軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

エルフの国のいちばん長い日⑥

―――「将軍たちの叛乱」。

エルフィンドに起こった政変は、のちにそのように呼称されることになる。

星暦八七七年五月六日、エルフィンド軍首脳たちによる政府に対する蹶起は、極めて迅速に、巧妙に、手堅く進んだ。

彼女たちが賢明であったのは、まず女王エレンミア・アグラレスからの勅許を得たこと、そしてそのあとで女王自身の警護兵力となっていたマルローリエン騎兵の一個中隊しか動かさなかった点にある。

ディアネン市内には、兵力が乏しい。

仮に大規模に兵を動かそうとすれば、前線からの抽出を要する。

しかし余り多くの兵を動かせば、そのなかに教義原理派の息がかかった秘密警察の潜入者、あるいは抗戦派の者がどれだけいるか知れたものではない。同様の理由から、事前に相談できる者も数を絞る必要があった。

そこで、二五〇名から成り、練度も高く、女王への忠誠心も篤いマルローリエン騎兵しか動かさなかったのだ。

女王の勅許に依って、蹶起に合法性も持たせた。

白上衣に黒ズボン、胸甲、サーベル、拳銃といった装備をした騎兵たちは、まったく通常通りの衛兵通達を掛けられ、女王の居室前で命令を下され、政府首脳ら一三名の拘禁に向かった。

殆どの閣僚は、事態に茫然とするばかりでそのまま自室に軟禁された。

だが、なかには抵抗を示した者もいる。

陸軍中将でもあった内務大臣プレンディルは、昼食の内容に不満で余り手をつけず、食後の代用コーヒーもそこそこに、午後から再開される予定だった閣議に備えて早めに身支度を整えることにした。

しかも彼女には、現役の陸軍中将だというので副官も着いていれば、従卒もいた。

そして彼女たちは、自室前の廊下から響いてくる重々しい靴音に、早々に気づいた。騎兵用長靴が大理石を整然と足早に踏みつける音は、特有のものである。もちろん、胸甲やサーベルの金属音もする。しかも多数となれば―――

そしてプレンディルは内務大臣である。

全国の警察や、秘密警察の長であった。

重く分厚い扉の前には、形式的なものではあったものの警護の警官までいた。騎兵たちとの開けろ開けないの押し問答になり、その騒声が決定的となった。

「痴れ者どもめ! 私のところに何用があって来た!」

拳銃を引き抜くと、問答無用で最先頭にいた騎兵下士官に発砲した。

当然ながら、騎兵たちも撃ち返す―――

短いが激しい銃撃戦が起こり、これが止んだときには、抵抗したプレンディル中将と副官、巻き添えをくった従卒の三名全てが射殺されていた。彼女のところには一〇名が踏み込んだ騎兵のうち、一名が死亡、二名が負傷した。

教義大臣モリンドの場合は、周囲を驚かせた。

踏み込まれ、勅命であると軟禁を告げられると、わなわなと震え、真っ赤になり、ついで蒼白となって唇を噛みしめ、突如立ち上がると、なんと窓を突き破って飛び降りた。

市庁舎の、四階からだ。

そのまま落下して、重態になった。

そして意識を回復せず、翌日に死亡した。

自己保身からの逃亡を図ったものか、あるいは世を儚んでの自裁だったのか、それは今以てわからない。

ひとつ推量できる材料があるとすれば、死後になって彼女の日記が発見されており、そこには開戦以来ただただオルクセンへの憎悪や恨み、呪詛の言葉が記され、そして降伏勧告後は不安や恐怖、悲憤ばかりが綴られていた。勧告が「悪逆非道なる権力勢力」を名指しで批判していた以上、確実なものと予想された処断処刑を極度に恐れていたらしい。

「我らは選ばれし者」

五月以降この前日まで、ただひたすらにその言葉がびっしりと記された頁の数々は、後世、これを目にした者の心胆を寒からしめたものである。

こうして全閣僚と、内閣書記官長、各省次官とが軟禁下におかれた。

六日午後一四時を回ったところで、陸軍大臣ウィンディミア大将は、女王より内閣総理大臣へと命ずる親任状を授けられた。

名目上、閣僚の殆どは前内閣からの留任である。

だが実態としては、ネニング方面軍司令部が新政権を補佐した。

ディアネン市に閉じ込められて以降のエルフィンド政府は、周囲から切り離され、事実上は市域内の統制ばかりやっていたから、方面軍司令部の参謀たちが実務を肩代わりすることは、どうにか可能だった。

ディアネン包囲戦以降のエルフィンド政府が発した布告の数々は、とても一国の政府のものとは思えないような内容ばかりだ。

一例を挙げるなら、

「現今市内において市民はそこかしこで会合の席を設け、多頭を以て群れ集まり、風説風聞をみだりに吹聴する者が多い。依って市内での集会を禁じる。この取り締まりはディアネン市警察に委任する」

