軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第345話 尋問

せっかく裏通りを案内してもらって良い気分だったのに、最後の最後で襲われて全てを台無しにされた気分だ。

楽しかった気持ちも吹き飛び、今は襲ってきた『アンダーアイ』へのイライラが限界まで達している。

何かあるとしたら情報屋のいる定食屋だと思って訪れた訳だが、本当に何かあるとここまでイラッとくるもんなんだな。

俺は大きく深呼吸して自分を宥めつつ、とりあえずやるべきことを指示することにした。

「クリス、バレずに連れ出すことができたな! ここから三人でこいつから情報を聞き出すのか?」

「いや、ラルフにはこの廃屋周辺の見張りをやってもらいたい。襲われる可能性が大いにあるからな」

「……まぁそれもそうか! 俺も情報を引き出す役をやりたがったが、そういうことなら仕方がねぇ!」

「クリスさん、私はどうしたらいいでしょうか? 私も周辺の見張りを行いますか?」

「いや、ヘスターはさっきの定食屋に戻って店員たちから話を聞いてきてくれ。仲間の名前を口走ってたし、近くにいるかもしれないしな」

ダグラスダインという名前を口に出していたことから、確実にもう一人もレアルザッド付近にいるはず。

口ぶりからも戦闘要員な感じがするし、ヘスターには定食屋に戻って店員や店主から話を伺ってもらうのがベストと判断した。

「確かにそれがいいですね。可能性は限りなく低いですが、毒を盛った店員が何かしらの情報を持っている可能性もあるいますもんね」

「そういうことだ。そっちはヘスターに任せたぞ」

「うへー。ヘスターは聞き込みかよ! 裏通り巡りだからスノーは留守番にさせたけど、一人で見張りなら連れてくれば良かったぜ!」

「いちいち文句を垂れるな。すぐにでも警戒しないといけないし、ラルフは早く周囲の見張りに当たれ」

ヘスターと文句を垂れるラルフを廃屋から追い出し、俺達を襲ってきた『アンダーアイ』の構成員と二人きりになることに成功。

二人がいる前では思い切りできないため見張りが大事なのもあるが、どうしてもこの状況を作りたかったのだ。

それで男の方はと言うと……口が半開きの間抜け面で気絶しており、俺が気絶させた訳だが無償にイライラしてくる。

雨漏れ用に置かれている雨水の溜まった木桶を手に取り、気絶している男の顔に思い切り浴びせてやった。

「――ぶはっ! ん、んあ!? こ、ここはど……ッて、うぐウうあアアあッ! 腕が痛ぇ!!」

「うるさい。次に喚いてみろ。左腕もへし折ってやるからな」

「――ふぅー、ふぅー。こ、ここはどこなんだよ。答えろ」

「この場で質問できるのはお前じゃない。俺だけだ。……質問に答えなくても腕を折る。それでも答えない場合は右足、その次は左足。そこからはゆっくりと爪を剥していくからな」

「へ、へへへ……。お、俺が情報を話すと思っているのか? 『アンダーアイ』を舐める――」

「残念だが奥歯の毒薬は既に回収してある。お前の方こそ――簡単に死ねると思うなよ?」

俺は一気に男に近づき、左腕を右腕同様にへし折ってやった。

前回は簡単に死なせてしまったせいで碌な情報も得られなかったからな。

今回は絶対に失敗しないよう、反逆の意思を見せる度に確実に痛めつけて心ごとバキバキにへし折ってやる。

「う、うあアアああああッ! 腕があああアあああ!」

「喚くなと言っただろ? ハッタリなんかじゃなく、次は右足を潰すからな」

「……ふぅー、はぁー。ふぅー。わ、分かった。話すし喚かないから止めてくれ」

額に脂汗を滲ませながら、大きく深呼吸をして痛みになんとか耐えている様子。

予想よりもあっさり落ちたが、話してくれるのであれば俺としては問題ない。

「分かればいい。まずはお前の名前から聞かせろ」

「ぱ、パブロだ」

「お前が俺を襲った理由は?」

「ボスからの命令があった。……へ、へへへ。す、既に『アンダーアイ』の構成員がこの街に三人潜りこんでいる。に、逃げられ――」

「質問以外のことを話すな。それとこの状態で俺を脅しているつもりか?」

「ち、違う! この街に三人いるという情報を伝えただけだ!」

先ほどこの男の頭がキレると評したが、どうやら勘違いのようだったな。

この状況でもまだなんとかなると思っていそうな感じも腹が立ってくる。

「パブロ。お前の知っている全ての情報を話してもらう。先ほども伝えたが質問に答えなかったら爪を剥すし、俺が嘘を吐いたと判断したら爪を剥す」

「は、はぁ!? 俺が嘘を吐いたかどうかなんて分から――」

「黙れ。お前は本当のことだけを喋れってればいい」

何度もしっかり言葉の杭を打ち込んでおき、俺は【聴覚強化】のスキルを発動させた。

人は嘘を吐く時に心拍数が上がる傾向にある。

『アンダーアイ』は冷静さを装う訓練でもしていそうな気がするが、これだけ痛めつけて尚且つ本気の脅しをかけた状態なら、余程の人間でないと内面を偽ることはできない。

パブロに至っては痛みに強い人間ではないことも分かっているしな。

これで正確な情報を聞き出す準備は整ったし、ここからは重要な情報の聴取に入るとしよう。