軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第4話

王都を発った時のメンバーから人が減るようなことがなかったのは良かったが、何故か一人増えた状態で『フォロ・ニーム』を抜けて、王都へと帰ってきた。

帰りは行きの倍以上の時間がかかったが、なんとか全員無事に王都へ戻ってこれたな。

「やっと王都が見えてきた……! 重力が倍になったのかと思うほど足取りが重かったし、帰り道も伸びているんじゃないかってくらい長かったわ!」

「帰ってすぐにベッドに飛び込みたいです。無事に帰ってこられたのですし、シャーロットさんに報告してから宴会をやるのがお決まりですが……そんな余裕はないですね」

「アウ……」

ラルフもヘスターもスノーですらも、目をとろんとさせて今にも眠りそうな顔をしている。

かくいう俺もすぐにベッドに飛び込みたいが、俺だけでもシャーロットに報告をしなくていけない。

「二人とスノーは真っ先に宿屋へ戻っていいぞ。残りの処理は俺が行う」

「……いえ! 流石にクリスさん一人にやらせる訳には――」

「いいから寝てくれ。無駄に三人で押しかけても意味がないからな。ただ、ドレークには付き合わってもらうぞ」

「――分かっている。報告には一緒に向かう」

ドレークも時折白目を向いており、今にも倒れそうな状況ではあるのだが、俺と一緒に報告してもらう。

ラルフ、ヘスター、スノーとは違い、一切甘やかすつもりはない。

「それじゃ、本当に宿屋に戻っちまうぞ? 引き留めるなら今だからな!」

「引き留めない。ゆっくりと休んでくれ。俺も報告を終え次第、すぐに宿屋に戻る」

「分かりました。私達は一足先に宿屋でお待ちしております」

ふらふらと宿屋に向かって歩く二人とスノーの背中を見送り、残った俺とドレークは王城に向かって歩き出した。

帰りの間はラルフを介して会話も弾んでいたのだが、二人きりになった瞬間に一切の会話がなくなった。

友達の友達のような感じでもあり、つい先ほどまでは敵だった男なため、この無言の状況は非常に気まずい。

ドレークには聞きたいこともあるため、俺から話を振ることも考えはしたのだが……俺から気を使わなくてはいけないのも何だか癪なため、終始無言のまま歩き進めていると、ドレークの方から声をかけてきた。

「王城に向かう前にちょっと寄り道してもいいか? 恐らくだが、エリファスの死体を持ったままでが中には入れねぇからな」

「確かに死体を持ったままだったな。王城に行く前に墓にでも行くのか?」

「いきなり土葬はしない。エリファスの両親に見せるつもりだ」

その言葉を聞き、またしても胸が少しだけざわついた。

当たり前のことだが、エリファスにも家族がいる。

直接手を下した訳ではないが、責任の一端が俺にあることは間違いない。

クラウスを手にかけたことでの俺の両親に対する罪悪感は一切ないが、エリファスの家族にはどうしても悪いという気持ちが出てしまう。

「……また表情が曇ったな。意外と罪悪感があるのか?」

「エリファス自身は極悪人ではなかったようだしな。巻き込んでしまったことへの罪悪感はある」

「俺が言うことではないと思うが気にしないでいいぜ。勇者のパーティとして動くという時点で、そもそも死は隣り合わせだった。エリファスの両親も覚悟はできていると思う」

「だとしても悪いというこの気持ちを失うことはない。クラウスが死んだ以上、俺が背負って生きていくしかない」

最後は少しだけ安らかな表情になったクラウスの顔を思い返し、全部を俺に押しつけて満足そうに逝ったことが少しだけ羨ましく思えてきた。

「兄弟だから似ている部分は山ほどあるが、根本的な性格は別なんだな」

「俺とクラウスのことはいい。それで、今すぐに埋めないのならエリファスの死体はどうするんだ?」

「教会に伝手があるんだ。そこで一時的に保管をしてもらおうと思っている」

「そうか。なら、まずは教会に寄ろう」

王城へ向かう前に教会に寄ることにした。

ドレークだけに向かわせても良かったのだが、俺はまだ信用し切れていない。

逃げられたら嫌なため、ドレークと共に教会へと向かった。

教会に入ってすぐにグラハムがいないか中を見まわしたが、どうやら姿が見えない。

俺がきょろきょろと見渡していると、ドレークがシスターの一人に話しかけられていた。

「ドレーク様ではないですか。急に来てどうされたのですか?」

「すまんが詳しいことは言えない。とにかくプリシラを呼んできて欲しい」

「……? 分かりました。すぐにプリシラさんを呼んできます」

理解できていないようだったが、何も聞かずにプリシラという人物を呼びに行ったシスター。

様付けで呼ばれていたことからも、ドレークと教会は深く繋がっているように思える。

まぁ枢機卿と手を組んでいた訳だし、クラウスが教会の一派閥を引き入れていたからこその対応だろうがな。

ドレークと共にしばらく待っていると、奥から現れたのは威厳のある年老いたシスター。

間違いなく、あのシスターがプリシラという人物だろう。

「ドレークじゃないか。私を呼んでどうしたんだい?」

「ちょっと頼みたいことがある。裏で話してもいいか?」

「もちろん構わないよ。奥の部屋へ行こう」

プリシラについていき、個室である能力判別を行う部屋へと入った。

俺にとっては非常に馴染みの深い部屋。

「……それで、用件は一体何なんだね?」

「エリファスが死んだ。これが死体で少しの間保管してほしいんだがいいか?」

「エリファスが!? 魔物にやられたのかね?」

「いや、戦闘中で自死したらしい」

「後ろの人が何かを知っているのかね?」

プリシラは俺を指さし、そう言ってきた。

何やらエリファスと関係性が深そうなため、説明しようとしたのだが……ドレークが片手を突き出して制止してきた。

「詳しいことは後で俺から話す。とりあえず死体の保管を頼む」

「……分かった。魔法で腐らないように保管しておこう。その代わり後でキッチリ話してもらうよ」

「ああ、本当に助かる」

プリシラとの会話もほどほどに教会を後にした。

あまりにもあっさりとしていたが、余計な時間をかけないよう俺に配慮してくれたのだろう。

死体を預けた俺達は、気を取り直して王城を目指して歩を進めた。