これは内務大臣が四月二六日に出したものである。

また、

「昨今の食糧事情を考慮して、市中にて大麦、小麦、ライ麦粉を所持している者は申告すること。政府はこれを適正価格で買い取る。これは前線の兵士及び市内公設パン屋での食糧にするためである。布告に反し所蔵を続ける者は、八〇〇ティアーラの罰金と三カ月の収監に処す」

こちらは農務大臣布告。

既に市内では配給のパンが雑穀混じりの黒ずんだものになっており、量も少なく、藁や塵すら混じり、とても食えたものではない。この改善を図ったものであるが、一国の政府が一つの市に対して布告するようなものではなく、エルフィンド政府が事実上「一市庁」に落ちていたことがわかる。

このような実情の数々は、戦争の継続が不可能であることの証明であったし、軍首脳らが蹶起に及んだ所以でもあったが―――

実権掌握に成功した軍首脳たちが、ただちにその瞬間を以て戦争を終結できたわけではなかった。

実態はどうであれ、エルフィンドは未だ「国家」である。

国家という巨大な組織が、戦争を終結させ得るには「手続き」が必要となる。

エルフィンドの場合、オルクセンによる無条件降伏勧告を受け入れるという内容の国書を作成し、女王がこれに署名し、首相以下閣僚たちが副署をする―――という作業が必要になると思われた。

更にはディアネンで戦う兵士たち、ディアネン市民、しいてはエルフィンド全土にこの布告を行わなければならない。

まずは、この文案の作成。

清書。

そして署名手続き。

このような時間が刻一刻と過ぎる間にも、前線や首都ティリオンでは破壊と壊滅と絶望が進んでいるわけである。

ディアネン市中心部にさえ届く遠雷のような砲声は、絶え間がなかった。みな、オルクセン軍のものだ。オルクセン軍はこの前日になって、ネニング方面軍への総攻撃を開始していた。砲撃を主体にしたものであり、なかでもオルクセン軍第六、第七、第四軍団の地域で激しかった。

また軍首脳たちにはもはや知る由も無かったが、五月五日以降行われた首都ティリオンへの砲撃は惨状を極めている。

五日、東部地区を中心に焼夷榴弾一二八発着弾。各所で火災が生じ、邸宅及び家屋二三〇軒完全焼失、市民死傷一二〇名。白銀樹二本が倒壊し、失輝死五六〇名。

六日、再び東部地区を中心に二四二発着弾。直接死傷一六〇名、失輝死二八〇名。

同日、中心部を狙って大鷲族の弾着観測支援のもと一〇一発着弾。農務省支庁舎炎上。市中央公園に着弾した二発により、避難民五六名死傷―――

首都ティリオンの被害を拡大させたのは、この都市が「エルフ族の理想郷」たるべく作り上げられたものであり、市内各所の公園や広場へと白銀樹を取り込んでいたからである。しかもオルクセン軍は首都砲撃を決行するにつき、これを避けて砲撃することは実質的に不可能であるとして、同市の砲撃にあたっては砲撃被害を考慮しない方針を立てていた。

このようななか「正式の手続き」を進めるのだ。

どれほど愚かで、馬鹿げているかは、当事者たちにすら自覚があった。

だが、エルフィンドの政治的実権を非常手段に依って掌握した将軍たちは、殊更に正統性であるとか、手続きが正式なものであるかどうか、正規の書式であるかどうかといった「付加価値」を必要としたのだ。

「建国は、世界の創世と等しく。その間一度も敗北せず、一度も敵の手に依って武装解除など受けたことはない。ましてや生殺与奪の権利までを敵に握られた状態で、国家そのものを失うのだ」

新首相ウィンディミア大将は端的にその理由を現した。

「兵も、国民も、素直にこれに従ってくれるかどうか。とくに前線部隊は、今日只今この瞬間も相対峙して撃ち合い、殺し合い、憎しみ合った敵へと降伏し、武装解除を受けねばならんのです」

クーランディア元帥は頷いた。

彼女自身とて、オルクセンによる降伏勧告を受けた直後は、イヴァメネル中将始め部下らの不憫を思い、また国家そのものが失われるという事態に暗然とし、とても受け入れようなどとは考えられなかった者のひとりだ。

