軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第416話 待ち構える人間

四人の先頭に立っているのは恰幅の良い初老の男。

盾に片手剣とオーソドックスな装備だが、その純銀の鎧は見覚えのある鎧だ。

「クリスさん! あの鎧って……王国騎士団の鎧ですよね? アレクサンドラさんが身に着けていたものと全く同じように見えます」

「ああ。国のエンブレムも象られているし、間違いなく王国騎士団のものだな」

「王国騎士団から盗み出されたものってことはないよな? ってことは、先頭にいる男は王国騎士団に所属している王国騎士なのか!」

「だろうな。それもアレクサンドラと同じ隊長クラス以上は確定している」

王国騎士団がいても別におかしくはないが、隊長クラスも手駒にしていたか。

その後ろに控えているのは、恐らくグラハムが言っていた枢機卿とその部下に当たる司教。

グラハムのと服装自体は若干違うが、系統が似ているし十字架が象られているのも見える。

ゴーレムの爺さんと同じくらいの年齢の奴が恐らく枢機卿で、その枢機卿の左右に控えているのが司教だろう。

優秀な前衛一人に後衛三人。ワンマンパーティにありがちな陣形だが、グラハムの話が本当なのであれば後衛の三人もかなり優秀なんだもんな。

戦闘を長引かせるのが目的だったとしたら、非常に面倒くさいパーティ構成だ。

「おいおい、やっときたか。待ちくたびれちまったぜ」

剣を持った手でポリポリと頭を掻きながら、近づく俺達に声を掛けてきた王国騎士の男。

隙があるようで隙がない。

立ち振る舞いは強者のものだが……俺の見立てでは実力はアレクサンドラと同等か、若干この男の方が上回っている程度。

「待ちくたびれたってことは、やはり俺達がここに来ることはバレていたんだな」

「はぁ? 言っている意味が分からねぇな。敵が近づいていると言われたから待っていただけで、お前たちのことなんか知らねぇよ」

「エリファスさんから、敵が侵入してきたと伝えられていたんですよ。そこで待機していた我々がその敵の排除を命じられた訳です」

いきなりは襲ってこず、質問に対して返答してくれた王国騎士と枢機卿。

時間をかけていられないし、さっさと戦闘を始めたいところだが頂ける情報は頂いておきたい。

「情報が漏れていた訳じゃないのか。俺達が侵入したのを察知して、お前らは待っていたって訳だな。誰か優秀な索敵スキルでも持っているのか?」

「いえ、違いますね。エリファスさんは自身が操っているアンデッドから情報を得ることができるのです。倒されたら倒されたことが分かりますし、それ相応の魔力を必要としますが感覚を完全に共有して、アンデッドを自分のように動かすことも可能なんですよ」

俺の質問に正確に答えてくれた枢機卿。

この話が本当なのだとしたら、エリファスは想像しているよりも数倍厄介な能力を持っている。

俺がミエルを陥れていなくとも、ミエルがパーティに入ることはなかったのでは……?

そう思うほどには万能で優秀な魔法とスキルを保有しているな。

「なるほど、それで俺達のことに勘付いて指示を出したって訳か。エリファスは思っていた以上に優秀なんだな。……でも、ベラベラと敵に情報を話していいのか?」

「構いませんよ。あなた達はここで死ぬ訳ですし、私からの冥土の土産だと思ってください」

「自信からくる余裕って訳か。こちらとしてはありがた――」

「あぁ!! もう喋りはいいだろうがッ! こっちはずっと待っていてうずうずしてたんだよ。さっさとおっぱじめようや!」

俺の話を遮り、首をポキポキと鳴らしながら叫んだ王国騎士。

第一印象は前衛にしては冷静な性格かと思っていたが、やはり血の気は多いらしい。

「お前は王国騎士団。それも隊長格以上だろ? こんなところにいていいのか?」

「てめぇにゃ関係ないし、俺は隊長ではなく副団長だ!」

そんな言葉と共に、一気に駆け寄ってきた王国騎士団の副団長。

役職も聞き出せた訳だし冷静に分析したかったところだが、そんな余裕もなく攻撃を開始してきやがった。

ラルフに合図を送り、攻撃してきた副団長の攻撃を受けに行かせて、俺はラルフのすぐ後ろについてサポートに回る。

そこからスノーには自由に戦っていいと許可を出すと、スノーは先ほど見せたよりも更に分厚く刺々しい氷の鎧を身に纏わせてから、一気に副団長に攻撃を開始した。

「三対一とは卑怯ですね。そう簡単にはやらせませんよ【ホーリーレイ】」

近づくスノー目掛け、枢機卿が間髪入れずに魔法を放ってきた。

矢よりも速い弾丸のような魔法で、ガードが間に合うか微妙なタイミングだったが……なんとか腕を伸ばし、俺の体で【ホーリーレイ】を受け止める。

グラハムの話では神聖魔法を完璧に防いでくれるとのことだったが、ダメージを受けることも覚悟で衝撃に備えたところーー白い弾丸が体に直撃したのにも関わらず、何も感じることのない無痛。

体に触れたのかどうかも分からず、攻撃魔法ではないことも一瞬疑ってしまったが、枢機卿の驚いた表情を見る限りその可能性はなさそうだ。

「なぜ無効化されたのだ? まさかお前は教会の者……?」

俺はその問いに返答することはなく、スノーに攻撃を続けるように指示を飛ばした。

半分以上疑ってはいたものの、グラハムが貸してくれた十字架のネックレスの効果は本物だということが確定した。

これで副団長の攻撃はラルフがガードし、枢機卿と司教の神聖魔法は俺がガードすれば完璧に攻撃を防ぐことができる。

この四人を倒すのに時間もかけていられないし、スノーとヘスターには頑張って攻めてもらわないとな。