軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第394話 豪華な部屋

部屋の広さは間違いなく、これまで宿泊した宿の中で一番の広さを誇っている。

質の部分で言うと、同じ王都に存在する『ギラーヴァルホテル』に僅かながらに分があるが、やはり王国一の都市なだけあって質が高いな。

「クリス、見てみろよ! 部屋の窓から王都を一望できるぞ!」

部屋に入るなり走って窓のところへと向かって行ったラルフは、窓にへばりつくようにして王都を見下ろしている。

俺もそんなラルフの横に向かい、窓からの王都の景色を見渡した。

高い場所から王都を見下ろすのは、寝かせてもらっていた屯所からでも見れたのだが……。

窓から見える景色にもこだわっているようで、同じ王都でも全くの別ものに見える。

値段が張ったというだけあり、この景色だけを見ているだけでも満足できるな。

「確かに王都を一望できて綺麗だが……ラルフ、お前臭すぎる。さっさとシャワー浴びてきてくれ」

「うおぉい! せっかく景色を楽しんでたのにいきなり現実に引き戻すなよ! ……そんなに臭うか?」

「汗で酷い臭いだぞ。スノーも寄ってきてないだろ」

「――ちょっとすぐにシャワー浴びてくるわ! 先に風呂使ってわりぃな!」

絶景以上にラルフの汗臭さが気になったため指摘すると、慌ててバスルームへと駆けて行ったラルフ。

風呂もどんな感じか見てみたかったが、ラルフが上がってからゆっくりと見るとしようか。

それからリビング、ベッドルーム、バルコニー、キッチン周りにトイレと部屋の中を一通り見て回った。

見ているだけでテンションが上がるし、最後の贅沢としては申し分ない部屋。

「クリスさん、どうですか? この宿屋で満足して頂けましたか?」

「ああ、要望以上の良い部屋だ。ヘスターも出発まではゆっくりしてくれ」

「はい。決戦に備えてしっかりと休ませて頂きます。……それでなんですが、夜ご飯はどうしましょうか? お金を払えば宿屋が提供してくれるみたいですが、キッチンがあるように自分達でも作れるみたいです」

「金を払って作ってもらえばいいんじゃないか? 料理だって作るのに時間かかるし大変だろ? それに、今日の夜はちょっと用事があって出かけるんだ」

「料理を作ること自体は全然大変ではないですが……確かにこんな宿屋でお食事を頂けるのなら、そっちの方がいいかもしれませんね。『ギラーヴァルホテル』の朝食は最高でしたし! 出かけるというと、朝に会いたいと言っていた人ですか?」

「そうだ。会うことができて、夜に食事の約束を取り付けてきた。だから、夜ご飯はヘスターとラルフ、それからスノーで楽しんでくれ」

俺もこの宿屋の食事は食べてみたかったところだが、明日と明後日もあるからな。

グラハムの紹介してくれた店もきっといい店だろうし、そっちの料理を楽しみにするとしよう。

「それでは二人とスノーの分だけ料理をお願いしておきます。……それでずっと気になっていたのですが、その人物って女性の方なのでしょうか?」

「いや、男だ。レアルザッドで神父をやっていた人なんだが、ヘスターは覚えているか? 一度、ヘスターも能力判別を行ってもらったはずだけど」

「男の方だったんですね! 良かったです! ……うーん? ちょっと覚えていないですね。自分の能力を数値化されたことに対する好奇心が勝っていて、神父さんのことは頭から飛んでます」

「まぁ覚えていないか。だから、人物についての詳しい説明はしなかったんだ」

「なるほど。そういうことだったんですね。その神父さんとの久しぶりの再会、楽しんできてください」

ラルフの風呂待ちの間にヘスターとそんな話をしつつ、広々とした部屋で夜までのんびりと過ごした。

ラルフが風呂から戻ってきてからは、スノーも凄い臭いをしているため俺が風呂に入れ、汚れを綺麗に洗い流しご褒美のメロンをあげたところで日はすっかりと落ちた。

「あれ、クリスどこか行くのか?」

俺が待ち合わせの店へ向かおうと準備をしていると、ソファで横たわりながらスノーと戯れているラルフがそう声を掛けてきた。

そういえばラルフには説明してなかったな。

ヘスターに話したように一から説明しようかとも思ったが……面倒くさいからいいや。

「ちょっと用事があるから出てくる。ラルフはヘスターと一緒に宿の美味しい夕食を楽しんでくれ」

「なんだそれ? ……でも、夕食はここの宿のものを食べれるのか! クリスの分まで美味しく食べさせてもらうぜ! なぁ、スノー!」

「アウッ!」

「帰ってきたら感想聞かせてくれよ」

また遊び出したラルフとスノーにそう言い残し、俺は一人部屋を後にした。

日が落ちたばかりだしまだ集合時間には早いのだが、詳しい店の情報を聞いていなかったからな。

まずは聞き込みして、『ルアン』という名の店を探すところから始めようか。