「まずは新政府発足の布告ですが。これに従ってくれるかどうかです・・・」

ファラサール大将の呟きにも、力がない。

―――だが、やらねばならない。

彼女たちは、軍方針書と名付けられた書類を作成させてもいた。

ネニング方面軍参謀長サハウェン少将がクーランディア元帥の意向を受け整えたもので、六日午後二時四〇分付けとなっていた。

「軍方針。軍はあくまで陛下の御心に従い、行動す」

三名が署名をやり、即時効力を帯びさせたこの非常に短く簡潔な書類は、しかし、重大かつ深長な意味を持っている。

「これで―――」

クーランディア元帥は呻くように言った。

「これで、終戦の御心に従わぬ者があれば、それは叛乱軍ということになり、討伐の対象ということになるのだな・・・」

彼女たちは、マルローリエン騎兵一個中隊に加え、国民義勇兵一個中隊、ディアネン市警察一個中隊、貴重極まる予備兵力であったエルドイン軍正規部隊の二個中隊、七ポンド砲四門を動員して、女王警護の名のもとに市庁舎周辺に置いた。ネニング方面軍司令部から、信用のおける将校を配してもいる。

これは新政府の護衛にあたるとともに、万が一にも従わぬ前線部隊があれば鎮圧するための兵力だ。

長年にわたる軍中枢での経験の深い彼女たちにさえ、この先の事態がどのように進行するか、それは粛々としたものとなるのか、あるいは造反者や更なる叛乱蹶起を招くのか。まるで予想が立てられなかったのである―――

この前日、五月五日に開始されたオルクセン軍の総攻撃は、苛烈を極めた。

ディアネン市の全周を取り囲んだ彼らの攻撃が峻烈なものとなったのは、オルクセン軍側としても「これが最後の戦闘になる」と感得するところ、大だったからである。

この日早朝、規定通り各兵に配布された糧食は手が込んでいた。

いつもの硬く焼き締められた黒パンではなく、豊潤な白パンがある。

熱いコーヒーがある。

ジャムやリンゴ入りラードがある。

グロワール風チーズや茹でヴルストがある。

煙草や葉巻もたっぷりと配られた。

全軍規模でも少なくない数になっていた補充兵たちは無邪気に喜んだが、開戦以来の熟練の兵たちは、物憂げで小馬鹿にした様子で彼らを見つめた。

「お前らな、軍が良い食事を気前良く配るということは、だ」

「はい?」

「攻撃を仕掛けるから、たらふく美味いもの食って、心置きなく死んでこいって意味だぞ」

「・・・・・・」

砲弾の備蓄、砲兵陣地の転換、事前偵察に努めた彼らは、前線で対峙していたエルフィンド軍防禦陣地に対する大砲撃を始めた。

二八センチ攻城砲、一五センチ榴弾砲、一二センチ榴弾砲、一二センチ加農砲、鋼製九センチ臼砲―――

オルクセン軍において重砲に分類されている、ありとあらゆる火砲が、猛烈に撃った。

総軍司令部の立てた攻撃計画では、この大火力の集中投入を丸一日やったあとに、包囲環を狭める。エルフィンドに降伏を促すためだ。

軍は、この総攻撃計画を「オリンピア作戦」と呼号していた。ネニング平原におけるオルクセンの全軍が、競うように参加するからだ。

攻撃初日、この猛攻撃を浴びて最も凄惨な状態に陥ったのは、オルクセン第六軍団の正面にいたネニング軍の一部であった。

第六軍団の方面には陣地転換を終えた二八センチ砲があり、しかもオルクセン軍はこの総攻撃にも焼夷榴弾を使用した。

あの恐るべき、エルフィンド軍の称するところの「魔弾」が前線各所を襲った。

オルクセンは、既に戦後を睨んでいた。

この戦争でくっきりと現れ、戦局の推移に重大な影響を及ぼした塹壕陣地が、「将来の戦争」において多用されることは目に見えている。

ならば、これを突き崩す技術の研究をしなければならない。

そのため総軍司令部の参謀のなかから、

「敵壕をあの砲弾で撃てばどうなるのか、試しておきたい」

そう言い出す者は、当然出た。

結果として約三〇発であるが電光弾が集められて、ネニング軍の戦闘壕に向かって撃っている。

「着発信管にては効果乏しく、曳火信管の開発使用を要す」

と、オルクセン軍は記録する。

この砲弾が対艦焼夷弾として開発された以上、信管は着発だった。目標に直撃させた場合の威力は著しかったが、そうでなかった場合の効果は薄いと判断されたのだ。使用を継続するなら、空中で炸裂する曳火信管を装着して、榴霰弾のように地表に対し広範囲に叩きつけることが望ましい、と。

元々この化学反応による燃焼効果は、非常に狭い範囲に留まる。またエネルギーの開放速度が遅いという特性があって、これに拍車をかけた。

対地兵器としての使用は、目下ティリオンなどで使用中の都市攻撃などならともかく、広大な野戦には不向きなのではないかと見なす者まで出た。

―――撃たれた側の、エルフィンド軍の証言は異なる。

確かに直接的な被害は少なかったが、「魔弾」は強烈な熱と閃光を発する。至近となったとしても熱放射によって壕内ですら兵は傷つく例があり、具体的には火傷を負う者、呼吸困難となる者、肺を損傷してしまう者が出た。

