軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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広場右側のテントは黄色、赤、黄色の3店舗。

全部、同じ品揃えだった。

野菜も、肉も、魚も置いてある。

案の定、参加者が全員群がっているので、商品を見るのにも一苦労。

それならばと、調味料の台を先に見て回った。

ふふふふ。私、冴えてる!

今迄は、胡椒や砂糖などの高価な調味料が使い放題だった。

でも、今回は高い調味料などは置いてなかったのだ。

(上限2000ペリカ……そりゃそうかぁ……)

残念ながら牛乳も……。

ならば、癖のある食材は危険ね。

調味料の確認が終ると、テントの中は半分くらいの人数になっていた。

ナスカを先に、テントへ行かせていたので、合流。

「お嬢様! 牛肉が結構売れ残っています。値段が高いからだと思います。玉ねぎやじゃがいもはたくさんあるので急がなくても良さそうですが、その他の食材は種類が限られていますので、先にそちらを」

皿洗いから始まった少女が、今では完全に現場判断をしている。

戦力としては十分すぎる。

(孤児院組は、ほんとに覚悟が違う)

テントの中には参加者も結構な人数だが、店の売り子も同じくらいの人数がいる。

スムーズに売り買いできるようにとの配慮なのだろう。

肉は牛、豚、鶏。

だけど鶏は明らかに減っている。

視線の端に緑が揺れた。

アスパラガス。

旬のせいか、やけに安い。

――これ、使える。

問題は“どう売るか”だよね。

店の端に重ねられている器を見ると、木製の椀、平皿、そして大きな葉。

それぞれに値札が付いている。

30、30、1ペリカ。

(洗う時間はない。回収も無理)

答えは一択。

葉だ。

一番良いのはハンバーガーなんてのがいいんだけれど、ミンチ肉を70食分、手作業で作るのには無理があるし、バンズを用意するのにイースト菌も竈も無い。何より時間がね……。

無理だね。

なら、クレープ? ……砂糖がない時点で却下。

手を汚さず、包む……。あっ! ブリトー!

――決まった。

イケる! これならイケるはず!

調味料の中にトマトはなかった。チーズもなかった。

でも、小麦粉はあったよね。

「ナスカ」

私は即座に指示を出した。

「調味料台へ行って、小麦粉を麻袋一袋と半分。ちょっと少な目でも良いかも。で、塩と油と……」

調味料台で手に入れて欲しいものを全部言うと、メモを取りつつ頷くナスカ。

「ナスカ、甘くないぶ厚いクレープを80枚。冷めても美味しく食べられる様に、生地に少し油を混ぜて。それから……売る直前に温め直すから、その心算でね」

「お嬢様、料理は70食までって」

「ええ、分かってるわ。でも、失敗した時のために少し多目に焼いておきたいの。失格にならないように、10枚くらいが丁度良いと思うのよ」

ナスカは頷くと、すぐに調味料台へ向かった。

プロのパティシエが焼く厚めのクレープ。狙いはトルティージャだけど、まず、失敗はないでしょう。

その間に、こっちのテントで買うものを見繕わないと。

チーズとトマトは欠かせないでしょう?

玉ねぎも絶対にいるわね。

肉は1種類でなくても良いよね。安い肉に少しだけ高くて美味しい肉を混ぜちゃおう!

ミンチほど小さくなくても、小さな角切りにすれば冷めても美味しいはず。

牛肉もまだまだ色んな部位が残ってるわね。

豚肉は、部位によるけど、まだ多少残ってる。

鶏肉は結構残り少なくなってる……。もう良い部位は残っていない……。

豚肉を中心に牛肉も少し、トマトと玉ねぎは大量に、今が旬のグリーンアスパラガスも購入。

チーズはトマトソースにコクを出すために必要だけれど、大量に入れちゃうと冷めた時美味しくないもんね。

ということで、一食当たり1700ペリカに抑える事に成功!

残り300ペリカは、後であれが足りない、これが足りないとなった時の保険だ。

屋台に戻ると、ウチの台の監視員がまず領収証と食材を確認。

ウチは買った種類が少ないので、確認はあっと言う間。

でも、作っている最中も、他から材料を取り出さないか見張られちゃうんだよね。

まぁ、いいけど……。

トルティージャがベチャつかないトマトソースを作るには、ペースト状になるまで煮詰めないといけないし、肉を切るにも時間が掛かる。

これはすぐに調理をはじめないと!

周りの屋台も全員が既に調理を始めている。

ちょっと見回しただけで、木の椀を重ねているところが多い。

多分、スープかな? でも、それだと赤札はどう対応するんだろう?

疑問を持ちながらも、こちらも作業は多い。

直ぐに自分の仕事に没頭した。

まずトマトソースを作り始め、中火で煮込む。

目標はペースト状だ。

その間に肉を小さい角切りにする作業に入る。

もちろんナスカは横でトルティージャを作ってくれている。

流石、ナスカ! 言わなくても、焼き上げたトルティージャには絞った濡れ布巾を被せてくれている。

これで販売開始の時、温め直しも楽になる。

肉を際限なく切る作業は単調で、ついつい頭が他の事を考えてしまう。

今回のルール、色んな点が疑問のままだ。

ペペ渾身の試合なんだろうけど……。

最初、赤の札はちゃんと家に持って帰ってもらえるかどうかという疑問が沸いていた。

でも、販売時間が60分で、一人辺り5枚の札。

人気店の料理を買おうと思うと、並ばなくちゃいけなくなる。

そうなれば、5つ全部をその場で食べる時間が無い。

もしかしてペペはそこまで考えて作ったルールなんだろうか? もし、そうなら、凄いよ!

そんな益体も無いことを考えていると、漸く肉のカットが終った。

斜めにカットしたアスパラを塩ゆでしたら、よし! 肉を炒めて、トマトソースと絡めなくちゃ。

準備万端で売り抜くわよー!