軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第286話 【広範化】

まずは【広範化】が影響を及ぼす範囲を知りたい。

任意で影響を与えれるのかどうかも気になるし、二人に協力してもらいながら範囲についてを探ってみるとするか。

「急にガッツポーズなんかするからビビったぞ! 確かに便利なスキルだとは思うけど、そこまで強力なスキルではないだろ?」

「いや、万能な超強力スキルだよ。とりあえず色々と試したい。影響を及ぼす範囲を知りたいからヘスターは玄関の入口。ラルフは『ゴラッシュ』の入口まで行ってくれ」

「また腕を軽く切った方がいいんでしょうか?」

「ああ。ヘスターもラルフもお願いしたい」

「了解。ひとまず付き合うわ!」

小刀を使って三人共に腕を軽く斬り、ラルフが指定の位置に辿り着くのを待つ。

指定した一分が経ったのを確認してから、俺は【広範化】を発動させて回復ポーションを飲み干した。

俺の現在の位置からヘスターの位置までは約五メートルほど。

このくらいの距離は範囲内であってほしかったのだが……。

「ヘスター。回復ポーションを飲んだのだが効いているか?」

「いえ。傷は塞がっていませんね」

「なるほど。流石に距離は相当近くないと効果は効かないか」

効果範囲は相当狭いのが分かった。

広範囲ならとてつもないスキルだったが、流石にそこまで甘くはないよな。

ヘスターとの距離で駄目ということは、ラルフには絶対に効いていない。

無駄に遠くまで行ってくれたラルフの帰りを待ちつつ、ヘスターで細かな効果範囲を確かめていく。

「あっ、クリスさん。傷が治りましたよ」

「【広範化】の効果範囲は半径四メートルって言ったところか。ギリギリ戦闘でも使える距離だな」

「戦闘で使うってどういうことでしょうか? ラルフも言っていましたが、私も正直どう扱うのか分かっていません」

首を傾げながらそう尋ねてきたヘスターに説明しようとしたタイミングで、丁度ラルフが部屋へと戻ってきた。

もちろんラルフの腕の傷は塞がっておらず、血が滴り落ちている。

【広範化】の戦闘での応用についての説明といきたいところだけど、先に実験を済ませてしまうか。

「ラルフ、ごくろうさん。続いて実験を行いたいから近づいてきてくれ」

「まだ実験するのかよ!」

「これで最後だ。ヘスターも悪いがもう一度だけ腕を軽く切ってくれるか? 説明はこれが終わったら行う」

「はい。お安い御用です」

サクッと腕を切ってくれたヘスターと、腕から血が流れているラルフを近くまで呼び、今度はラルフの傷を治すことだけを意識して回復ポーションを飲んだ。

これでラルフの傷だけが治癒されたのであれば、【広範化】の影響を受けさせる相手を選ぶことができるという証明になるのだが……残念ながらヘスターの腕の傷も綺麗に治ってしまっている。

「傷が塞がりました」

「俺も塞がったぜ!」

「なるほど。半径四メートルの生物に強制的に効果を与えてしまうのか。【広範化】については大体分かった」

「俺はいまいち理解できてないけどな! 何が強みなのかを説明してくれよ!」

思っていたほどの効果は望めなかったが、これでも十分すぎるほどのスキル効果。

さて、【広範化】の強みをいまいち理解していない二人に軽く説明するとしようか。

「【広範化】は、アイテムによって俺が得た恩恵を半径四メートル以内にいる生物に付与させるスキル。主な強みといえば、今試したように回復ポーションでの味方の体力回復。魔力ポーションによる魔力回復。強化ポーションによるステータス強化なんかが行えるようになる」

「なるほど。私は節約できるぐらいにしか考えていませんでしたが、クリスさんがヒーラーとしての立ち回りができるってことですね」

「そういうことだ。ヒーラーやバッファーの動きが取れるから、俺達の戦闘に大きく幅が出るはず。問題点といえば効果範囲の狭さと効果範囲内全員に影響を与えてしまうため、敵に回復や強化が入ってしまう可能性があることだな」

これは大きな欠点と言えるだろう。

戦闘の中で使えるようになるまでは練度が必要な上に、余程の強敵相手ではないと使う場面がない。

ヘスターが言っていたように、ポーションの節約での使い方が主にはなるとは思う。

「クリスはやっぱ面白いこと考えるな! 確かに怪我を負っても自力じゃなくて傷の回復ができるのは強い!」

「だろ? ……だけど、【広範化】の使い方はそれだけじゃない。まだ試してはいないが、アイテムの効果を周囲の生物に付与させるということは攻撃にも応用できる」

「攻撃? 攻撃ってなんだよ」

「端的に言えば毒だな。俺が毒を自分に使うことで、半径四メートル以内にいる生物に毒を付与させることができるはず」

「……! 【毒無効】のスキルを持つクリスさんだからこその攻撃方法ですね! そうなると影響範囲の狭さは気になってきますけど、万能な超強力スキルの意味がやっと理解できました」

「まぁ奥歯か何かに毒を仕込んでおけば、斬り合いの最中でも敵に毒を付与させることもできる。やり方次第では無限の可能性を秘めていると思わないか?」

「なんか色々聞いてたら羨ましくなってきたぞ! 俺も色んなスキルを手に入れてぇよ!」

とまぁ、今思い浮かんでいる【広範化】の強みは説明できたな。

【黒霧】に続き、二人とスノーにも協力してもらわないといけないが、この反応を見る限りなら喜んで協力してくれるはず。

後は……使い方が限定されている【自滅撃】の話をサラッとして、長かった話し合いをお開きとしようか。