オルクセン軍はこれほどの代物を「今の使い方では効果が薄い」としたのである。

戦争という巨大な事業に対して、知的生物がどれほど冷静、冷酷、残虐になれるか、その証左であろう。

焼夷効果を期待された兵器は、もう一種類投入された。

それを使用したのは大鷲軍団で、あの改良風車付き信管に更に燃焼式弾頭時限信管を組み合わせ、ある特殊な航空爆弾が持ち込まれた。

この攻撃を浴びたのは、第一軍団正面にいたアルトカレ軍だ。

彼女たちは仰天した。

上空から、白く、猛烈な煙を上げ、大きく散らばった閃光体が降り注いできたのだ。

―――空中炸裂型白燐弾。

本来は照明弾や発煙弾に用いられてきた兵器だ。

これを空中で炸裂させて、敵壕に降り注ぐようにした。

白燐を充填させた弾殻内が炸薬により空中炸裂し、空気に触れて自然燃焼しながら、戦場を見渡せなくなるほどの白煙を引き、落下する。

戦後この被害を調べたオルクセン軍関係者は、

「これを頭上から浴びると炎の粒子となって降り注ぎ、衣服に付着すると振り払って消火を試みることは困難である。衣服を突き抜け、治療不能な火傷を齎す」

と、記録する。

エルフィンド軍側で、そのような凄惨な被害が出たということを意味した。

オルクセン軍が既に電光弾を持ちながら、この空中炸裂焼夷弾で白燐を使った理由には諸説ある。

テルミット法による焼夷弾を主に研究してきたのは海軍で、陸軍は白燐による照明、発煙、燃焼効果を主体に考えてきたから、後者の延長線上で生まれたものだ―――という説が有力だ。

あるいは、何かひとつのものに頼り切るのではなく、常に研究や改善をやっていた彼らは故意にこれを作ったのだという説も、如何にも「らしい」話である。

ところがこの白燐弾、戦後になっても使われはしたが、オルクセンにおいては焼夷効果はその主体には据えられなくなった。空中炸裂して地表に到達するまでにほぼ燃焼の頂点に達してしまい、効果を期待するには弱いと判断されたのだ。白燐の性質上、堅目標である建物などには通じなかったし、兵馬を相手にした場合でも「燃やし尽くせるほどの威力はない」とされた。

活躍の場は地上の砲弾になり、運用も空中炸裂ではなく着発で用いることに主眼が移った。

彼らは、この弾頭を発煙弾として使うことにした。

着弾点を観測して風向きを見る、地上部隊が大鷲軍団や砲兵の支援を呼ぶための連絡に使う、といった具合だ。

これを利用した、新たな戦術も生まれた。

この白燐弾を目標に打ち込み、心理的な動揺を誘って、壕や防禦施設から敵兵が飛び出したところを榴霰弾や榴弾で砲撃して、叩く。

そのような使い方である。

まったくの偶然ではあったが、このベレリアント戦争最後の局面でそのような効果が確認され、実際に行われた結果だった。

焼夷効果を狙う砲弾と航空爆弾には、より凶悪な代物―――時限信管と電光弾の組み合わせが作られるようになる。それは火工品の威力向上と、別の化学産物を主体にした焼夷弾が出現するまでオルクセン軍焼夷系兵器の主力となり、更に言えばずっと後年までしぶとく生き残った。

