軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第282話 最後のスキルの実

お礼参りから約一週間が経過した。

この一週間は鈍った体を鍛え直すため、朝と昼は自主トレ。

夜はボルスさんに手伝ってもらいながら、ラルフも交えて実戦形式の特訓。

基本は二人とたまにルーファスの協力もあり、お陰様で寝込む前の体へと戻すことできた。

今日は最後の微調整を行い、日が丁度傾きかけてきた時間帯。

夕方からはラルフとヘスターと、明日からについてを話し合う予定となっているため少しだけ自由な時間がある。

このまま調整を続けてもいいのだが……残しておいた最後のスキルの実を食べたいと考えている。

この一週間は単純に忙しかったのもそうだが、トラウマのせいで食べようと思えなかった。

明日以降は休む暇もなく動くことになるだろうし、今日くらいしか食べてスキルを確認する日がない。

前回同様にぶっ倒れて、また二週間寝込む羽目になったら笑えないが、今日は秘策もあるし大丈夫だろう。

ラルフ、ヘスター、スノーで依頼へと行っているため、誰もいない『ゴラッシュ』へと帰ってきた俺は早速スキルの実を取り出す。

採取してから大分時間が経ったのだが、腐る気配どころか採取した時から形状すら変わっておらず、乾燥させることもできなかったスキルの実。

普通の植物とは構造自体が違うのか、食べずに色々と研究したい気持ちにも駆られるが……。

流石に貴重で強力なスキルが手に入る機会をなんてことはできない。

まずは刺に気をつけつつ、スキルの実を一口大に切っていく。

元々がかなりの大きさのため、一口大に切るとかなりの数になるのだが、かぶりつくよりかは面倒でも回数を分けて食べるのが正解。

前回は刺の正体を知らずにかぶりつき、その後は刺の痛みと疲労も相まって思考が回らなかった。

既に口内が刺だらけだったということもあり、二個目、三個目もかぶりついて食べたからな。

そのアホな行動のせいで症状が悪化したが、今回はしっかりと切るという他にもう一つとっておきの秘策を用意してある。

鞄に入った大きな瓶を取り出し、俺は切り落としたスキルの実の横に置く。

瓶の中身は若干青みがかった液体が入っており、この液体こそが俺の秘策。

液体の正体は――『ガッドフォーラ』特注のピュアスライムゼリー。

オブラートから着想を得たもので、俺がトリシャに頼んでわざわざ作ってもらった代物。

オブラートでは刺がどうにもできなかったところを、このピュアスライムゼリーならば胃まで完璧に粘着したまま届けてくれる。

胃に入り、ピュアスライムゼリーが消化されたからは大暴れするだろうが、そこは【痛覚遮断】でなんとかなるレベルなはず。

ここまでは全て机上の空論であり、当たり前だが実際に試したことはないため緊張するが……。

瓶からビュアスライムゼリーを取り出し、スキルの実に纏わりつかせる。

そして大きく深呼吸を行ってから、俺はスキルの実を一気に口の中へと入れて飲み込んだ。

予想以上にスルリと喉を通り、何の痛みも苦しみもなく胃の中へと納まった。

少し拍子抜けするレベルだが、この感じで食べていけるのであればスキルの実も余裕で食べていける。

【痛覚遮断】は痛みが伴ってから使うとして、とにかくピュアスライムゼリーに包んではスキルの実を胃の中へと納めていった。

作業に一手間加えたため、全て食べ終えるのに三十分ほどかかってしまったが、前回地獄のような苦しみを味わいながら食べたスキルの実をあっさりと完食。

消化されるまでも時間がかかるだろうから、胃の痛みが出てくるまでは待機し、痛みが出たら【痛覚遮断】を使って能力判別を行いに向かうとしようか。

特注な上に希少なピュアスライムの液体を購入したため、かなりの値は張ったが良い買い物だった。

トリシャには今度礼を伝えに行くとして……俺は特殊スキルの能力を楽しみにしながら、痛みが出てくるのを待つことにした。

胃に強烈な痛みが走ったのを確認してから、俺は即座に【痛覚遮断】を発動。

それからすぐに教会へと赴き、能力判別を行いに向かった。

今のところ体に異変はなく、口内に刺さった刺の感触もないから問題なく動くことができている。

ヘンジャクから貰った特別な薬草も残っているし、その薬草を飲んでからしっかりと寝れば明日には胃の痛みも大分良くなるはず。

そんなことを考えながら歩いていると、あっという間に教会へと着いた。

いつも通り礼拝は無視し、一直線で能力判別部屋へと向かいベルを鳴らす。

「……また来たのかい。前回は大分具合が悪そうだったけど大丈夫だったのかね?」

「ああ、もうこの通り復活した。体調が悪かったのもあるが、横暴な態度を取ってすまなかったな」

「別に大丈夫ですよ。……それよりも、今日も能力判別にきたのですよね?」

「ああ。いつも通り能力判別を頼む」

俺は金貨一枚と冒険者カードを手渡し、能力判別をお願いする。

婆さんシスターはなるべく俺と関わらないように意識しているか、冷静な態度で受け取ると何も聞かずすぐに能力判別を行ってくれた。

「――終わりました。確認してみてくだされ」

「ありがとう。助かった」

短く礼を伝え、俺は早速冒険者カードを確認してみる。

はたしてどんな特殊スキルが付与されているのか――期待に胸を膨らませ、冒険者カードに目を落とした。

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【クリス】

適正職業:農民

体力 :30 (+477)

筋力 :25 (+551)

耐久力 :28 (+349)

魔法力 :7 (+191)

敏捷性 :15 (+283)

【特殊スキル】

『毒無効』『自滅撃』『硬質化』『黒霧』『』

【通常スキル】

『繁殖能力上昇』『外皮強化』『肉体向上』『要塞』

『戦いの舞』『聴覚強化』『耐寒耐性』『威圧』『鼓舞』

『強撃』『熱操作』『痛覚遮断』『剛腕』『生命感知』『知覚強化』

『疾風』『知覚範囲強化』『隠密』『狂戦士化』『鉄壁』『変色』

『精神攻撃耐性』『粘糸操作』『魔力感知』『消音歩行』

『自己再生』『身体能力向上』『能力解放』『脳力解放』

『脚力強化』『深紅の瞳』『野生の勘』『士気向上』『毒液』

『音波探知』

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新たに付与された特殊スキルは……【広範化】。

どんなスキルだが検討もつかないため、喜んでいいのかどうかが悩ましい。

スキル名だけで判断するのであれば、魔法や攻撃の範囲が広がる――的な感じを思い浮かべるが、その現象すらもいまいちよく分からないからな。

特殊スキルだから使えないスキルではないことは確かだし、【広範化】も試し撃ちを行って精査していくとしよう。