軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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鑑定で見た時、鯉独特の生臭さを取り除き、調理中に混ぜるハーブの選出が鯉料理の肝だと思った。

泥抜きは1週間かけてしてあるのならば、最低限の臭みは抜けているとは思う。

酒にローリエを浸し、そこに牛乳で洗った鯉の肉をいれて、調理の時にレモンとかディルでいいかなぁ?

多分、他の参加者が作るのは一般的なスープ料理が多いと思うので、スープで無い鯉料理……ミートボール風にする?

なら、生姜の方が良いかな?なら、ディルよりはニンニクのが合うかも?

パースニップは添え物として揚げる?それとも、ミートボールのソースにしちゃう?

となると、生クリーム、なければ牛乳に、パースニップの甘いピュレを混ぜて深みを出す?

いやいや、それだとスープを作る参加者との差別化が出来ていない気がする。

トマトソースにして、横にパースニップチップ、それだけだとガツンとした皿にならないから、ポテトサラダを付ける?

そこまで算段を付けると、今度は食材の確保だ。

私が向かった食材台にはトマトが残っていなかった。

「ナスカ、他の所へ行って、トマトを3つ貰って来て。他の食材は私が集めるから、トマトだけを時間内に。あ、後、平皿も念のため2枚お願い」

「分かりました」

ナスカはもう一つの籠も私に渡して、走って別の食材台へ。

「ピーーーーーーっ!」

司会者が笛を吹いた。

私はギリギリ調理台の前に立つ事ができた。

ぐるっと広場の舞台を見回すと、一人残らず調理台の前に居るようだ。

「では、調理に移ってもらいますが、時間は90分です。まだですよ。今、食材に触ったらフライングですので、失格になりますよ!」

この司会者、ちょっと意地悪なようで、さっさとルール説明をすれば良いものを、参加者の行動のタイミングをズラして、本来のリズムを狂わせるような進行をするのだ。

当然、参加者からはブーイングが出るが、見学者は結構、こういうやり取りが好きみたいで、ニヤニヤしながら成り行きを見守っていたりする。

まぁ、所謂、所詮、他人事なので、面白いのだろう。

「さて皆さん、注目~!私の右後ろにある、この巨大砂時計!これをひっくり返した瞬間から、調理スタートです♪そして、最後の砂が落ちた瞬間が、調理終了の合図!もし時間より早く完成したら、手を上げてスタッフに知らせてくださいね。時間になったら、完成していても、まだ途中でも、スタッフがすべてのお皿を審査員の元に運びます」

砂時計は縦1メートルくらいの大きなもので、砂に赤い色が付けてあるので、少し離れていても大体の砂の量は目視できる感じだ。

「では皆さん、審査について説明しますね♪ 審査は4つのグループに分けて行われます。各グループの審査員は3名で構成です。ステージを半分に分けて、私の右手前がA、右奥がB、左手前がC、左奥がDになります。各料理は、皿をひっくり返さないとどのチームのものか分からない状態で、別室の審査員に渡されます。もちろん審査員は最後まで皿をひっくり返す事なんてしませんよ」

そこで男性司会者は意図的にニヤリと笑って続けた。

「得点は皿毎に付けられ、最終的にデュエルで対戦するチーム同士の得点を比較します。得点の多いチームが勝ち残りです!もちろん、必要以上の食材を残してしまった参加者は、他チームへの妨害とみなされて失格、或いは減点されますのでご注意を。ではスタッフの皆さん、各参加者の皿の裏に番号を記入してくださいね」

審査の方法については説明があったけど、審査員の属性については何にも言及されていない。

どんな食事を好む人たちなのか分からないのが辛いな……。

番号の書かれた紙を手に、スタッフ数人が舞台に登り、バスケットの中に入っている皿をひっくり返し、ノリで貼り付けて行く。

そこでまた少し時間が掛かるので、参加者の中には苛ついて来ている者も少なからず居た。

でも、私にとっては調理手順を頭の中で組み立てるのに、とても役立つ。

全ての調理台の皿に番号札が貼り付け終ると、再び司会者が笛を吹いた。

「では、みなさん、準備万端ですね?砂時計を逆さにしたら笛を吹きます。それで開始です。終了時も笛を吹くので、手を止めてください。止めないとその時点で失格ですよぉ。では……」

男性司会者の後ろでスタッフが二人がかりで砂時計をひっくり返す。

「ピ―――ーー!」

「ナスカ、まずは大きいの方の鍋でポテトサラダの芋を煮て、お湯が沸いたら、そのお湯を利用してトマトの湯向きを。芋は時間が掛かるから、煮ている間にパースニップの皮を厚めに剥いて、厚さ1ミリくらいの薄さに切って頂戴。できるだけみんな同じ厚さにしてね」

「分かりました!」

鑑定に皮は硬めとあったので、不安要素は取り除いておく方が良いだろう。

「パースニップの芯がどれくらい固いか分からないので、芯はもう最初から切り取って頂戴」

「はいっ!」

私たちのやり取りを聞いたのだろう、『リスの宿』の料理人についているアシスタントの若い男がこちらをバカにしたように自分のところの料理長に話しかけた。

「あっち、パースニップ知らないみたいだね。こっちがちょっと有利かな~。母さんの村で採れてたから、神様がウチに勝てって言ってるみたいだよね」

あちらのアシスタントは料理人の息子なのだろう。彼女もニカっと笑って、作業に移る。

深い鍋をコンロに載せているから、やはりスープなのだろう。

「オメガ!これはピューレにするから、煮てちょうだい!」

アシスタントにパースニップを手渡す。

流石だな、出身地でパースニップ食べてるだけあって、ただ煮るんじゃなくピューレにするって考えてる。

これは相当腕の立つ料理人じゃないかな!

謎の食材をしっかり知ってるなんて、とんでもないアドバンテージだ。

こっちも、負けてられない!

手探りの調理になるけど、やれることは全部やらないと…負けちゃうかも!?

さあ、この後のデュエル、どう動く!?