また大鷲軍団は、まるで別のアプローチによる有効な戦術を身に着けた。

それは第一空中団の一編隊の思いつきで始まった。

総攻撃の一翼として参加した彼らの、発進時の姿は奇妙であった。

導入されたばかりの円筒型爆弾架を、それまでのように胴体に対して垂直になるよう取り付けるのではなく、水平に見えるように帯びた。

実験を行ったのは、第一空中団第一一中隊―――符丁フラミンゴ編隊だ。「新戦術」を思いついたのはこの編隊長で、実戦で試すこの日まで何度も訓練も施した。

そうして支援対象だった第一軍団の担当区で敵地上空に到達すると、ほぼその直上から、攻撃した。

大鷲たちは降下に入ると威嚇のために鋭く高い雄叫びをあげ、急降下で生じる加速の減速には、大きく降ろした両脚を空気抵抗に使った。

そうして彼らの背では、急降下による強い重力を感じ続けるコボルトたちが、必死の形相で爆弾架の係止棒を外す―――

この方法で投下された爆弾は、まるで正確無比に目標であったアルトカレ軍の角面堡に命中、炸裂、完全な破壊に成功した。

―――急降下爆撃。

彼らは、目標上空を水平飛行しながら投下するそれまでの爆撃法ではまるで不可能だった、少数に依る精密な目標破壊を成し遂げるようになった。

「やった、やったな! おおいに結構だ!」

この爆撃法を考案したフラミンゴ編隊長ウーデット大尉は、戦果と、成功と栄誉とに満足し、実に愉快そうに笑い転げたものだった。

このような、まったく新規の兵器や戦術の数々が試されるなかで、第四軍団の担当区ではもっと堅実な作戦が実施されている。

ネニング平原会戦の推移上、他の軍団よりずっと早くエルフィンド軍の第二防禦線に到達した彼らは、その堅固さに舌を巻いた。

エルフィンド軍にしては丁寧に構築された壕、幾つもの角面堡。

しかもこれが相互に援護出来るように造られている―――

舌を巻きはしたが、もちろん対抗策を考えなくて良いというわけではない。

第四軍団参謀長ジークムント・ブロン少将は、軍団長レオン・シュトラハヴィッツ大将の裁可を得て、彼自慢の榴弾砲群による砲撃計画を立てつつ、坑道戦の実施を命じた。

敵地の地下に向かって坑道を掘るという戦術は、古い。

星洋でも道洋でも見られた。

だがそこに、大量の爆薬使用という手法を組み合わせたことは、実にオルクセン軍らしかった。彼らは対要塞戦の戦前研究をやっているうちに、これを工兵にやらせることを思いついたのだ。

塹壕の構築を見ても分かるが、オーク族は穴を掘ることに長けている。

農業の著しい発展もそうだが、元々からして土を弄ることが得意な種族であったのかもしれない。

第四軍団所属の第一五師団は師団工兵隊を使い、更には擲弾兵第六七連隊を投入して自陣地から敵陣地に向かい、坑道を掘った。

測量を繰り返し、正確にアシリアンド軍防禦線の真下へ向かってだ。

アシリアンド軍側では、この事実にまるで気づいていなかったわけではなかった。

オルクセン軍の坑道作業が近づくにつれ、その騒音や気配を感得した。

対抗策を練り、アシリアンド軍側からも坑道を掘ることにしてその作業に掛かったが、彼女たちはオルクセン軍による断続的な砲撃下にある。思うように進捗しなかった。

そしてこの差が、総攻撃の開始日になって両者の命運を分けた。

第一五師団は、坑道の先端に「平時の工兵火薬一年分」を仕掛けた。そうして導入されたばかりの手動発電式発破器を使って、点火した―――

その爆発は、たいへんな規模だった。

水蒸気爆発を起こした火山さえ彷彿とさせたという者までいた。

アシリアンド軍の一個連隊が籠っていた堅固な堡塁が、指揮官の賢明な判断により事前に退避を実行できた直後だったとはいえ、丸々吹き飛んだ。

オルクセン軍の攻撃には、どこか淡々としたものがある。

例えどれほど派手に見え、その実態に無数の努力と、計画と、失敗と、修正と、挑戦と、死と、悲劇と、奇跡があろうともだ。

当事者たちは気づいていない事が多かったが、周囲から見れば異常に感じられるほどだった。

何か、熟練した地方役所と役人とが、日々の通常業務を黙々とこなし、突発的に発生するトラブルに呻きつつも、過去はどうだったか調べ、将来どうするか検証しなければと想像し、しかしそれは別の奴の役割だと諦観しながら、組織力で解決していくような―――

そのような空気である。

総攻撃の開始翌日、エルフィンドに新政府が発足したという報せがあり、エルフィンド軍側に動揺が感じられようと、それは変わらなかった。

戦争の終結を予感する者は多くいて、実にオーク族らしく盛大な歓声を咆哮した者もいたが、次の瞬間にはもう、定められた計画通り、それぞれの職務に戻っていく。

銃を手に取り、砲を撃つことも、俘虜を得て後送することも、飯を食うことも、僅かな隙を見つけて眠ることも、製パン中隊がパンを焼くことも、精肉隊がヴルストを作ることも、彼らには全て「同じこと」である。

