作品タイトル不明
後日譚 第13話
【銀翼の獅子】へのプレゼントも買うことができたため、次はエデストルの面々へのプレゼント選び。
既に長いこと買い物をしているが、ようやく半分ってところだろうか。
「次はボルスさん、ルパート、ルーファスの三人のプレゼントを選ぼう」
「いよいよエデストルに突入ですね。あの三人は何を喜んでくれますでしょうか?」
「冒険者だし、武器とか防具がいいのか? それともマジックアイテムに戻るのもアリ―—」
「っと、ちょっと待った! 買い物を再開するのもいいけど、その前に昼ご飯にしようぜ! 時間的にはもう遅いぐらいの時間だろ?」
俺の話を遮り、そんな提案をしてきたラルフ。
確かに時間的には丁度良く、人混みの中を買い物してきたため若干の疲れもある。
ラルフにしては、中々気の利いた案を出してくれたな。
一気に買い物をしたい気持ちもあるが、時間はたっぷりあるんだし一度休憩がてら昼飯を食べてもよそうだ。
「確かに朝に食べたパンケーキも消化されて、お腹も減ってきたな。昼時からズレているし、すんなりと店に入れそうだし昼ご飯にするか」
「ですね。次の店に向かう前にご飯にしましょう。お昼は何を食べますか?」
「一人ずつ食べたいものを出していくか。それで、ジャンケンで勝った人のを食べるとしよう」
「いいね! 恨みっこなしの一発勝負な!」
俺の提案にノリノリで乗ってくれたラルフ。
ヘスターはというと食べたいものが特に決まっていなかったのか、頭を必死に悩ませている。
かく言う俺も特に決まっていないんだよな。
肉でもいいし、久しぶりに魚料理でもいい。
「俺はもう決まってるぜ! 早くジャンケンしよう!」
「私はまだ決まってないから静かにして」
「はーやーくー!」
鬱陶しいラルフの声には耳を傾けず、候補を上げては消していく。
残った案は二つで、ワイバーンステーキに似た肉料理か、以前ミエルが話していた魚料理屋。
ワイバーンステーキに似た肉料理に関しては大雑把でしかないから……今回は魚料理を提案するか。
何でも生魚を提供してくれる店みたいだし、王都に来たからには食べてみたい。
「……私は決まりました。クリスさんはどうですか?」
「俺も決まった」
「よーし! じゃあジャンケンで決めよう! どうする? 先に食べたい料理を言ってからジャンケンか、ジャンケンに勝った人が食べたいものを発表する形か」
「本当にどっちでもいい。早く決めようぜ」
「じゃあ先に発表するスタイルで行こう! 俺はラーメンが食べたい! ヘスターと初めて王都に来た時にラーメンって料理を食べたんだが、その時のラーメンの味が未だに忘れられない!」
初めて王都に来た時というと、俺が二人にブラッドを探させに王都へ行かせた時だろうか。
その時は金も本当になかったし、値段の安い料理であることは間違いない。
聞いたことない料理な上に値段も安いとなると怖さが勝つが、恨みっこなしの一発勝負と決まったため、負けた場合は文句は言えない。
これは……絶対に勝つしかないな。
「ラーメンはいいですね。私もラーメンを食べたくなってきましたが……私が選んだのは本格ピザです。詳しい店名までは決まっていませんが、窯焼きの美味しいピザが食べたいですね」
「うわぁ……ピザもいいな! クリスは何が食べたいんだ?」
「俺は魚料理。生魚を提供してくれる店があるらしいから、その店に行ってみたい」
「生魚!? 生魚なんて食べたら腹壊すだろ!! ……クリスが勝ったら大外れだな!」
酷い言われ様だが、俺もラルフの選んだ料理に関しては懐疑的なためお互い様。
一番良いのはもちろん俺が選んだ料理だが、ピザでも嬉しいためラルフ以外が勝つなら文句はない。
三人で円を作り、気合いを入れてジャンケンの準備をする。
反射神経的な部分もあるが、それはセコイため正々堂々同じタイミングで手を出すつもり。
「じゃあ行くぞ! 最初はグー! じゃーんけんポイッ!」
ラルフの合図と共に三人一斉に手を出した。
勝負は一発で決まり、昼飯ジャンケンに勝ったのは――。
「うへー! クリスが勝つのかよ!! ぐぐぐ、生魚……!」
「文句はなしだぞ。恨みっこなしの一発勝負って言いだしたのはラルフだからな」
「分かってるよ! ヘスターは平気なのか?」
「私は全然大丈夫ですよ。何なら楽しみなくらいです」
「心配なのは俺だけかよー!」
文句は言わないが、あからさまに嫌そうな態度を取っているラルフを連れ、ミエルに教えてもらった魚料理屋へと向かった。
王都の一等地に店を構えており、見るからに高級料理店といった感じの外装。
ミエルのお墨付きの店だし、ラルフが心配するようなことはないはず。
といいつつも、ここまで嫌がれると俺も若干ながら心配になってくる。
若干の不安を残しつつも、俺を先頭に店の中へと入った。
店を入ってすぐに大きな生け簀が見え、そこには大量の魚が生き生きと泳いでいた。
こんな光景は今まで見たことがなく、俺だけでなくラルフとヘスターも生け簀に釘付けとなっている。
「すっご! この魚たちをこれから食べるのか!? 見ているだけでも楽しいし、もったいないって感想がまず出てきちまう!」
「確かに魚を泳がすだけでも金が取れそうな規模だな。あの一番大きい魚は魔物だろ?」
「チャンプシャークって魔物だと思います。下にいるのも魔物で、スタークラブという魔物ですよ」
「随分と詳しいな。魔物について調べたのか?」
「調べたというよりも、高級品として売りに出されてるのを見たことがあるんです。ワイバーンのステーキから魔物の食材について興味が出て、個人的に色々と市場で見てました」
そんなヘスターの説明を聞きながら、大きな生け簀で泳ぐ魚を見ながら待っていると、奥からウェイトレスがやってきた。
良い時間帯だったようで待たずに入れるらしく、俺達はすぐに席へと通してもらうことができた。