軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第四百四十七話 白スクと戦おう

『達良くんはブレないなぁ』

はははは……と風音から乾いた笑いが漏れる。そして顔を引き締め、敵を見ながら、ウィンドウを開いて、以前に送られた敵の情報を見る。

個体名:殺魅オルタナティブ・白スクエディション

レベル:278

ステータス:不明

装備:

右装備:亜空間接続擬似無限サイクルレールカノン(非殺傷)

左装備:収束レーザーソードTAIYO×100(非殺傷)

バックパック:重金属粒子ビーム拡散放射型自由機動ミサイルランチャー十連式(非殺傷)

アクセサリ:グラヴィティキャンセラー

アイテム:エーテルフレア・グラヴィティボム・元気になるお注射

必殺技:アリ

恐るべき強敵だろう。どれだけアレな格好だろうと、まず間違いなく手強い相手のはずである。

『そんじゃ、これから戦闘開始するからかかってきて。どうぞ』

そして、その合図と共に戦闘開始のベルが鳴り響く。

「いくよーーーー!」

『にゃーーー!!』

「グウォォオオオオオオ!!!」

風音や 僕(しもべ) たちが一斉に飛び出していく。

『じゃあ僕も行くよ』

感情のこもらない声でそう口にして殺魅オルタナティブ・白スクエディションは走り出した風音達に攻撃を仕掛けてきた。

『ターゲットロックオン……機能はないから自動で』

その攻撃とは重金属粒子ビーム拡散放射型自由機動ミサイルランチャー十連式。赤いランドセルに接続されたランチャーがガコンガコンと動き出し、そして一斉にミサイルが解き放たれる。

『来るっ!?』

それを見て風音は瞬時にスキル『イージスシールド』発動を準備する。

(悪い『直感』が止まない?)

しかし、風音の『直感』が警告する。『イージスシールド』が効かないと発している。

(だったらっ!)

『ミノスとホーリーは前へ出てッ!』

その風音の言葉に、骸骨の巨人と黒い全身甲冑のミノタウロスが飛び出していく。

『塵と化せ』

そして殺魅オルタナティブは両手を広げてそう言った。

『非殺傷だよねえ、それ?』

そして空中で自在に動きながらバッと広がったミサイルたちからビームが放たれる。

(ミサイルじゃないじゃんかっ!?)

どう見てもどこぞのロボットアニメのような空中移動砲台だった。さらにはそのビームは風音の放った『イージスシールド』にはまったく干渉せずに通過していく。

(『イージスシールド』は物理と魔術、両方効くはずなのに!?)

風音が驚愕するが、しかし敵の攻撃は止まない。

黒マッスルミノスとホーリースカルレギオンが身を盾にして防ぎ、それを越えた攻撃を風音は『直感』に任せて避けながら逃げ続けた。ドラゴンになったユッコネエも自前の『直感』で避け続ける。どうやらユッコネエは自前のスキルが使用できるようだった。

風音の自前スキル『キックの悪魔』は使用出来ないがその差異は不明である。一方で狂い鬼は配下のダークオーガを手で掴んで盾にして防いでいた。鬼のような鬼である。

そして光のシャワーが降り止んだときには黒マッスルミノスは倒れ、ホーリースカルレギオンはバラバラに崩れていた。ダークオーガ軍団も半壊している。普通にやられたのが四分の一、盾役四分の一くらいである。

『圧倒的じゃあないのさ』

風音が冷汗混じりに口を開いた。一瞬で魔王アスラ・カザネリアンの軍勢が半分に減っていたのだ。

『けど弾は尽きたみたいだし』

その風音の言葉通り、ガランと殺魅オルタナティブのランドセルからはランチャーが外れて地面に落ちた。ガランっと音がしたのと同時に殺魅オルタナティブが飛び上がり浮遊する。

『何か……来る?』

そして殺魅オルタナティブは左手の筒の固まりを風音達に向けると、そこから光の刃が突き出てきた。

『レーザーソード100倍!』

その言葉と共に殺魅オルタナティブの握る束ねられたすべての筒から光の刃が発生したのだ。それらはひとつに纏まり、一本の極大の剣となった。

『突貫ッ!』

そして殺魅オルタナティブが飛翔しながら道路を一直線に特攻する。

『やばっ、回避ッ!』

風音が叫び、その言葉に従い黄金竜ユッコネエと狂い鬼が飛んだ。だが飛行能力のないダークオーガ軍団は左右に散るしかなかった。そこに殺魅オルタナティブの攻撃が直撃する。

『ダークオーガ軍団がやられているッ!?』

風音が叫んだ。一撃でダークオーガたちが全滅だった。出てきた意味は盾役ただそれのみ。

(収束レーザーソードTAIYO×100って100個のレーザーソードを束ねてるって意味かぁ!?)

エネルギーがどこから供給されているかが気になるところだが、恐ろしい武器である。

『にゃーーーッ!?』

風音が相手の武器のことを考えているところにユッコネエの鳴き声が響いた。ユッコネエの『直感』が働いたのだ。それがスキル『情報連携』により風音に共有される。

(攻撃。ユッコネエに直撃させる気? させないっ!)