では、死も同じことか。

例えどれほど溢れていても、そこには何処かで線引きがあった。

負傷したいか。

そんなことは願い下げであった。

戦争が続いてほしいか。

大半の者には、とっとと終わってほしい倦み事であった。

―――生きる。

彼らはそのために戦っている。

淡々としていながら、渇望のように生を求め続けていた。

生を求めることは、エルフィンド兵にとっても同じことであった。

むしろ彼女たちは、負け戦であるがゆえに、より身近に死を感じていた。

絶望し、憤怒し、悲嘆しても、足掻き続けていた。

―――生きるために、戦う。

この矛盾した知的生物の行動を説明しきる者は、誰もいまい。

相手を憎悪し、やけになって、一兵でも多くの敵を、などと考える者は当然いたが、それもまた「生」だ。

俘虜を虐待し、世のあらゆる者が怖気るに違いない真似をし、哄笑する者の姿もまた「生」である。

戦争に倦み、何か哲学的思考に至り、どうにか今日までの敵と和解できないだろうかと考え、次の瞬間にはその敵弾により死ぬ者も「生」である。

そんな「生」の光景のひとつが、ディアネン西方の国民義勇兵親衛ディアネン第一旅団にあった。

この旅団には、国民義勇兵だけでなく、戦前からの常備兵も僅かながら参加していた。

東部の各軍から引き抜かれて方面軍予備兵力となり、この旅団に編入された者たちである。

彼女たちもまた膨大な犠牲を出しつつも、訓練もままならず戦場に投入された義勇兵たちよりは上手く生き残れた。

第七軍団の猛攻に晒されながら、戦場に放置されていた七ポンド山砲を見つけて、ちっぽけな抵抗陣地を築いた三名の兵も、そのような連中だった。

彼女たちは、ネニング方面軍が解囲行動を図り、これに付随して親衛旅団が牽制攻撃を浴びた際、負傷した。みな同じ隊で、元はエルドイン軍から引き抜かれた、とある大隊に所属していた兵である。

野戦病院に送られたが、端的に言ってそこは地獄であった。

こんなところで死ぬのは真っ平御免だと抜け出して、前線に戻った。

戻ってみると約七〇〇名いた戦友たちは、もう散り散りになっていた。

ディアネン旅団は約八〇〇〇名、それがオルクセン軍第七軍団の約六万から包囲攻撃されていたのだから、無理もない。

「くそったれめ」

生物としては排泄行為をほぼ行わないエルフ族としては最大級の罵声を放って、三名の兵のうち最も年嵩で階級もあった伍長が、くたびれた七ポンド砲たった一門の陣地を築いていたのは、そのような背景に依る。

ここが死所だなどと気の効いたことを口にする者は、ひとりもいなかった。

死ぬなど真っ平御免だ。

だが、もう今更止めるのも面倒だ。

そんな感情だった。

もし彼女たちが決して口にしなかった理由を、誰かに開襟したとすれば。

彼女たちの背後には村があり、そこには住民たちが必死に家財を纏め、逃げる準備を始めていたからだ。いまごろになって支度をしているのは、その村に駐屯していた守備隊が何処かへ行ってしまい、「重し」が外れた為らしい。

だからその村からオルクセン軍の狙いを逸らすように、そこからは少し離れた林の前に七ポンド砲を置いた。

彼女たちがオルクセン軍前線に向かって、牽制の砲撃を始めようとしたとき、

「私にも。私にも手伝わせてください」

近くの茂みから這うようにして現れて、名乗り出る者がいた。

三名の兵たちは驚いた。

現れた者の、泥の埃に塗れた服装は、陸軍のものではない。紺色をした海軍の水兵姿だった。

「お前・・・」

「はい、海軍陸戦隊です」

「まだ生き残りがいたのか」

唖然とした。

ストルステンブロウの戦いで、壊滅したのではなかったのか。

「はい、それでここまで・・・ お願いです、一緒に死なせて下さい」

疲れ切り、やつれてはいるが、どう見ても若かった。

ストルステンブロウからは、二〇キロはある。それをここまで―――

伍長の胸のうちに、どうにもならない怒りが沸いた。

説明しようもない感情だった。

「馬鹿野郎! 死にたがりばかりで戦争が出来るか!」

伍長は、その水兵を思い切り引っぱたいた。

そうして、茫然とする彼女を前に、実に魅力的な顔をした。

「お嬢ちゃん。だからあの村の者たち、護ってやりな。着いていって、ディアネンへ届けろ。ディアネンまで僅かだ。ここまで辿り着けたお前ならやれる。やれる、きっとやれるさ」

―――まるで別の「生」のかたちを求めた者もいる。

ディアネン市の都市糧秣庫に、都市防衛隊北警備区学徒中隊という部隊がいた。

本来は都市の治安維持を担う国民義勇兵の組織のうちで、大層な名前がついてはいるが、実態としては二〇〇名弱しかおらず、構成されている者たちはディアネン市教義学校の学生だった。

