軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第426話 鬼の攻撃

百に近い連撃を全てを受け止めたところで、ようやくドレークの動きが止まった。

何発か食らってしまったけど、受け流しそびれた時に掠っただけで直撃は一度もない。

肩から軽く血を流している俺よりも、肩で息をしているドレークの方が辛そうなのは見るまでもないしな。

……だけど、ドレークの攻撃には正直焦った。

クリスが守備型の戦闘スタイルと言っていたから、ここまでの攻撃がくると思っていなかった。

あとでクリスには文句の一つでも言わないといけない!

「ぜぇー、ぜぇー……。お、お前……アホの癖に強いのかよ」

「お前も攻撃ができるなんて聞いてなかったぞ!」

「普段は必要がないだけで、どっちも扱えるのが普通だ。……でも、俺の攻撃じゃお前の壁は破れなそうだな」

一瞬、諦めにも見える発言をしたドレークだけど、表情を少したりとも諦めている様子を見せていない。

何をしてくるかと警戒していたところ、驚くようなことを口にしてきた。

「お前もタンクだよな? なら決着がつかなそうだし、お互いにここで時間を潰そうぜ。クラウスとクリスの勝者が決まるまで待機。悪くねぇだろ?」

「その提案も無理だな! 俺は早くクリスのところに戻らないといけないんだよ! 戦う気がないならどけ!」

「アホな癖に全てに否定しやがるな。俺も退く気はねぇから……ここを通りたいなら俺を倒すしかないな」

ドレークはそう言うと部屋の出口を塞ぐようにし、剣を納めて盾を両手で構えた。

ただでさえデカい図体が、二つの盾のせいで更に大きく見える。

これは相当面倒くさいことになってきたな。

一番避けたかった展開だけど、俺がドレークのガードを打ち破れば良いだけの話だ。

今度は俺が剣を引き抜き、ドレークに向けて構える。

一時は剣もひたすらに振っていたけど、最近はタンクに専念しているせいで人相手に剣を向けるのも久しぶり。

まぁクリスとは頻繁に模擬戦はやっていたけどな。

クリスと比べたら確実に弱いとは思うけど、本当に岩相手に剣を向けている感覚だ。

とにかく斬りかかってみないと始まらない。

覚悟を決めた俺は、盾を構えるドレークに向かって斬りかかったのだが……。

俺がいつも実践しているように、力の方向を見られて簡単に受け流されてしまう。

どの角度からも、そしてどれだけのフェイントを織り交ぜても、いとも簡単に盾で防がれてしまった。

「やっぱ攻撃に関しては中の下ってとこだな。お前は俺と似たタイプだよ」

「うるせぇ! 絶対に突破してやるからな!」

あからさまな挑発だけど、この場を打開しないといけないという焦りのせいで乗っかり、俺は勢いそのままに大振りの攻撃を行ってしまった。

全方位からの攻撃でも防がれるのであれば、威力を上げるしかない。

単純な思考も合わさり、相手が攻撃を仕掛けてこないという思考からの隙だらけの攻撃。

そんな攻撃を完全に読まれたのか、盾をすべらし威力を逃がすように受け流された後――力強い衝撃が体を襲い掛かった。

一瞬何が起こったのか分からず、後ろの壁に衝突してドレークを見たことで何をされたか理解できた。

右手の盾で左側に受け流され、無防備となった俺の腹を左手の盾で突き飛ばしたらしい。

「油断しすぎだぜ? 剣を持っていないからといって攻撃しないとは言ってない。さて、次はどう攻撃してくるんだ?」

ドレークは尻もちを着いた俺を見下ろしながら、口角を上げてそう言い放った。

最初の態度のせいもあって、心のどこかで少し舐めていたけど……強い。本当につえぇな。

攻撃を防ぎながら自分の攻撃へと転じる難しさは、タンクである俺が一番分かっている。

剣と剣での打ち合いならまだしも、盾でそれをやってのけてしまうんだから経験の差が大きい。

「……何笑ってんだ? 攻撃が通らないと悟って諦めたのか?」

「笑ってる? 俺がか?」

「口が裂けそうなほど口角が上がってるぞ。……さっきから色々と気持ち悪ぃな」

「悪い! ドレークが強くて笑っちまったんだと思うわ! ――俺はラルフって言うんだ! 今更だけど名前を憶えてくれ!」

「このタイミングで急に自己紹介って意味が分からん。それと俺は俺を倒せるぐらいの強い奴の名前しか覚えないから、お前の名前は覚えない」

「それは残念だな! 良い戦いができると確信したから名乗ったんだけど……まぁいいや! 話よりも戦いを続けようぜ!」

「お前が勝手に自己紹介を始めたんだろ! 勝手にかかってこい。ボッコボコにしてやるからよ」

クラウスのパーティ全員に対して悪い印象があったけど、口数も多いのもあってかドレークはそこまで悪い奴に見えなくなってきた。

スキルに頼ってとかではない実力も兼ね備えているし、ドレークとの戦闘を通して強くなれる確信も持てる。

本当は気持ちの良い戦いをしたかったところだが、ドレーク自身がそこまで乗り気じゃないのが残念だな。

それはともかく、今は最高の技術をこの身を以て味わいたい。

何かを掴みかけているのが分かるし、今の実力ではドレークの方が上だけど……。

この何かを掴むことができれば、一気に逆転できる――そう確信する自信が俺にはあった。