軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百八十話 ショッピングをしよう

「あなたっ(ハートマーク)」

「うむ」

ふたりはラブラブであった。見た目、孫とそれををあやすお爺ちゃんという感じでもあるが、お相手の妙に艶めかしい手つきを見るとお爺ちゃんはロリコンお爺ちゃん、ロリは淫乱ロリにグレードアップする。もっとも、もっとよく見ればロリはロリ系オバさんであることは分かるだろうし、最終的にはロリ嗜好お爺ちゃんとロリオバさんのカップルだろうということに落ち着くのである。

しかしその状況は、ジンライという堅物男にとっては、部屋の中でのふたりきりの時ならいざ知らず、こう人前でやるには抵抗感がある。すごくある。

「あ、こっちはこっちで楽しんでいますのでお気にせずに」

対して風音は黒いダイヤモンドことマーベリットに抱きついたまま、至福の時を満喫していた。

「もう魔力の回復は出来たんじゃないのか?」

「いやーまだまだ補充するよ。もう私はこの筋肉にチュッチュしたくて仕方ない気分だよ」

「さすがにそれやられたら剥がす」

「らじゃースリスリだけで我慢します」

剥がされては敵わない。補充せねばならないのだ。

「ふふふ、カザネさんは面白いこねえ」

「うむ」

ジンライの膝の上にポンッと乗っかって、しなだれかかるロリお婆ちゃんと、黒いダイアモンドことダークエルフのマーベリットの腰に、スリスリしながらへばりつく風音。どちらも自分の嗜好を満足させながらにへらとしているというそんなカオスな状況がそこにあった。

午後になって弓花がシンディを連れてやってきてからというもの、この二組はずっとこの調子だったのだ。ジンライはさすがに退院初日ということで今は休憩中であり、直樹たちを鍛えるのは弓花とジライドに任されていた。

そして第五区画の中心辺りからは阿鼻叫喚の悲鳴が先ほどから上がっているが、これも毎日続けばいずれは慣れて直樹たちの力となるだろう。耐え切れればだが。

「まあ、これだけやるんなら、エミリィも多少はマシになるかな」

とはマーベリット。このメンツの前に自分の弟子が一番能力が低いと思っているので、若干肩身が狭い思いがある。主に自分をエミリィに推薦してくれた目の前のシンディに対して。

「なるようになるわよマーベリットさん。それにこの人が一緒なんですもの。きっとエミリィもしっかり育ててくれるわよねあなた」

「うむ」

うむばかりではあるが、ジンライはジンライでシンディのいちゃいちゃプレイにいっぱいいっぱいだったのだ。

「我が孫ながら恐ろしい子ね」

『そなたの孫にしては一途よな』

その様子を「うふふふ」と見ているルイーズと、抱っこされてるメフィルス。このふたりのカップルもおかしいと言えばおかしいのだが、 愛人(にする) 三昧のメフィルスと 愛人(にされる) 三昧のルイーズは一般的な恋愛観とはかけ離れた存在だ。そんな彼女にしてはジンライに対して若干の執着心を見せているのだが、それでも三人で楽しめればいいのになあ……とかそんな感じである。そこらへんはジンライのみに異常な執着を見せて子供を孕んで祖母から寝取ったシンディとは違うところだろう。

「いいじゃありませんかお婆さま。この人はまた明後日には出てしまうんですから、今の内に甘えておかないと」

そう言ってシンディはジンライにしなだれかかる。ジンライはやはり「うむ」としか言わなかった。ちなみにティアラは直樹たちと一緒に戦闘訓練中である。鍛えなければならないらしい。それも早急に。

なお風音はすでにコテージ強化という用事が済んでいる。

そもそもの目的は色々と盛り込みすぎたコテージのコストパフォーマンスを軽減するために大学の建築士の知恵を借りることだったのだ。だが今はもう『空間拡張』のスキルを手に入れたので、その必要もあまりなくなっていた。

そのため翌日は大学へは特許関係の書類を目を通すだけとなってしまったので、風音は余った時間にひとりで買い物に行くことにしたのだった。

◎首都ディアサウス 商業区

さてショッピングである。

このハイヴァーンの首都はやはり国の中でももっとも栄えている街ではあるので、様々な武器や道具なども揃っている。ただ今回風音が狙っているものは決まっているので、目移りする前にさっさと購入をすませてしまおうと考えていた。