任務は何だったかといえば、過日の大鷲軍団の爆撃により損壊した糧秣庫の復旧と、残存した糧秣の積み出しである。

この学生たちの取り纏めをやっていた戦時招集のタニミア・ゼラディス大尉が、五月六日午後六時、彼女たちを前に演説をぶった。

「諸君。恐れていた事態がとうとうやってきた!」

既に、新政府の発足は布告されている。

そしてその直後から、どうやら新政府はオルクセンとの終戦を―――つまりは無条件降伏の受け入れを図っているらしいとの噂がしきりであった。

大尉は激怒した。

今更、勧告の受け入れとは。

それはエルフィンドという国家の滅亡に他ならない。

彼女は同日のうちに出入りのある各所を走り回り、情報を収集して、どうやら風聞は本当であるらしいと確信を持った。

女王の勅命が降ったというが、それは卑劣な新首脳たちの策謀に過ぎまい。

陛下はそれに騙されているのだ。

諫言に及び、翻意願わなくてはならない。

彼女は最初、ディアネン市庁舎の襲撃を計画した。

だが市庁舎の警護は固く、手に入る武器も乏しい。

数丁の拳銃と、粗製の缶詰再利用手榴弾と、旧式小銃しかない。

そこで、まるで別の方策を立てた。

そしてその詳細を語らぬままに、無垢で、教義を信じる学生たちを扇動した。

「国を愛し、教義を学んだ諸君の参加を願ってやまない! 出発は明日早朝、集合地点は現在地! 解散!」

アルトカレ軍の担当区では、また別の「生」への闘争があった。

ムカヴァパユという名の、アルトカレ軍防禦陣地の西端近くの村があり、同村は軍の臨時繃帯所になっていた。

献身的に自ら進んで軍医になった地元出身の医師ロニアダル・スティーナウェンは、五月四日のオルクセン軍総攻撃の開始以来、担ぎ込まれてくる傷者を前に絶望を抱いた。

いままで診たこともなかった症状だったのである。

熱傷の一種らしいが、円形の孔が開いたような火傷であり、その周囲は黄色くなって、まるで大蒜のような匂いがする―――

これはオルクセン軍が投入した白燐弾によるものであった。

砲撃戦による傷者も多く、こちらは悲しいかな既に見慣れたものだったが、重傷度としてはより深刻である。

このベレリアント戦争の最中、エルフィンド軍の死傷者のうち砲創を負った者の割合は異様なほど高かった。死傷者のうち、三割を超えている。

これがオルクセン軍となると一割を切る程度で、彼らの戦傷の大半は銃創であった。

オルクセンがどれほど火砲を重視し、また両者の砲戦能力がどれほど隔絶していたかを意味するのだが―――

このような外傷者は、もはやエルフィンド軍の野戦治療能力を超えていた。

エリクシエル剤は切れ、麻酔も同様であり、包帯にすら事欠いている。

医療器具も同様だ。

―――このままでは。

このままでは、皆死んでしまう。

死なせてしまうことになる。

医師としては、看過出来ることではなかった。

スティーナウェン医師は懊悩した挙句、意を決してアルトカレ軍司令部に赴き、自身の考えを願い出た。

「・・・休戦?」

面談に応じた軍幹部は、唖然とした。

一時的に戦地内でオルクセン軍と休戦をし、エルフィンド軍の負傷者を先方に送って、俘虜とし、治療してもらおうというのだ。

たいへん意外なことのようだが、この戦争中、オルクセン軍とエルフィンド軍は何度か戦場内で休戦をやっている。前線同士のやりとりでそれを成した。

これほど凄惨に思える近代戦だが、まだのんびりとした前時代の習慣を残してもいて、そんな真似は前例のないことではなかったし、この後の時代にもあった。

互いの死傷者を回収したり、場合に依っては俘虜を交換するためである。

この限定的な休戦には、エルフィンド軍も応じた。

彼女たちにすれば、ただでさえ食糧事情に乏しい。オーク族の俘虜を抱え続けることは面倒だった。必要な尋問を終えたら、交換条件で自軍の将兵を返してもらったほうが余程マシである。

