軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第116話 全てが終わり……

「ぐ、グリースさんは、し、死んでしまったんですか?」

「ああ、たった今死んだ。俺と――お前達の手によってな」

「う、う、う……」

めそめそと泣き始めた取巻き共。

本気で都合の良い奴らだな。

「とりあえずこれでお前達は、パーティリーダーを殺した大罪人だ。この出来事を俺がギルドに報告すれば、お前達の人生は終わると思え。――いいか、『グリースはヴェノムパイソンに食われて死んだ』。分かったな」

そう告げてから、グリースの死体を隠蔽するためにカーライルの森まで運ぶ。

道中で誰かに見られたら全てが台無しとなるため、麻袋の中に入れて隠し、死体は取巻きに運ばせて俺は周囲の警戒を行って進んだ。

無事にカーライルの森の中へと見つからずに運ぶことができ、拠点の近くまでなんとか運び込むことができた。

……後は、オンガニールの近くまで俺が持っていくだけだ。

「ここまででいい。お前達はもうオックスターに帰れ。そして、ギルドで“今日あったことと事の顛末”をギルドに報告しろ」

「わ、分かりました」

「それから二度と俺達に絡んでくるな。――そうすれば、俺がお前らに絡むことはない」

「は、はい。二度と、二度と近づきません」

一足先に取巻きどもをオックスターに帰らせ、俺は一人カーライルの森に残る。

……これからグリースをオンガニールの宿主とさせるため、あのゴブリンの死体付近まで運ぶ。

この間は失敗に終わってしまったオークジェネラルよりも強く、スキルも確実に持っているグリース。

まさか人の体で試すことになるとは思っていなかったが、これで成功したら――かなりの成果となる。

俺はグリースの死体の入った麻袋を背負い、ゴブリンから生えたオンガニールの場所へと向かう。

禍々しく重苦しい空気を頼りに森を進んでいき、オンガニールの場所へと辿り着いた。

「コボルトからは……生えていないな」

以前来た時に、コボルトを殺してから傍に置いておいたのだが、コボルトの死体からは芽が出ていない。

栄養が足らなかったのか、それとも作付自体がなされていないのか。

どちらかは分からないが、コボルトは失敗だったようだな。

……となってくると、グリースで成功するかどうか怪しくなってきた訳だが、こればかりは試してみないと始まらない。

麻袋からグリースの死体を取り出し、ゴブリンのオンガニールの横に並べて置く。

血だらけで惨い死体だが、今回は心臓を一切傷つけていない。

殺したばかりだし、栄養面で考えても宿主としては申し分ないはず。

やってることは完全に狂気に満ち満ちているが、埋めようがオンガニールの宿主にしようが、そう大して変わらない。

だったら、グリースが死ぬ間際に言っていたように、俺の力になってくれた方が報われるだろう。

……意味合いは大分違うだろうがな。

とりあえず死体を置いたところで、俺はカーライルの森から出ることにした。

今日は本当に色々とありすぎて、もう一歩も動きたくないほど疲れたな。

重い足を必死に動かし、付着した血が怪しまれないように、一度拠点近くで水浴びと着替えをしてから、オックスターを目指して帰路に就いた。

家にたどり着いたのは、辺りがすっかりと暗くなってしまった頃。

二人は無事に戻っているようで、家の中は光が灯っている。

扉を開け、中に入ると――。

玄関で出迎えに来てくれた、ラルフとヘスターの顔が目に入ってきた。

何故か分からないが、俺は思わず泣きそうになってしまったが……。

ヘスターの腕を飛び出そうと暴れ回っているスノーを見て、気分を紛らわせることでなんとか涙を引っ込める。

「ただいま。――やるべきことをやってきた」

「……全て終わったのか?」

「ああ。全て終わった。……悪かったな、付き合わせてしまって」

「謝るなって! グリースを殺すのは反対したけど、生かしておいたらまたいつ殺されかけるか分からないのは事実だからな。俺達が甘いだけでクリスは正しいことをしたと、頭では分かってる」

「私もです。――だから、クリスさんは謝らないでください」

「アウッ!」

二人の様子を見てから、空気を読んで一つ吠えたスノー。

スノーも慰めてくれているようで、思わず笑みがこぼれる。

「グリースには殺されかけたけどさ……。緊急依頼は半分だが達成したんだし、パーッとやろうぜ! 約束しただろ? 大パーティをやるってさ!」

「……いや、今日はそんな気分じゃない。疲れたし、もう寝たいから明日でいいだろ」

久しぶりに本気で疲れている。

足取りも重い中、やっとの思いで帰ってきたため、パーティなんてやる元気はどこにもない。

ただ、そんな俺の気持ちなぞ露知らず――。

「えっ? 私、シャンテルさんを呼んでしまいましたよ?」

小首を傾げて、白々しくそう告げてきたヘスター。

俺が即座に反論しようとした、その瞬間――。

「おっじゃまっしまーす!! シャンテルさんが遊びに来ましたよーっと!!」

扉が思い切り開かれ、なんとも丁度良いタイミングでシャンテルがやってきてしまった。

俺達の事情を何も知らないシャンテルは、いつもと変わらず元気――いや、パーティと聞いて来たからか、いつも以上に元気よく現れた。

「…………本当に呼んだのかよ」

「ええ! シャンテルさんがいれば、嫌でも明るくなりますからね!」

「よしっ! これで逃げることはできなくなったぞ、クリス! みんなで大パーティだああああ!!」

「アウッ!」

「パーティー! パーティー! ――私も色々とパーティーグッズ持ってきましたから、今日は遊び尽くしましょう!!」

シャンテルも巻き込み、楽しそうに大はしゃぎしだした三人と一匹。

こんな光景を見せられたら、どれだけ頑張っても暗い雰囲気になることはできない。

……仕方がない。

色々と考えるのは止めて、俺も楽しむか。

そう自分の中で諦め、俺もラルフ主催である大パーティを夜中まで楽しんだのだった。