軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

84.最終回 初恋の行方

パーティーが終わり、卒業と同時に公務再開です。

僕、 王立学院(アカデミー) に通う傍ら、御前会議に毎回出席ですよ。もう立つ側じゃなくて、座る側です。国政を陛下や大臣たちに一から叩き込まれることになります。卒業しても勉強勉強、一生勉強は続くんですね。

セレアの前世知識、まだまだネタがあります。今は「点滴」ってやつを学院の人と一緒に再現しようとしています。高熱や下痢などの病気での激しい脱水症状に有効なんだそうです。

セレア、入院している間、毎日これ受けてたんだって。生理食塩水は0.9%なんだって。ごめんちょっと意味が分からないよ。

スパルーツさん、セレアからヒントをもらって、今、狂犬病の予防、治療に取り組んでいます。これも実現できたら画期的ですよ? 感染したら死亡率100%の難病です。治った人はいないんですから。

ウイルスの弱毒化さえできればなんとかなるんだそうです。やっぱり僕にはさっぱりですが、きっとスパルーツさんならセレアの言う「ワクチン」の開発もきっと実現してくれるでしょう。

ジェーンさんもついにおめでたで、幸せそうでした。

「バッチリです!」

ドヤ顔のスパルーツさんに何がバッチリだったのかあとでよく聞かせてもらおうと思います。

ジャックはシルファさんと領地に戻り、領地経営を始めました。近隣の領とも合同で牧場をさらに広げるとか。クール担当フリード君の領とも案外近いそうで、声をかけてますがなかなか色よい返事がもらえないそうで。

僕から言ってもねえ……。アイツ群れるのが嫌いそうですし、損な性格してますなあ。

ピカールは相変わらずです。社交界で淑女の皆さんのあこがれの的ですね。パーティーで浮名を流しているようです。そろそろ落ち着こうよ。

ハーティス君は学院に進学し、お父さんの天文学の研究を手伝っています。好きな研究ができるのが一番いいですよね。でも、「困ったことがあったら相談してください」とは確約をもらいましたんでね、逃がしませんよ?

脳筋担当、勘当されちゃったんだってさ。後は知りません。どうでもいいや。

ヒロインさん、王室の御不興を招いたということでブローバー家から縁を切られてしまいました。

国王陛下の発布で、「今の店舗の競争は行き過ぎておる。深夜の風紀も乱れる原因となっておる。コンビニは既存の商店を廃業に追い込み、民から上手に金を吸い上げているだけだ。今まで罰則の無いザル法だったが、今後は営業時間に罰則を設けて規制する」ということで、コンビニ終了のお知らせです。

シェイクスピオのグローブ座から声をかけられているそうで、そのうち舞台で彼女の姿を見ることができるかもしれません。

美人ですし、演技もなかなかでしたし、女優としては成功するかもしれませんね。

第二王子、弟のレンにはお咎めは別になしです。

全校生徒の前であれだけの恥をかきながらも、学園に通い続けなければならないってのがもう十分な罰でしょう。反省してもらって、学園での友人関係も全部一からやり直してもらえばいいと思います。

僕とセレアは毎日ラブラブで幸せですよ。なんにも言うことありませんて。

週末にはまたお忍びで教会に行って、セレアと一緒に女神ラナテス様に祈りを捧げ、懺悔の代わりに女神像に経過報告もやってます。僕たちの声が届いているかどうかなんて知りませんが、本当にラナテス様には感謝しかありません。ありがとうございました。

「……シン様は、どうして私に、こんなにまでしてくださったのですか? おかしな子で、あんなふうに言われたら、別の人を婚約者に選ぶのが一番無難だったでしょうに……。そのことが今でも不思議です」

今更なんですけどね、セレアがそんなことを僕に聞くんですよ。

「うーん、初めて会った時のこと覚えてる?」

「……ごめんなさい」

「僕の顔を見るなり悲鳴を上げて倒れたんだよ」

「……そううかがってます。あの時は本当に失礼を……」

「あんなふうに悲鳴を上げて倒れられて、後で『婚約の件はお断りいたします』なんて言われて引き下がったら、カッコ悪すぎるって。意地にもなるよ」

「そんな理由だったんですか!」

「それだけじゃないんだけどね」

「?」

「泣いている女の子を、泣いたままにさせておくなんて、やっぱり男としてやったらダメだと思ったし」

「……なんだか理由聞いて、がっかりしました」

セレアがぷんってしちゃいます。あーあーあー、言わないほうがよかったかな。

「私はシン様が、いつ『真実の愛を見つけた』なんて言い出すか気が気じゃありませんでした」

「なんだその『真実の愛』って……」

「王子様が私を捨ててヒロインさんに寝返る時の決め台詞なんです」

「真実の愛だったら、十歳の時に見つけたよ……。セレアも、ずっと変わらずいてくれて、ありがとう」

「嬉しいです……」

そう言って笑うセレアの素肌に触れ、僕はもう一度、優しくベッドに押し倒してキスしました。

え、いつのまに? 何歳からって?

そんなの絶対ナイショだよ!

―――――――僕は婚約破棄なんてしませんからね END―――――――