軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第3話

「このポーション、すげぇな。スキルの反動だけで数日は動けないと思っていたんだが……もう体が動かせるぞ」

「だから言っただろ! 俺に任せておけってさ! でも、ドレークが生きていてくれて良かったぜ! 死んでたらどうしようかと思ってたから!」

「いや、ラルフに殺されかけたんだけどな。それより、そっちがここにいるってことは……」

「ああ、クラウスは俺が殺した。謝りはしないぞ」

「なんで謝る必要があるんだ。クラウスが死んで俺が一番せいせいしているぐらいだぞ」

ドレークはそう言ったが、悲しみの感情が薄っすらと見える。

クラウスのことは本当に嫌いだけど、どこか心の底からは嫌いになれなかった――そんな感じなのだろうか。

「エリファスはどうしたんだ? ……死んじまったのか?」

「……はい。自分で自分の胸を短剣で一突きし、自分の体を操作して攻撃を取ってきました」

「やっぱりそうだったか。エリファスに関しては――いや、なんでもねぇ。亡骸は埋めてくれたのか?」

「いえ。綺麗な状態なままでしたので、これから拾いに行こうと思っていたところでした」

「よければ俺を案内してくれないか? エリファスはしっかりと埋葬してやりたい。殺しに動いて都合が良いとは分かっているが……どうかお願いします」

巨体を縮こませて、俺達に頭を下げたドレーク。

俺としてはお断りしたいところだが、ラルフはまぁ許可するだろうな。

「当たり前だろ! ドレーク、俺達と一緒に帰ろう!」

「おい、勝手に決めるな。ラルフの友達と言われても、俺は訳が分かってないからな」

「大丈夫だ! ドレークは良い奴だから!」

ラルフはそう言いながら、俺に向かって笑顔で親指を立てた。

何の説明にもなっていないが、ラルフが信頼しているのであれば大丈夫なのは間違いはない。

つい数時間前までは敵だった相手を引き入れるのは、心情的に受け入れられないのだが……ラルフがここまで言うのであれば断れないな。

大きくため息を吐いてから、ドレークの前に立って話しかけた。

「少しでも妙な真似を見せたら即座に殺す。ラルフはお人好しだが、俺はそう簡単に人を信じることはできない。今更わざわざ言わなくても分かると思うが、俺はクラウスの兄だからな」

「……分かっている。心身共に敗北を認めているから、妙な真似は一切見せない」

「それならいい。色々な説明もしたいところだから、王都までついてきてもらう」

「やっぱクリスは話が分かるな! ドレーク、とりあえずこれで安心だぜ!」

「ラルフ、命まで助けてもらったのに悪いな」

「気にすんなっての! 俺とドレークはもう友達だろ?」

そんなラルフの無垢な笑顔と言葉に、ドレークは若干涙目を浮かべている。

天性の人たらしというのは、ラルフみたいな奴のことを言うのだろう。

足の怪我が治る前までは近づくもの全てを攻撃するような性格だったのも、今となっては懐かしく思える。

「色々と決まったみたいですので、エリファスと戦闘を行った場所まで案内いたします」

「すまない。――案内をお願いします」

ラルフが助けたドレークと共に、ヘスターとエリファスが戦闘を繰り広げた場所まで向かった。

その場所は広い訓練場で、残っている戦闘跡から二人が繰り広げた戦闘の激しさが聞かずとも伝わる。

「俺とドレークの戦闘も激しかったと自負しているけど、ヘスターとエリファスのところも凄いな! こんなに広範囲でボッコボコになってる地面は見たことないぞ!」

「エリファスが命と引き換えに使った禁術のせいですね。それにスノーもここで戦っていましたから、他よりも戦闘跡が広範囲に及んでいるんです」

「そうか! スノーも戦っていたのか! スノーとヘスターを一人で相手取っていたエリファスって化け物だったんじゃ……」

「エリファスは、クラウスに引けを取らない才能を持っていた。性格が大人しくリーダー向きじゃないせいでパーティに加入する立場だったが、エリファスがパーティリーダーだったら……いや、たらればの話はやめよう」

さっきもそうだったが、エリファスの話には露骨に悲しそうな表情を見せる。

関係性的に二人の仲が良いようには思えないが、クラウスと違って嫌っていなかったと考えるのが普通か。

「私もそう思います。髪色とか表情を見ても、追い詰められていたのが痛いほど伝わりました。環境が違ったり、もう少し早く出会えていれば……ラルフとドレークみたいな関係になっていたかもしれません」

「そうだったのか……! ヘスターも年齢が近いだけに色々と思うところがあるよな」

悲しそうな顔となった三人。

巻き込んだのが俺なだけに、どうしても罪悪感は拭えない。

「本当に悪い。俺とクラウスのせいで二人を嫌な戦いに巻き込んでしまった」

「私は戦ったことに悔いはありませんよ。だから謝らないでください」

「クラウスが全部悪いってことはねぇけど、大半はクラウスのせいなのは事実だからな! 一緒に過ごしてきた俺とヘスターだから分かる。クリスは悪くねぇ!」

「とことん気を使わせてしまうな」

「気なんか使ってねぇよ! 辛気臭い話になっちまうし、ドレーク! 早くエリファスの死体を運んでくれ!」

「……ああ、分かった」

エリファスの死体をドレークが背負ったことで、これで『フォロ・ニーム』を出る準備が整った。

闘技場の魔法陣をぶっ壊すというのが出来ずじまいだが、今となってはそんな余裕もないため行きと同じルートを通って外を目指す。

先ほど話した通りエリファスが死んでいるため、道中にいたアンデッドも消えているはず。

スノー以外は動くのが精一杯な状態だが、道中で気にしなくてはいけない敵もいないため、王都へは無事に帰ることができるだろう。

「もうやり残したこともないし、王都に戻るとしよう。ラルフ、ヘスター、スノー。あと少しだけ頑張ってくれ」

「ああ! 帰るだけなら全然大丈夫だ!」

「私もです。体が過去一で重くて億劫ですが、あと少しと分かっているので頑張れます」

「アウッ!」

スノーも元気よく吠えて返事をしてくれたし、大丈夫そうだな。

ドレークだけには注意をしつつ、自分達のペースで王都へ戻るとしようか。