だが、スティーナウェン医師の提案は、そのような今までの休戦とは根本から違っていた。

自軍の傷者を最早助けることは出来ないからとオルクセン軍に渡し、治療してもらおうというのだから。軍の者には、あまりにも虫のいい考えに思えた。

「・・・正気かね?」

アルトカレ軍の軍医部長は尋ねずにはいられなかった。

このような提案は、エルフィンドではスティーナウェン医師自身の処罰をも招きかねない。他国の軍隊でも同様だろう。

だが、必死に懇願する医師の姿に、ともかくも提案するだけならやらせてみようと言い出した者がいた。

騒ぎを聞きつけて現れた、アルトカレ軍司令官コルトリア中将である。

彼女は優秀な指揮官だった。もうこの戦争には先はないということはとっくに理解していて、一兵でも多く生かして帰せるものなら、そうしたいと考えるようになっていた。

「ですが、先生。これは如何なオルクセン軍といえども、受け入れるとは思えませんよ。彼らは勝つところです」

スティーナウェン医師は軍司令官の英断に感謝し、もう夕刻も迫るなか、この日のうちに白旗を掲げた軍使とともにオルクセン軍前線に向かって、自ら交渉に出た。

このときオルクセン軍前線とエルフィンド軍前線の距離は、二キロを切っていた。両軍はそれほどの距離で睨み合っていたのだ。

訪問を受けたオルクセン軍側は、当然ながらその提案内容に驚いた。

「・・・それは難しいですな。我らは勝つところです」

応対側となった第一七山岳猟兵師団第三四旅団長は、困惑した。

彼の司令部は、この翌朝の攻撃準備計画を立てている最中であった。コルトリア中将の懸念通りと言えたし、当然の反応とも言えた。

「勝ち負けの問題ではないのです―――」

スティーナウェン医師は懸命の説得を重ねた。

「命の問題です」

通訳を介してはいたが、声音や表情の真摯さは、旅団長にも通じた。

ともかくも、師団司令部に電信を打ってみるというところまで引き出した。

彼女はそこから二時間待たされた。

そうして、師団長ヴァイス中将名の返信を読み上げられた。

「六日八時より四時間、停戦致します。ただしあくまで我が旅団の担当区のみです。よろしいですね?」

「・・・ほ、本当ですか! 感謝します!」

―――のち、「奇跡の停戦」と呼ばれた出来事である。

翌朝、両軍の対峙箇所の中央まで、エルフィンド軍は重傷者のうち動かせる者を運び、オルクセン軍はこれを引き受け、自軍の繃帯所、ついで野戦病院へと後送した。

その全員が公式な扱いとして俘虜となったが、それでも多くの者が命を繋いだ。

この作業の最中、互いの軍医士官や衛生兵のなかには、煙草や、酒や、缶詰といったものを交換する姿が見られた。

エルフィンド軍戦傷者たちは、オルクセン軍戦傷者とまったく同じように、エリクシエル剤の投与を中心とした治療を受けた。

なかには、俄な俘虜への転落に茫然としていた兵もいたし、昨日までの敵を憎みきっていた者も当然いたが―――

多くの者は涙を流した。

―――エリクシエル剤に重大な欠陥があることがわかるのは、ここより約五〇年後のことだ。

この、人間族諸国からすれば垂涎の的であり、喉から手が出るほどに渇望され、戦争を劇的に変えるものとして観戦武官や従軍記者なども特筆した薬剤は、投与された者の自然治癒力を極限にまで高めるという性質を持っている。

だから生命体が自己の治癒力を以て直し得る傷は塞ぐことが出来た一方、欠損などには役立たなかったし、病原菌や変異細胞まで活性化してしまうというような症状には向いていなかった。

では、一瞬にして治癒力を高め、完治させるほどにこれを使ってしまうとは、いったい何を意味するのか。

―――投与を受けた者、使用した者の、将来寿命とも呼ぶべき部分を先取りしていたに過ぎない。

長命長寿の魔種族ばかりが用いてきた歴史上、そしてそんな者ばかりが戦ったこのベレリアント戦争では、ついにこの欠陥は判明しなかった。

それが分かるのは、もっと医学が進歩して、人間族の諸国家がこの「奇跡の医薬品」をどうにかこれを真似ようと研究を重ね、成分分析をやり、更にはオルクセンからの輸出品を人間族が大量使用した、世界最初の大戦が終結してからのことである。

五月六日、午後一一時。

この日のうちに何度か修正や訂正の入った国書案がようやく成文し、清書が施され、女王エレンミア・アグラレスが署名し、首相が副署を施した。

三名の軍首脳と幹部将校たちは、安堵した。

ある者は、この戦争はようやく終わるのだ、種族の滅亡だけは食い止められたと思い。

ある者は、エルフィンドという国家の終焉に改めて涙し。

またある者は、戦後の社会再建を念じた。

だが検討を重ねるうちに、思わぬ障害が軍参謀たちから提起された。

「国書の表明を、明日早朝ではなく、正午に伸ばすだと?」

ウィンディミア首相は、驚いた。

女王エレンミアは、国家が空前絶後の事態に至るのだからと、せめてディアネン市中に対し自ら魔術通信で国書を表明することを希望している。

これは予定されていたことであったから、不満はない。

また新政府としても、無条件降伏受け入れに従う者を増やすためには、望ましい。

だが国書案の作成が遅れ、既にこのような時刻だ。

「通信を聴取するよう呼びかける、市内及び前線部隊への事前通知。これをただちに成すとしても、実行が明日早朝ではあまりも時間的間隔がありません。せめて正午に―――」

「・・・止むを得ないか」

首相は肩を落とした。

「では、先にオルクセン側に通告を出せないか。彼らも降伏勧告受諾となれば、せめて各地の攻撃を止めることが出来ると思うが」

これはクーランディア元帥の言葉である。

「政府使節派遣ともなれば、否が応にも前線部隊の目にはつきます。発表前に派遣すれば、前線部隊の暴発を招く恐れが。同様の理由で魔術通信による通告も困難かと」

「・・・なんてことだ」

馬鹿げている。

あまりにも馬鹿げている。

だがこれも「手続き」だ。

エルフィンドという国家の、葬式なのだ。

必要な対処と言えた。

―――そして日付は変わる。

星暦八七七年五月七日。

かくてエルフたちの国エルフィンドという国家は、その「いちばん長い日」を迎えた。

(続)