出に浸りたそうだったが、こればかりは少しの間だけ我慢してもうしかない。

「準備はできたか? 出来ているならすぐに出発しよう」

「レアルザッドからオックスターまでは遠いですからね。忘れ物は絶対にないようにしましょう」

「昨日ちゃんと確認したから大丈夫だ! 行くなら早く行こうぜ!」

二人とも大丈夫なようだし、スノーもいつにも増して気合いが入っている。

この様子なら、移動速度を上げてオックスターに向かうことができそうだ。

「それならもう出発しよう。五日間での到着を目標に向かおうか」

「どうせなら、全く同じルートを辿って向かいたいな! 俺は一切覚えてないけど!」

「覚えていないなら、どんなルートでもいいと思うけど……。私はしっかりと覚えていますよ。前は舗装された安全なルートを進んでいったのですが、今回はどっちのルートにしますか?」

レアルザッドからオックスターに向かうルートは二つあり、一つは前回と同じ舗装された平坦なルート。

もう一つは山岳地帯を抜けて、一気にオックスターに向かうルート。

後者は道が険しいだけでなく、前回のルートよりも何倍も危険な魔物が出現する。

それに加えて尋常じゃない数の魔物が出現し、途中で休めるような村もないから野宿も確定。

その分、明日中にはオックスターに辿り着けると思うのだが……。

そこまでは急いでいる訳ではないし、俺は前回と同じルートでいいと思っている。

「前回と同じルートでいいと俺は思う。山岳地帯を抜けるルートも今なら行けるだろうが、せっかく金があるのに野宿は避けたいな」

「近くに水浴びができるならいいけど、俺も野宿は嫌だな! スノーは山岳地帯を抜けるルートのが喜びそうだけど!」

「私も舗装された道の方がいいので、スノーには悪いですけど前回と同じルートで向かいましょうか。道案内は私がしますね」

「ああ。任せた」

進むルートも決まったところで、俺達はすぐに宿をチェックアウトしてレアルザッドを出発した。

ここからそこそこの長旅になるが、逃げるようにレアルザッドを後にした前回とは気持ちの面で全くの別もの。

全員のテンションが高い状態で、オックスターを目指して歩を進めたのだった。

レアルザッドを出発して五日が経過。

ヘスターの道案内は完璧で、前回と全く同じルートを辿って進んで来ている。

弱い上に金もなかったことで色々な事件を起こしていたため、当時は大変だったが振り返ると楽しい思い出を三人で話しながら進んだことで、道中も楽しく過ごせた。

スノーだけは何の思い出もないから少し寂しそうにしていたが、魔物や獣の気配を察知しては狩りに向かっていたので、スノーもスノーで道中を楽しんでいたと思う。

「いやぁ、前回と同じルートを選んで正解だったな! そんなに前のことではないはずなんだけど懐かしくて本当に面白い!」

「ですね。当時は本当に大変でしたけど、苦ではなかったので良い思い出です」

「オックスターを目指してはいたけど、未知の土地すぎて辿り着けるかも不安だったからな。今回はそういった不安も一切ないから、純粋に楽しみながら歩けているも大きい」

「俺はまだまだ歩いているだけでもいいんだけど――前方にオックスターが見えてきちまった!」

ラルフは前方を指さし、残念そうにそう呟いた。

この辺りの地形は流石に覚えていたため、オックスターが近いことは少し前から分かっていた。

実際にオックスターが見えてしまうと……変な話だが、ラルフの言う通り少しだけ残念な気持ちになる。

「賛同することのが少ないが、今回はラルフと同意見だな。オックスターが見えて少し残念な気持ちになった」

「私もです。オックスターを目指して進んでいたのに、本当に変な話ですよね」

「やっぱ二人もそうだよな! ……まぁスノーだけは本気で喜んでいるけど!」

俺達とは違って道中に思い入れがないスノーは、オックスターが見えたことで尻尾をはち切れんばかりに振り回している。

オックスターだけでなく、スノーの故郷でもある北の山にも行ってあげたいな。

「スノーにとってはこの街からが思い出の場所ですからね」

「スノーとの思い出といえば借家だけど、俺達が借りていた家はまだ借りれる状態なのかな? 金なら払うから、一時的に借りてまた住みたいけど!」

「どうだろう。流石に借りられている可能性のが高いと思うが……」

そんな話をしながら、俺達はオックスターでの入門検査を行い、無事にオックスターの中に入ることができた。

パッと見では特に変化したような部分はなく、穏やかで居心地の良い雰囲気は健在なまま。

「やっぱりオックスターはいいな! なんとなく人もゆったりと歩いているし、雰囲気はこの街が一番好きかもしれない!」

「街一つ一つにちゃんと特色があるからいいよな。オックスターに帰ってきたってのをちゃんと感じられる」

「思い出に浸るのもいいですけど、流石に歩きながらにしましょう。全員で立ち止まってると変な目で見られてしまいます」

俺とラルフは横並びで思い出に浸っていたのだが、ヘスターに諭されて歩き始めた。

「ゆっくり思い出に浸らせてほしいけど、通行人の邪魔になっちまうか!」

「だな。さて……オックスターは色々と巡りたい場所があるが、まずはどこに行く?」

「冒険者ギルドか『旅猫屋』じゃないでしょうか? ここからの距離で言ったら『旅猫屋』ですかね?」

「冒険者ギルドの治安も気になるところだけど、まずは『旅猫屋』に行ってシャンテルに会いに行くか」

「シャンテルに会うのも久しぶりだ! 本当にお世話になったし、元気にしていてくれるといいんだけどよ!」

「シャンテルなら元気すぎるくらい元気にしているだろ」

やかましいくらい元気なシャンテルを思い出しながら、俺達はまず『旅猫屋』に向かうことに決めた。