軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第2話

死体が完全に焼けたあと、闘技場の真ん中を掘り起こしてそこに埋め、俺は紅蓮の剣と突き立てて懐中時計を引っ掛けた。

せめてもの手向けだが、何もしないよりはマシだろう。

「待たせて悪かった。二人はもう歩けるのか?」

「ああ! 俺とヘスターも世界樹のポーションを使ったからな!」

「そういえば、エリファスとドレークはどうなったんだ? ……殺してしまったのか?」

「エリファスは自死という形で死んでしまいました。死体は綺麗なまま残っていますので、王都まで運んであげてもよろしいでしょうか?」

「自死……? ああ、もちろん構わない」

自死という言葉には引っかかったが、それは後でゆっくりと話せばいい。

二人から戦いについての話を聞くのは、不安半分楽しみ半分といったところ。

「ドレークは多分生きている! 一緒に帰ってもいいか? 俺と親友になったんだ!」

「親友……? んー、まあ構わない」

こちらもこちらとて、状況が全く分からないから後で詳しく聞こう。

生死を懸けた戦いを行い、親友になることなんてあり得ないと思ってしまうが……ラルフならおかしくないと思えるのも凄い。

まぁ、ラルフが勝手に親友だと言い張っている可能性もあるけどな。

ただ、ラルフとドレークの戦いがドロドロとしたものではないのは間違いないし、無理やり戦わせてしまった者としてホッとしている。

「ありがとな! まずはドレークを助けてから、エリファスの死体を運んで王都に帰ろう! ……道中のアンデッドはもういないよな? 歩けるけど流石に戦えないぞ?」

「エリファスが死んだので、多分アンデッドは消滅していると思います。もしかしたら術者が死んでも動いている可能性はありますが」

「行ってみれば分かる。最悪避ければいいだけだしな」

世界樹のポーションで回復したといっても、俺も戦えるだけの力は残っていない。

スノーの索敵能力に頼り、アンデッドを回避すればいいため問題はないと思う。

それよりもドレークが怖いのだが、流石に襲ってきたりはしないよな?

生死は分からないと言っていたし、生きていても戦える力は残っていないはず。

ラルフの親友になったという言葉を信じ、ひとまずラルフとドレークが戦った場所へと戻ることにした。

闘技場を出て、一番近くにある一番広い部屋。

そこには人間同士が戦ったとは思えないほどの激戦の跡が残っており、そんなぐちゃぐちゃに壊れている一室の端で倒れている大男の姿が目に入った。

一切動く気配もなく倒れており、背中しか見えないのだが瀕死の大怪我を負っているのが分かった。

普通に死んでいてもおかしくないし、逆に生きていたとしたら奇跡に近い。

こんな死闘を繰り広げた相手と親友……?

ぶっ飛びすぎていて、未だに信じられないな。

「ラルフ、死んでいるんじゃないか? 動く気配がない」

「多分……生きている! 戦った俺がドレークの生命力の強さを一番知っているからな!」

そう答えたもののラルフは額に汗を滲ませており、穏やかではない胸中が手に取るように分かった。

「ドレーク、生きているか? 全て終わったんだ! さっきまで生死を懸けて戦った敵だけど今はもう違う! 一緒に帰ろうぜ!」

大きな声でそう呼びかけたものの、倒れたドレークが動く気配はなく返事もない。

涙は枯れているため零れていないのだが、ラルフのその表情は大泣きしていた。

さっきまで殺し殺されかけていた相手に対し、ここまでの感情を出せるのがラルフの凄いところ。

俺とは違い、万人から好かれる理由がようやく分かった気がする。

「おいっ、ドレーク! 返事をしろよ! 俺なんかの一撃でくたばったんじゃねぇだろうな!! 俺が最強の称号を貰っちまうぞ! ――それでもいいのかよっ!」

思いの丈をぶつけるように、ドレークの倒れた背中に向かって叫んだ。

そんなラルフの思いが届いたのか――それとも既に目を覚ましていたのか。

ドレークは息を吹き返したように体をピクリと動かし、ラルフの叫びに小さく返事をした。

「…………ラルフ、うるせぇよ。もう少し寝かせてくれや」

「ドレーク!! やっぱり生きていたんだな! ポーションを使ってやるから!」

「大丈夫だ。ポーションなら俺も持っている」

「いいから大人しくしておけって! 無理してくたばったら絶対に許さねぇからな!」

ラルフはそう言うと、倒れていたドレークに自分に使った世界樹のポーションの残り半分をドレークに飲ませた。

世界樹のポーションの回復効果は凄まじく、瀕死状態だったドレークはあっという間に動けるぐらいに回復したのだ。

多分俺もこんな感じだったのだろうと、傍から見たことで自分がどんな状態だったのかを理解することができた。

……というか、ラルフの一方的な感情かと思っていたが、本当にドレークと友達になっていたんだな。

これだけの傷を負わせたのに、この対応ができる意味が全く分からない。