軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「無事、渡して来たよ」

今日は王都に住む元あややクラブのいつものメンバーが、ウチのバーコーナーでくつろぐ日だ。

それはそうと、何を誰に渡して来たのか。

そう、セシリオ様がアドリエンヌ様に私達が書いて託した手紙を渡してくれたのだ。

メグの手紙も一緒に渡せたのが嬉しい。

それにメグが私たち女子3人組にお揃いでと、花飾りを手作りしてくれたので、それも渡してくれたのだ。

それを見て、学園時代お揃いのドレスを作ったりした事を思い出してくれるといいなぁ。んでもって、アドリエンヌ様には彼女を心配している友達がいる事を知って安心して欲しいよ。

私たち3人はそれぞれ別々の道を歩んでおり、普段会う事は無いけれど、こういう優しい心遣いをするところが学園時代のメグのままだなぁと嬉しくなったり、恐らく手紙や髪飾りを見て他人の目を常に気にして表情に出さないアドリエンヌ様が薄っすらと口元に笑みを浮かべて喜んでくれているだろうなぁとか思って、学園時代が懐かしくなった。

側室は輿入れしても、結婚式がある訳ではないらしい。

平民たちへのお披露目すらなく、こっそりと城の奥に入るらしい。

正室ならば王妃となるため盛大な結婚式が催されるのに、側室は国の表に出る事はないんだそうだ。

結局、王家を継ぐ男児が途切れない様、子供を得るのが側室の大事な仕事だと言われると、そりゃぁそうだろうとは思う。思いはするけど、その側室がアドリエンヌ様って言うのが頂けない。

学生時代だって親からの干渉が酷く、大好きなガーデニングさえあややクラブの部室でしか出来なかったのだ。途中、それさえも怪しい時があったしね。

これから正妻がいる城の奥に引っ込んでしまうなんてこっちの心が痛くて痛くて・・・・。

自分の妹は将来の王様の正室になる予定なのに、姉であるアドリエンヌ様の扱いが雑に見えてしまう。

確かに、既に2度の婚約が流れてしまっているので、新たな婚約者を見つけたとしても、あまり条件の良い人は残っていなかったのかもしれない。

最初こそ高飛車だったアドリエンヌ様だけど、あややクラブのメンバーになってからは平民のメグや私にも良くしてくれた。

いつも淹れてくれた紅茶の美味しかった事。

部室で作ったスイーツを前にすると、顔をほころばせて食べてくれていた。

テラスを最初に見た時のキラキラした目。

ユーリとの婚約祝いで贈ったガーデニングセットを嬉しそうに胸に抱えた時の屈託のない笑顔。

メグや私に用意して下さった裁縫のための材料。

3人でお揃いで誂えてもらったドレス。

そして、ユーリが叔父に囚われて風前の灯火になっていた時に、最初に行動してくれたのはアドリエンヌ様だったのだ。

それも我が身を犠牲にする心算でユーリの従弟と婚約までして・・・・。

アドリエンヌ様が不幸であって良いわけがない!

その思いはユーリやセシリオ様にもある様だ。

もちろん、メグ、フェリーペやボブたちも・・・・。

側室だからと派手な披露宴とかは無いにしても、何とかお祝いをしたい。そして、アドリエンヌ様の心を慰めたい。

何か方法があるかと悩んでいた時に、タイムリーな事件が起こった。

いや、実は、事件ではなく発注なんだけれどね。

「リア!家にまで来てごめん!!でも、城からケータリングのオファーが来たんだ」

ウチの店はケータリングはやってない。

以前、ホテルではなく、まだレストランだけだった時に宮中晩餐会のケータリングをした事はあった。

だからなのか、今の王家もウチを箔漬けに使いたいようだ。

「ウチはケータリングはやらない主義だというのは知ってるけど、王家から要請だと断りづらいんだよなぁ・・・・」

ランビットはどうしたら良いのか、一応、ホテルのオーナーは私なので、意向を聞きに来てくれたようだ。

でもね、これってチャンスじゃない?

え?何のって、アドリエンヌ様のお輿入れをお祝いする良い機会を与えられたんだよ。

「ランビット。今回は引き受けましょう」

「え?いいの?」

「ええ。前王家の時は一度ケータリングを引き受けているから、今回だけは特別と言うことで」

「わかった」

気が急いたのだろう。ランビットは直ぐに部屋を出てホテルの事務所に帰ろうとしたけれど、ノンノン!まだ話は終わっちゃいないよん。

「但し!」と大きな声で言うと、ランビットが部屋の戸口でピタっと止まった。

「た・だ・し!アドリエンヌ様のお輿入れのお食事も併せてウチで用意させてもらえるならとしっかり先方に条件を出しておいてちょうだい」

「えっ?」

「何、素っ頓狂な顔をしてるのよ?ランビット、これは千載一遇のチャンスなのよ」

「それは・・・・アドリエンヌ様をお祝いする?」

「そうよ。アドリエンヌ様の方の規模は当然妹さんのよりも小さいでしょうよ。でも、出す料理は同じ料理。特に豪華なウェディングケーキは妹さんのと同じものを出させてもらう様にネゴしてちょうだい」

「ウェディングケーキ?」

「そう。私とユーリの結婚式の時、出したでしょ?」

「ああ、あれかぁ」

「できたら三段のケーキを用意させてもらいたいの」

「三段って?」

そこで絵を描きながら三段のウェディングケーキを説明した。

ランビットには王宮側との折衝を担当してもらい、メニューなどは私が、メグにはこれから相談するけれど、給仕はあややクラブのみんなでやらせてもらいたい。

ただ、セシリオ様とヘルマン様の貴族組には給仕は無理だけれど、全員で送り出してあげたいじゃん。

あ、もう一人、ウチの旦那さまも過去がらみで顔出しNGだよね?やっぱり・・・・。

でも、いいの!平民組だけでもアドリエンヌ様の晴れの舞台を祝いたいじゃん。

よし!断然ヤル気が出て来たわよー!

素敵なお祝いの席にするつもり。

「ランビット、条件を早く飲む様に、先方にやんわりと圧を掛けてね。圧をね」

ニヤリと笑った私の笑顔が怖かったのか、ランビットはそそくさと私の家を出て行った。