軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第290話 マジックアイテム

ソフィアと軽い雑談をしながら歩き、売り場へと辿り着いた。

普通に結構な客がいるが、早速ソフィア主導で商品を紹介してもらうとしようか。

「それでクリスさん。どんな商品が欲しいんですか?」

「戦闘で使えるアイテムが欲しい。自分に使うものがあればより良いな」

「なるほど、なるほど。それでしたら補助魔法の込められた魔法玉か、身に着けているだけで能力を上昇させるマジックアイテムがおすすめです」

「へー、補助魔法の魔法玉。それに身に着けているだけでいいマジックアイテムか。話を聞く限り、どっちも魅力的だな」

「ここは質も一級品ですので間違いないと思いますよ。実際に紹介させてもらいますね」

要望を聞くなり、即座に目星をつけてくれたソフィア。

アイテムが置かれている場所も把握しているのか、脇目も振らず一直線で歩き始めた。

「まずは魔法玉からですね。この辺り一帯が、補助魔法の魔法玉が売られている場所です。攻撃魔法や回復魔法と比べて人気はありませんので、種類も数も決して多いとは言えませんが……それでも王国一の品揃えだと思いますよ」

手のひらサイズの水晶が無数に置かれた魔法玉エリア。

初めて来た時も軽く見たが、この水晶に魔法が込められているんだよな。

ソフィアの言う通り、攻撃魔法や回復魔法と比べると明らかに種類も数も少ないが、それでもどれを買うか迷うくらいには陳列されている。

魔法の簡単な説明は書かれているものの、どの魔法玉が良いかもソフィアに聞いた方がいいだろう。

「質問ばかりで悪いんだが、どの補助魔法が良いとかってあるのか? 魔法についてもあまり詳しくなくてな」

「シンプルに使い勝手が良いのは、耐久力か力を上昇させる補助魔法ですね。敏捷力を上げる補助魔法も非常に強力ですが、感覚の齟齬が生まれますのでぶっつけ本番で使うと逆効果になりがちです」

「やっぱりシンプルなのがいいんだな。使い捨てだから練習で使うって訳にもいかないし、使いやすさ重視で考えるのが良い――と」

「私はそう思いますね。もちろん好みはありますし、クリスさんが好きなものを買うのが良いとは思いますが」

「いや、ソファアの話に納得できた。アドバイス通り、耐久力と力を上昇させる魔法玉を二つずつ買わせてもらう」

本当に効果があるのだとすれば、もう少し余分に購入してもいいのだが……魔法が【広範化】の影響が出ないことは実証済み。

行った実験は、ヘスターの【ファイア】を受けた時に【広範化】の影響を受けるかどうかというものだったが、補助魔法ならば効果を受ける可能性があるし魔法玉を介している。

可能性としては薄いだろうが、【広範化】の影響を及ぼすことができなくても使えると判断し、二つ購入することに決めた。

「良いと思います! それでは次のアイテム紹介に移りますね」

「ああ。よろしく頼む」

ソフィア紹介の魔法玉を計四つ、買い物かごに入れてから次の売り場へと移動する。

魔法玉エリアから移動した先は客の姿がなく、透明だけど厳重な盗難防止策が施されたショーケースが並んだ売り場。

話を聞いた時に軽く想像はしていたが、身に着けるだけでいいマジックアイテムは高級品のようだ。

ラルフがダンジョンの説明で軽く話していた、希少な宝箱からたまに出てくる永続魔法がかけられた装備品のことらしい。

「……ソフィア、大丈夫か? 俺はそこまでの金はないぞ」

「多分大丈夫だと思います! 能力が微妙で売れ残っているものはかなり安く売り出されるんですよ。クリスさん、そこの一番端のショーケースを見てください」

ソフィアに言われた通り店の一番端にあり、他とくらべて若干汚れているショーケースに目を通す。

他のマジックアイテムが白金貨数十枚のものばかりだったことを考えると、確かに数段値落ちしている商品が置かれていた。

それでも最低白金貨一枚と破格の値段なのだが……ギリギリ俺でも手が出せる値段。

「小手みたいなのから指輪まで色々とあるんだな」

「このケースにあるのはどれも一癖あるものなんですけど、オススメはあのネックレスですね。白金貨三枚で自身の敏捷性上昇と、申し訳程度ですが耐毒効果があるんです」

身に着けているだけで効果があるらしいし、敏捷性上昇は魅力的だが……。

耐毒が完全な死に効果になってしまう。

それと、仮に【広範化】のスキルが有効だった場合、毒を飲んで敵に毒を食らわせるという技が使えなくなるからな。

今回はソフィアのおすすめの物を聞き流し、何か面白い効果があるマジックアイテムがないかを見ていく。

【広範化】が有効だった場合、一見ゴミのような効果でも活きる可能性も十二分にあるからな。

そういった意味では、この売れ残りのショーケースは打ってつけとも言える訳で……おっ!

そんなことを考えながら見ていたのだが、気になる効果を持ったマジックアイテムが俺の目に留まった。

「……この聴覚を鈍くさせる指輪。白金貨一枚なのか?」

「効果も効果ですし値段通りだと思いますよ。……補足いたしますが、敵のではなく自分の耳を聞こえなくさせる効果ですからね」

確かに普通に使う分であれば、耳を聞こえなくさせる効果なんてほとんど使う場面がない。

隣人がうるさくて眠れない――とかぐらいだろう。

だけど、この指輪の効果が【広範化】の適用内ならば、敵の聴力を奪うことが可能となる。

もちろん俺の聴力も奪われるのだが、【黒霧】と同じようにスキルで対応できるし、【黒霧】と組み合わせれば目も耳も奪うことが可能となる。

「決めた。俺はこの指輪を買うことにする」

「えっ!? この指輪でいいんですか? 白金貨一枚でこの効果はかなり割高だと思うんですけど……」

「大丈夫だ。色々と案内してくれて本当に助かった」

「いえいえ。私は本当にただ案内しただけなので。……本当にいいんですか?」

その後も、何度も俺に心配そうな顔で指輪を購入するのか聞いてきたソフィアだったが、俺はソフィアの心配を他所に強化ポーション二本とマジックアイテムの指輪を購入した。

予想していたよりも高価な買い物をしてしまったし、この二つが【広範化】の影響を受けないのであれば全て無駄となる訳だが……。

お試しということを鑑みても、決して悪くはない買い物だったと思う。