軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第276話 ドライな対応

フェシリアと別れた後は、ミエルを探すためダンジョン街をうろちょろとしていた。

ラルフの話ではまだダンジョンには潜っておらず、シャーロットとゴーティエの帰還待ちをしている状況らしい。

ただ詳細な居場所は分からず、ダンジョン街にいるという曖昧な情報のみ。

わざわざ探すのも面倒だが、ミエルとのやり取りは全て向こう主導にしていたためこちらから連絡を取る手段がないのが現状。

聞き込みをすれば見つかるかもしれないが、そこまでして見つけたいという気持ちがないため、ここら辺をあと一周したら帰ろう――そう決めた矢先。

正面から見覚えのある顔が歩いてきた。

向こうも俺に気が付いた様子だが、素知らぬフリをして通り過ぎようとしている。

……どうやら、俺が気づいていないと思っているようだな。

「ミエル。なんで無視して通り過ぎようとしているんだ?」

「げっ、やっぱりバレちゃうのか」

「当たり前だろ。出歩く時はいつも変装して歩いているのか?」

今のミエルの姿は、初めて俺と対面した時の無精髭のおっさんの姿をしている。

随分と前の出来事だが、流石に数少ない襲われた経験だし忘れるはずもない。

「だってわざわざ着飾るの面倒じゃない。おっさんの姿なら汚い服装でも歩けるし」

「まぁなんでもいいや。丁度探していたところだから、どっか座れるところで話がしたい」

「えー、別にここでいいわよ。立ち話じゃ駄目なの?」

無精髭のおっさんが女性のような言葉使いをしているため、周囲の目を引いているんだよな。

あんま目立ちたくないし店に入りたかったが、ミエルが立ち話で良いというならいいか。

「そう言うなら、ここでとっとと話を済ませるか。まずは見舞いに来てくれてありがとな。ロザの大森林の探索も改めて助かった」

「別にいいわよ。報酬のお金を貰いに行ったら、たまたまクリスが倒れていただけって話だし」

「……ん? フェシリアがミエルは見舞いの品を持ってきてたって言ってたぞ?」

「お見舞いの品もたまたま持っていただけ。だから気にしないでいいわ」

たまたま報酬を貰いに来て、たまたま見舞いの品を持っていた?

何を言っているか分からないが、気にしなくていいというならこっちが気にすることでもないか。

「……よく分からんがとりあえずありがとう。それで渡せなかった報酬の金だが、この袋に入っているから見てみてくれ」

「報酬金を持ってきてくれたのね。――金貨十枚。まぁ及第点ってところかしら」

口ではそう言っているが、金を見て口角を上げてニヤついているミエル。

無償髭のおっさんだから悪そうという感想しか出てこないが、フェシリアと違ってこの額で満足してくれてそうで良かった。

「俺からの用はこんな感じだな。ミエルから質問があるなら聞くけど何かあるか?」

「特に何もないわ。また馬鹿王女から話があったら行くからよろしく」

「スキルの実のこととか聞かないのか?」

「別に興味ないもの。クリスと違って死んでまで力が欲しいとかないしね」

「……そう言う割にはクラウスから見捨てられても尚、嫌いな王女についてまで上を目指そうとしているよな」

「このまま落ちぶれるのは私のプライドが許さないのよ。それに、嫌いな奴と一緒に行動するくらいじゃ人は死なないから」

「そうか。まぁ何か気になったことがあったら言ってくれ。手伝ってもらった礼として答えられることがあれば答える」

「ええ。それじゃあね」

金貨の入った袋をジャグリングさせながら去っていくミエルを俺は見送る。

……さてと、ダンジョン街でのやることは済んだしエデストルへ戻るとしようか。

まずは『ゴラッシュ』へと戻り、ヘスターと合流してから『マジックケイヴ』へ行く。

それからボルスを探して、色々と約束を取り付けてから――特殊スキルの確認まで行いたいところ。

ミエルを探すのに時間を食ってしまったせいで既に日が真上へと登っているため、俺は急いでエデストルへと戻った。

ダンジョン街からエデストルに戻ってきた俺は、『ゴラッシュ』でスノーと共に待機していたヘスターと合流。

スノーには部屋で待っていてもらい、二人で『マジックケイヴ』へと訪れた。

最後に訪れてからそこまで時期が空いている訳ではないのだが、この一ヶ月が濃すぎて久しぶりに感じる。

ヘスターの後をついていき、俺達はゴーレムの爺さんがいる作業部屋へと向かった。

「ヘスターは最近もここには来ているのか?」

「はい。クリスさんの容体が安定してからは毎日のように来ています。フェシリアさんとミエルさんの魔法を見て、気になったことがありましたので」

「へー。フェシリアはともかく、やっぱミエルの魔法も凄いのか」

「凄いですよ。最近魔法を使えるようになった私なんかと違って、あのお二人は幼少期から魔法を扱えるようになってたみたいですからね。同じ魔法を使うにも練度が違います」

「そうなのか。傍から見ている分には、ヘスターも同じように扱っているように見えたけどな」

「私は【魔力回復】があるのをいいことに、質を量でカバーしていました。でも、近い内に二人に追いつけるよう、動作を間近で観察していましたので期待していてください」

そう言い、少し悪そうな表情で笑ってヘスター。

意外にもロザの大森林での探索は、ヘスターにとっても大きくプラスに作用したみたいだ。

ヘスターのこれから成長に期待しつつ、そうこう話している内に作業部屋へと辿り着いた。

部屋からは怪しげな煙がモクモクと立ち込めており、変わらず変な作業を行っている姿を見ずとも想像できる。