軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第271話 苦行

シャワーを浴びて軽く体を綺麗にした後、すぐに眠ってしまった二人とスノーを部屋に残したまま、俺はスキルの実を持ち一人で教会へと向かった。

頭は全然回っていないが、アドレナリンだけはガンガンに出ているのか目だけが冴えている変な状態。

ヘスターの言う通り、いつ倒れてもおかしくはない体の状態だと自分でも分かっているが、足を止めることなく教会へとやってきた。

まずは今の状態の能力判別から行い、スキルの実を食べてから再び能力判別を行う予定。

おぼつかない足取りで能力判別の部屋へと入り、奥から婆さんシスターがやってくるのを待つ。

「おや、また来たのかい。ついこの間能力判別したばかりなのにねぇ」

「短いスパンでの能力判別はいつものことだろ? 金はしっかり払うから、さっさと能力判別してくれ」

「分かっておりますとも。……というよりも、随分と疲れているようですが大丈夫ですかな? 目のクマが凄いことになっておりますよ」

「大丈夫ではないと思うが、能力判別を行ってくれたら休めるから早く頼む」

心配してくれるのはありがたいが、心配してくれる時間があるならばさっさと能力判別してくれた方が今の自分の体調を考えるとありがたい。

気持ちに余裕がないためぞんざいな返事をしつつ、能力判別が行われるのを待つ。

俺が最後に能力判別を行ったのは東エリア探索の前。

この短期間で能力の上昇はほとんどないだろうが、スキルの実に関する正確な情報を得るため、この能力判別は絶対にやらなければいけない。

「――はい、終わりましたよ。変化はないかもしれないけども、能力の確認をしてみてくだされ」

「ああ。助かった」

金貨と引き換えに冒険者カードを受け取り、早速能力の確認を行っていく。

―――――――――――――――

【クリス】

適正職業:農民

体力 :28 (+477)

筋力 :25 (+551)

耐久力 :24 (+349)

魔法力 :7 (+191)

敏捷性 :15 (+283)

【特殊スキル】

『毒無効』

【通常スキル】

『繁殖能力上昇』『外皮強化』『肉体向上』『要塞』

『戦いの舞』『聴覚強化』『耐寒耐性』『威圧』『鼓舞』

『強撃』『熱操作』『痛覚遮断』『剛腕』『生命感知』『知覚強化』

『疾風』『知覚範囲強化』『隠密』『狂戦士化』『鉄壁』『変色』

『精神攻撃耐性』『粘糸操作』『魔力感知』『消音歩行』

『自己再生』『身体能力向上』『能力解放』『脳力解放』

『脚力強化』『深紅の瞳』『野生の勘』『士気向上』『毒液』

『音波探知』

―――――――――――――――

やはり能力値自体の上昇はほとんどなく、前回能力判別した時よりも若干上乗せされている程度。

スキルの実で基礎能力値が上昇するか分からないが、調べるに越したことはないからな。

「確認できた。今日はまたすぐに何回か来るからよろしく頼む」

「今日中にまた来るってことかね。……行動の理由が私には本当に理解できないんだけども、まぁ分かったよ」

婆さんシスターにそう言い残してから、俺は一度教会を後にした。

教会を出た後は人目のないところへと移動し、スキルの実の摂取へと移る。

リュックからスキルの実を一つ取り出し、太陽にかざしながら改めて少し観察した。

臭いは大分落ち着いているが、見た目がやはり食用のものではない。

味についても若干怖いが、それ以上に怖いのがスキルの実を食べたら死ぬという噂。

俺はスキルの実には毒があるため死ぬと仮定しているが、別の要因で死に至る可能性も十分に考えられる。

今更になって冷や汗が出てきたが、洞窟でフェシリアに宣言した通り俺はスキルの実を食べなければクラウスに追いつくことができない。

つまり食べたら死んでしまうものだったとしても……ここで食べないという選択肢は俺にはないのだ。

「…………いただきます」

仮に死ぬならラルフ、ヘスター、スノーの前でって気持ちもあったが、俺は小さく食前の挨拶を行ってからスキルの実を一口食べた。

「――ッん!」

食べた瞬間に強烈な苦味が舌を襲い、その直後に針で刺されるような痛みが口内を襲った。

変わった形状の実のどれかに無数の棘がついているものがあったのか、思わず吐き出しそうになったが……。

革袋に入った水で、スキルの実を無理やり胃へと流し込む。

水にも強烈な苦味が移って気持ち悪さが残るが、それ以上に流し込んだ後も口内の痛みが酷いまま。

舌やら歯茎やら喉やらに無数の棘が刺さっているような感じで、唾を飲み込む小さな動作だけで強烈な痛みが生じる。

この実がスキルの実でなければ投げ捨てているところだが、【痛覚遮断】を使用してでも全て食べていくとしよう。

最初から【痛覚遮断】を使っていればとも思わなくもないが、体力の消費が大きいし今は体が疲弊し切っている。

苦味に関しては【痛覚遮断】では抑えられないし、【痛覚遮断】を切った瞬間に再び痛みに襲われるため、食べきるためだけの応急措置のような感じだな。

残りの体力との勝負にもなってくるし、とにかくスピード勝負でこのスキルの実を完食したいのだが……。

今の一口分では、全体の二十分の一ほどしか減っていない。

思わず頭を抱えたくなるが、この実を食べきるだけで特殊スキルが手に入るのであれば安いものか。

食べた瞬間に爆発するとかではなかったことを喜びつつ、完食へ向けて強烈な苦味を持つスキルの実を食べ進めたのだった。