軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「はぁ、漸く着いた・・・・」ちょっと痩せた中年の男が馬車から降りながら呟いた。

もう一人似た様な外見の中年男が馬車から降りるなり、頷いた。

「本当に。大変だったなぁ・・・・兄さん。結構な距離だった」

「スティーブ兄さん、トム兄さん、良く来てくれた。ありがとう!」

父さんが、馬車から降りて来た痩せた中年男たち、もとい、伯父さんたちとその家族を両手を広げて迎えている。

ここは大聖堂前の馬車乗り場だ。

といっても、この2家族は馬車に乗るのではなく、ここで降りたのだ。

ポンタ村には仕事がなく、『熊のまどろみ亭』を継げるのは長男のマノロ伯父さんだけだった。

必然的に、父さんをはじめスティーブ伯父さんやトム伯父さんもポンタ村を出て、仕事を探さなくてはいけなくなり、父さんは王都へ、伯父さん二人はゴンスンデという大きな街で仕事を求めた。

私も一度くらいはゴンスンデの街を見てみたいものだ。

父さんのスキルは園芸だったため、モンテベルデ伯爵家で仕事に就く事ができた。

スティーブ伯父さん、トム伯父さんのスキルは調理スキルなので、ゴンスンデの食堂で雇われ料理人をしていたそうだ。

二人とも調理スキルならば『熊のまどろみ亭』はどっちかが継ぐっていう案はなかったのかなと思いはしたけど、やはり生まれた順番の方が重要視されるらしく、どちらの伯父も生家ではなく他人の店で雇われていたらしい。

そう考えるとスキルって何なんだろうって思っちゃうよね。

スキルを持っていてもそのスキルを上手く使い熟せない事も多いらしく、よっぽど若い頃にスキルを使って成功しているのでない限りは生まれた順っていうのが普通なんだね。

スティーブ伯父、トム伯父がゴンスンデで勤めていた食堂は別だったらしく、2家間では普段から交流などなかったそうだ。

しかし、今回ゴンスンデから王都までは2家族が一緒に移動して来た。

最初、二人の伯父さんたちがウチで働くために、今の仕事を辞めて王都まで来てくれるかどうか心配したのだが、雇われ料理人で借家住まいをするより、身内の店で住込みの方が金が貯まると言って、父さんの誘いにすぐに乗ってくれた。

嬉しい事にトム伯父さんの奥さん、マルタさんも調理スキル持ちだ。

これで調理スキル持ちの上に食堂で料理を作っていた経験のある調理人を三人も得る事が出来た。

しかも、身内なので、店の不利益になる様な事はしないと思う。

伯父さんたちは二人とも父さんの髪の色と良くにたこげ茶で、背格好も似ているために、後ろからなら誰が誰か見分けがつかないかもしれない。

父さんの次兄、スティーブ伯父さんの奥さんはフェイと言い、黒髪の美人さんで、伯父さんが働いていた食堂で給仕の仕事をしていたらしい。

その長男も暗い色の髪で9歳。パンクと言う名前だ。

まだ、学校に通っていて、仕事は両親が働いていた食堂で給仕を含む雑用係をしていたとのこと。

おそらく『熊のまどろみ亭』のランディみたいな感じなんだと思う。

三番目の兄であるトム伯父さんの子供は12歳と11歳の娘二人だ。

母親似のくすんだブロンドで、田舎の女の子って感じだけれど、伯父さんが働いていた店で給仕の経験があるそうだ。

みんな即戦力になりそう。

しかし年子の娘たちにサブリナとサマンサなんて似た様な名前を付けるそのセンスはちょっと・・・・。

私の従姉二人は忙しなく周りを見てキャピキャピしている。

従兄のパンクとは悪い意味で対照的だよ。

だって、パンクってば大人しく家族の後ろに控えているのに、サブリナとサマンサの口が閉じている瞬間が無いんだもんね。

「さぁ、兄さん。そして義姉さんたちも家へ向かいましょう」と父さんが大公様が用意してくれた2台の馬車へみんなを誘導した。

「え?こんな立派な馬車に?」とサマンサが思わず口から出ちゃったという表情で、口に手を当てた。

「家の店は、大公様の保護の下運営されるので、何かと便宜を図ってもらってるんだよ」と父さんが彼らの荷物を両手に持って馬車の荷台に乗せ始めると、みんなも慌てて荷物を持って2台の馬車に分乗した。

2家族分の荷物があるので、馬車があってとても助かった。

大公様の気配りは、上に立つ人間なのにいつも細やかだ。

大公様ご自身だけでなく、入試までの間私専用に付けて下さっている執事のダンテスさんの状況把握能力、大公様への説明能力、そして手配能力もスゴイので、メイドのカトリーヌと合わせてものすごーく、ものすごーく、ものすごーく助かっているのだ。

大事な事なので三回言いました・・・・。

ダンテスさんはカトリーヌと一緒に私たちの店に関する手配をしてくれたり、私の入試勉強のスケジュールや進捗状況の確認をし、大公様へ報告するのが仕事なのだ。

まぁ、それも私の入試までの話だけどね。

ちなみに大公様には執事が数名おり、ダンテスさんはその内の一人だ。

きっと、他の執事さんもダンテスさん並みにスゴイのだろう。

いいなぁ~。入試が終ってからも私付きにしてもらえないかなぁ~。