軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第364話 王国騎士団

アレクサンドラとは違い、兜を着けていないため顔がはっきりと見えるのだが、完全にどこにでもいるガラの悪い底辺冒険者顔。

それもグリースの手下でもやっていそうな人相の悪さだし、実力は大したことのないかませっぽい感じだと勝手に思っていたんだけどな。

「王国騎士団といっても、別に選りすぐりの実力者が集まっているって訳ではないんだな」

「入団試験はしているし実力がない訳ではないんだけど、『アンダーアイ』と比べると質が落ちるのは確かね。冒険者が台頭して、力があって手っ取り早く金が欲しい奴は悪党に成り下がる。騎士団として量を集めようとすると、どうしても質が落ちるのは仕方のないことなのよ」

「……なんだか聞いてはいけないことを聞いている気がするぞッ!」

喚いていたブルースもシャーロットの本音を聞き、大人しく一歩引いた様子。

「とりあえず三人でも戦える人材がいるのは助かる。元々俺達だけで戦うつもりだったしな。……シャーロットやゴーティエは戦ってくれるのか?」

「残念ながら無理ね。戦いたいところではあるけれど、私はクラウスの方の手回しに力を割くつもりでいる。ゴーティエの方は別に貸し出してもいいけど――」

「無理だ。俺がシャーロット様のお傍を離れることはない」

いまだに頭を地面につけた状態のまま、キッパリと断りを入れてきたゴーティエ。

「その代わり、ミエルは自由に使ってくれていいわ。クリス達と一緒に戦った経験もある訳だしね」

「えっ!? 私もいかないですよ!」

「これは命令。私のパーティに居たいのなら……分かっているわよね?」

ゴーティエ同様に断りを入れてきたのだが、シャーロットにそう脅されてミエルは口ごもっている。

真後ろに立っていてシャーロットに顔が見られないことを良いことに、とんでもない表情で睨みつけているのが俺の視点からでは丸見えだ。

……恐らくだが、こんな感じでずっと雑用をやらされてきたのだろう。

ミエルがシャーロットを馬鹿王女と呼ぶ理由が、なんとなくだが理解できた気がする。

「という訳で、『アンダーアイ』に関してはこんな感じね。拠点を突き止め次第、いつでも攻撃を仕掛けられるようにしておくわ」

「色々と手まわしてくれたみたいで助かった。それでなんだが……『アンダーアイ』の拠点に関してはもう突き止めてある」

「まさか……追われている身なのに探していたの?」

「そのまさかだ。ただ、俺の姿は見つかっていないから支障はない」

シャーロットは呆れたように大きくため息を吐くと、頭を押さえて無言となった。

「…………もし見つかっていたら殺していたところよ。目立つような行動は絶対に避けて。クラウスを潰す役の貴方が捕捉されたら、既に金と労力をつぎ込んでいる私の作戦まで無駄になるのだから」

「一応肝に銘じておくが、約束はできないな」

「はぁー、本当に面倒くさい性格をしているわね。敵が増えるということだけは伝えておくから。……それで、『アンダーアイ』の拠点はどこにあったの?」

大きくため息を吐いて表情も酷く歪ませているが、何を言っても無駄だと悟っているのか注意喚起だけに留めて話を元に戻した。

「闇市場の高い建物が並ぶ場所だ。口で説明しづらいから後で地図を描かせてもらう」

「分かった。場所が既に分かっているなら、すぐに攻め込むことができるわね。クリス達の準備は整っているの?」

「今すぐにでも戦えるぐらいに準備は万全だ」

「今すぐにはこちらが無理。でも、そっちの準備が整っているなら……なるべく早くの方がいいわね。攻め込むのは明後日の昼間でどうかしら?」

明後日の昼間か。

個人的には昼より夜の方が良い気がするのだが、逆に昼間の方が拠点に籠もっていたりもしそうだ。

この辺りはどう転ぶか想像もつかないため、特に口出しする必要はないか。

「俺達は明後日の昼間で何も問題ない。わざわざ言う必要がないことかもしれないが、攻め込むことはここにいる奴ら以外には公言しないでくれ。どこから情報が漏れるか分からないからな」

「そこは分かっているつもり。一緒に攻め込む三番隊への報告も当日する予定。だから、明後日襲撃というのはここにいる人達しか知り得ない情報よ」

「それなら安心だ。もし仮に情報が筒抜けになったとしたら、疑う人物が一気に狭まるからな」

「そちらがヘマをしなければ情報は漏れないから安心して。それじゃ、ひとまずの話し合いはこの辺りで終わりにしましょうか。次は明後日の『アンダーアイ』の本拠地襲撃。無事に成功したら、今度こそクラウスについての話し合いよ」

「ああ。そっちはそっちで上手くやってくれ。それじゃ……次にシャーロットと会うのは襲撃以降だな」

ソファに座るシャーロットと握手を交わしてから、俺は立ち上がって部屋を後にすることにした。

未だに頭を垂れている状態のゴーティエが俺に睨みを利かせてきたが、一切見えていないフリをしそのまま部屋を後にしたのだった。