風音がイージスシールドを発動させようと構える。今度は悪い『直感』も感じない。だからいけると風音は考える。

『さあ、当たりなよにゃんこのドラゴン』

そして、殺魅オルタナティブの持つ亜空間接続擬似無限サイクルレールカノンから轟音と共に弾丸が放たれたのだ。

『スキル・イージスシールド!』

その発射と同時に風音はイージスシールドを発現させ、そしてレールカノンの攻撃がシールドと接触し弾体は弾かれた。いや、弾ききれずに僅かにそらしたという感じではあったが、ユッコネエへは当たっていない。さらにはその弾かれた一撃は後ろにあったビルに当たる。その威力は絶大で、凄まじい破壊音が響かせながら衝突したビルは倒壊していった。

(防ぎきれずに逸らしたか。レールカノンだから物理ってことだろうけど、威力がでかすぎる)

非殺傷モードでなければ貫いていたかもしれない。

(いや、そもそも非殺傷モードって何だろう?)

そんなことを考えながら風音は殺魅オルタナティブを見て、構える。

「けど、撃った後の今なら特攻出来る!」

風音がそう声を出した瞬間に『直感』が発動した。

(な、まさか連射が利く?)

背筋が凍る感覚があった。そして、それが放たれた。

(一発目は試射か!?)

風音は質量体の雨あられな攻撃をギリギリで避けながら飛んでいく。

それは、射線上から一直線にあるものすべてを破壊していくほどの威力。周囲のビルが破壊され、崩れ落ち、砕かれて折れて、凄まじい砂煙が周囲を舞った。

『うりゃああああッ!』

そんな中を、回避に専念するようにとユッコネエと狂い鬼に指示を出しながら、自分もイージスシールドを展開しつつ特攻する。

(近付けやしないッ!)

風音は『直感』を最大限に発動させながら、飛び交っていく。ウィンドウが『直感』のレベルアップを知らせるが、それどころではない。

ユッコネエや狂い鬼にはすべてを避けきるなんて芸当は求められない。だから、ここは風音が中心に動かなければ全滅するところであった。

そして風音は防御を『イージスシールド』から『マテリアルシールド』へと変える。レールカノンは物理攻撃だ。純物理防御に、発動速度の速いマテリアルシールドの方が有利だと風音は判断したのだ。

(ユッコネエにもマテリアルシールドをスキルセットさせときゃ良かったかぁ)

そうは思うが後の祭りである。ここまで接近戦が難しいとは思わなかったのだ。現時点ではユッコネエにセットさせたスキル『戦士の記憶』がまるで意味を為しておらず、完全な選択ミスだったと言える。そして風音が十数発を避けた後、攻撃が急に止んだ。

(あれは……)

その原因は明らかだ。

『レールカノンのレールが崩れ落ちている……の?』

レールガンの系統はレールに電流を流して弾丸をローレンツ力で飛ばすものだが、使用するレール自身も摩擦によって損耗する。ジンライの 雷神砲(レールガン) の例もあり、そんな法則が実際に働いているのかは風音にも 甚(はなは) だ疑問ではあるが、ともあれ連続発射によりレールが使用不可となったのは間違いないようだった。

(だったら、レールを取り替えられる前に)

『突撃だぁあああ!!』

風音の乗ったロクテンくん・阿修羅王モードがスキル『ブースト』の加速により凄まじい速度で特攻する。

『それは甘いよ』

対して殺魅オルタナティブは当然のようにもうひとつの手にある極大レーザーソードを振り上げる。

『どっちが甘いかなッ?』

そのレーザーソードに風音は第六天魔王の大太刀を突きつけた。

『たかだか剣一本じゃあ防げないよ』

『まあそうだろうね、けどッ』

殺魅オルタナティブの言葉に風音は笑う。それで攻撃しようというのではないのだ。剣先の座標にそれを顕現させようとしただけだ。

『スキル・光輪!』

それは天使の輪である。

『なんだって!?』

殺魅オルタナティブの声に焦りが見えた。大太刀の先に光の輪が発生したのだ。そして、極大レーザーソードに風音の発生させたドーナッツほどのサイズの光輪が接触すると急激にその輪はレーザーソードの光を吸い込み始めた。

『その光輪は光属性の攻撃を吸収するんだよねっ』

『うわーーー、吸い込まれるーーーー、あーれーー』

そして笑う風音だが、しかしその笑顔も長くは続かない。

(吸収ッ……しすぎだよね、これ?)

光輪のレベルアップを知らせるウィンドウが開かれる。

・光輪の常態化。

そんな機能が追加されたようだが、光輪自身は限界を超えたことでひびが入り、今まさに崩壊しようとしているのだ。

(駄目かっ!?)

そして風音の心の叫びと共に、光輪はその場で砕け散った。そのまま吸収されていた光が全周囲に放たれたのだった。