「えっとですね。攻撃力はなくて良いので、魔術装填数多めの魔法短剣を見せてもらえます?」

ウォンバードの時とは違い、必要なものははっきりしているため風音は店員に迷うことなく望みの品を告げる。今回は直球でギルドカードも早々に提示した。

「ランクCね。小さいのにやるもんだねえ」

店員は鬼殺し姫の容姿と名前は分からなかったらしいが、ランクCともなれば普通に魔物と戦っていることは理解している。見た目が子供だからといって侮って応対したりはせず「こちらだよ」と言って風音を案内する。

「それで魔法短剣ってことは近接戦闘メインなのかな?」

その店員の言葉に風音は横に首を振る。

「いや、直接攻撃に使う訳じゃあないんだよ」

一般常識として『魔法剣』というのは魔鋼と呼ばれる魔力を流し、魔術を留めておくことができる鉱石を含有させた武器を指している。

魔鋼を含めた剣は基本的には通常の武器に比べると脆くナマクラに近いものだが使用者が魔力を通すことで強度が増すという特徴がある。つまり魔力を込めれば込めるほどに剣としては強くなる。燃費が悪いが使用者の能力次第でどこまでも『強化』できるというメリットが存在しているわけだ。

また魔法剣は魔術を留めておく効果も持っている。蓄積ではなく留めておくと表現するのは留めておけるのはあくまで術者が魔力を通している間のみ。術者の魔力が通らなくなると装填された魔術自体が消失する。

この魔術を留める行為を『装填』と呼び、その利点は詠唱時間を省き瞬時に魔術を放てることと、指向性が付くため、威力が増大するということ。反面、射程距離が縮むので近中距離を前提とした戦いとなり、遠距離メインの魔術師では扱い辛い。

そして魔法剣士とは、主にこの『強化』と『装填』をメインに戦う剣士のことで、魔力の高い者のみが扱える職業だ。だが、風音の頼んでいる魔法短剣は、刃渡りが短く、近接戦闘か、或いは別の目的で魔術を装填しておきたい者が使うような武器だ。

「装填数が多めってことは剣の内部で魔鋼を分けてるから『強化』しても結構脆いんだけどねえ」

「うん、分かってる」

風音が頷くのを見て、店員は短剣を並べていく。

「それに装填できる魔術はグリモア二章クラスのみでいいよ」

「なるほどね。そんじゃ、こっちは省くか。ご予算はいかほどで?」

店員は出した短剣のいくつかをはずしながら、さらに尋ねた。

「お金は結構あるから、特に考えてないかな。いいのがあったら買うつもり」

その言葉に店員は「だったらこっちも見せてみるかな」と奥の棚に向かっていく。風音の財政状態だがリザレクトの街で直樹たちの武器を頼んだことで一度ゼロになっているが、大武闘会の優勝賞金に、地竜素材換金、クリスタルドラゴン討伐報酬及び素材換金にブルーリフォン依頼達成報酬及び素材換金で相当にお金は入ってきている。ちなみにこのパーティのルールでは報酬は受けたメンバーで等分としている。

「ランクCのお客さんには普通買えるものじゃあないんだけどね。こっちはどうかな?」

そう言って見せたのは黒い刃の内側に4つの鉄板をはめ込んだような短剣だった。

「へー、魔鋼が混じってるんじゃなくて、剣のフレームの中に魔鋼が挟まってる?」

「そうだな。『強化』を一切考えないならこういうのもあるんだ。魔鋼と刃の部分が完全に分かれてるから強化は出来ないけど、その分魔鋼を分けて配置できてるから、4つ装填が可能だ。刃となる部分は黒金を使用しているので、相当に丈夫でもある。まあ直接戦闘には使わない方が無難だけどな」

「うーん。なるほど」

これは風音の想定している戦闘に合致するアイテムだ。

「これもうひとつ、あるの?」

「あと3振りはある。ドルムーの匠の工房で造ったもんだからな。本人作じゃないけど値は張るよ?」

そう言う店員に風音はにんまりと笑いながら指を二本立ててこう言った。

「命あっての物種だからね。それふたつ下さい」

その後風音は、ティアラ用にと考えた武器をまとめて購入した後、道具屋でマナポーションを発見し、それをふたつ購入した。

以前に親方から貴重品としてもらったこともあるマナポーションだが、現時点においてこれの製造技術は失われているそうだ。なのでダンジョン内の隠し部屋で発見したものぐらいしか流通しないため、その値段も確かにレアアイテムにふさわしいものだった。